岡崎市内景況調査結果

(平成20年1〜3月期分)




〜景況DIは4.1ポイントの下降、2期振りにマイナス幅が拡大!〜

 

 岡崎市内の今期の景況DIは、前年同期と比較し△19.2と前回調査より4.1ポイント下降し、2期振りにマイナス幅が拡大した。小売・卸売業で幾分改善がみられたものの、製造業における売上DI・採算(収益)DIが大きく落ち込んだことが影響した。

 来期の景況DIについてもさらに4.4ポイントの下降を見込んでおり、回復に向けた動きは一服の予想である。

 <円高による経営への影響 − 付帯調査>
 4社に1社の割合で自社の経営を圧迫しており、その内6割は対策を「行なっている」「準備中」であることが分かった。



1.調査対象
  (1)対象企業数  本所各部会役員・幹事事業所 474企業
  (2)回答企業数  有効回答204企業(回答率43.0%)

2.調査対象時期
  平成20年1〜3月期
  (1)前年同期(平成19年1〜3月)と比べた今期の状況
  (2)今期と比べた来期(平成20年4〜6月)の先行き見通し

3.調査時点
  平成20年3月27日〜4月8日

4.調査方法
  ファクシミリによるアンケート方式

5.有効回答企業数内訳
業    種回答企業数構成比
製 造 業5828.4%
建 設 業4622.5%
小売・卸売業5627.5%
サービス業4421.6%
合    計204100.0%

6.その他
 本報告書中のDIとは、「ディフュージョン・インデックス」(景気動向指数)の略で、各調査項目について「増加」(上昇、好転)した企業割合から、「減少」(低下、悪化)した企業割合を差し引いた値である。例えば、売上額で「増加」30%、「不変」50%、「減少」20%の場合のDIは、30−20=10となる。



■市内の景況全体の概要

 岡崎市内の今期(平成20年1〜3月)の景況判断DIは、前年同期(平成19年1〜3月)と比較し、全業種で△19.2と前回調査(平成19年10〜12月、△15.1)より4.1ポイント下降し、2期振りにマイナス幅が拡大した。景況DI指数としては、平成19年7〜9月の△19.5に次いで低いものとなった。

 業種別では、小売・卸売業で1.4ポイント上昇した他は、製造業で12.1ポイント、建設業で3.7ポイント、サービス業で0.4ポイントそれぞれ下降し、マイナス幅が拡大した。特に製造業における下降幅が大きく、全体を引き下げる要因となった。

 来期(平成20年4〜6月)の先行き見通しについても、全業種で△23.6とさらに4.4ポイントの下降を予測、全ての業種で下降を見込んでおり、回復に向けた動きは一服の予想である。

 その他の指標についてみると、売上額DIは前年同期と比較し、全業種で△9.8と前期より2.2ポイント下降しマイナス幅が拡大した。製造業における大幅な下落が影響している。来期についてもさらに4.9ポイント下降し悪化を見込んでいる。

 一方、資金繰りDIについては5.6ポイント減の△15.7と悪化、来期についてもさらに2.5ポイント減と窮屈感が増す予想である。また、採算(収益)DIに関しても8.1ポイント減の△33.8と、マイナス幅が拡大した。特に製造業における下落幅(15.4ポイント減)が際立っており、来期についてもさらに3.9ポイント減と、マイナス幅の拡大を見込んでいる。
【データ:全業種】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△15.1△19.2△23.6
売 上 額△ 7.6△ 9.8△14.7
資金繰り△10.1△15.7△18.2
採算(収益)△25.7△33.8△37.7
※売上額は、建設業では完成工事(請負工事)額



■業種別の概要

(1)製造業

 景況DIは12.1ポイント下降し△8.6と、マイナスに転じた。売上額が前期の反動から12.4ポイントの大幅低下、原材料仕入価格と諸経費の高騰もあり、採算(収益)を大きく圧迫したことが影響した。

 来期についても、原材料仕入価格と製品在庫に改善が見込まれるものの、売上額が6.9ポイント下落、採算(収益) も引き続き悪化するなど、減収・減益を予想している。その結果、景況もさらに5.2ポイント下落しマイナス幅の拡大を見込んでいる。

 経営上の問題点としては、「原材料仕入価格の上昇」がウエイトをさらに上げ、引き続き1位となった。これが利幅拡大を妨げ、収益の伸び悩みにつながっている。一方、人手不足感は慢性化の中で幾分緩和、逆に「人件費の増加」が大きくウエイトを高めている。

【データ:製造業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況  3.5△ 8.6△13.8
売 上 額 22.8 10.4  3.5
原材料仕入価格 84.2 87.9 75.9
製品在庫  0.0  5.1△ 3.5
資金繰り△ 5.2△ 5.1△12.0
採算(収益)△10.5△25.9△27.5

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.原材料価格の上昇       34.0%
 2.従業員の確保難        13.2%
 3.人件費の増加         10.4%
 4.需要の停滞           9.7%
 5.生産設備の不足・老朽化     8.3%

【主な事業者の声】
  ・ 円高による自動車産業の輸出量の減少が心配である。(自動車部品)
  ・ 米国サブプライム問題により輸出が減少している。(自動車部品)
  ・ 原材料の値上げが転嫁できていない。(鋼材)
  ・ 受注が少し安定してきた。(化学)
  ・ 原材料の入手困難により生産性が低下するとともに、価格の上昇で収益性は悪化している。(機械)
  ・ 地元の物件が減少し、関東の物件が増加している。(装飾メーカー)



(2)建設業

 完成工事(請負工事)額は幾分の下落に止まったものの、受注(新規契約工事)額が住宅着工激減の影響から17.7ポイント減と大幅に下落した。また、請負単価の下落と資材仕入価格の高騰もあり、採算(収益)も9.8ポイント減となった。その結果、景況DIは3.7ポイント減の△34.8とマイナス幅が拡大した。

 来期の景況見通しについても2.2ポイント減の△37.0と見込んでおり、さらに悪化を予想している。資材仕入価格は改善されるものの、新規建設の停滞に加え、公共工事が不需要期に入ることから慎重な見方が増えており、小幅ながら減収・減益となる見通しである。

 経営上の問題点としては、「材料価格の上昇」がウエイトを高め引き続き1位となった。また、単価の低迷に加え新規建設の停滞という新たな問題も顕在化する中、収益面の圧迫が懸念される。

【データ:建設業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△31.1△34.8△37.0
完成工事(請負工事)額△29.5△30.4△39.1
受注(新規契約工事)額△31.1△47.8△39.1
資材仕入価格 80.0 78.3 73.9
資金繰り△17.8△19.5△26.1
採算(収益)△53.3△63.1△67.4

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.材料価格の上昇        27.3%
 2.需要の停滞          16.4%
 3.請負単価の低下        15.6%
 4.従業員の確保難        10.2%
 5.人件費以外の経費の増加     6.3%

【主な事業者の声】
  ・ 業界は平成7〜8年頃から悪化の一途をたどり、ここ2〜3年は特に最悪の状態にあり、現在も続いている。結果として倒産・廃業が増えている。(土木)
  ・ 一向に好転の兆しが見えてこない。業界の再編が必要かも。(石材)
  ・ 土地・建物(建設費)とも高騰している。(建築)
  ・ 公共工事が主力であるため、道路特定財源がどうなるのか、大変心配している。(土木)



(3)小売・卸売業

 景況DIは△17.8となり、前期と比べ1.4ポイント改善した。売上額が6.8ポイント上昇、商品仕入価格に改善がみられない中でも経費の節約などにも努めた結果、採算(収益)も0.5ポイント増と僅かながら改善が図られた。

 来期については、売上額が引き続き3.5ポイント上昇するものの、諸経費の高騰や商品在庫に悪化を予想していることから、採算(収益)は3.6ポイント下降、その結果景況DIは5.4ポイントの下降を見込んでいる。

 経営上の問題点をみると、「需要の停滞」がウエイトをさらに高め引き続き1位となっている。また「仕入単価の上昇」「経費の増加」も上位にあがっており、収益面の改善が大きな課題となっている。

【データ:小売・卸売業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△19.2△17.8△23.2
売 上 額△19.3△12.5△ 9.0
商品仕入価格 51.9 69.6 57.1
商品在庫△15.4△ 5.3  0.0
資金繰り△11.5△17.8△14.3
採算(収益)△25.5△25.0△28.6

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.需要の停滞            24.5%
 2.仕入単価の上昇          19.4%
 3.人件費以外の経費の増加      10.8%
 4.人件費の増加           10.1%
 5.従業員の確保難           7.2%
 
【主な事業者の声】
  ・ 中国野菜・加工食品の農薬等問題で、中国の出荷制限が大きく響いている。また、ガソリン等の燃料高も響いている。(宅配)
  ・ 同業者のM&Aによる巨大化と得意先の減少が問題になっている。(身の回り品小売)
  ・ 美容室のオーバーストア化が起きている。(身の回り品小売)
  ・ 大型量販店のチラシの内容に疑問を感じる。(家電小売)
  ・ 販売価格への転嫁を呼びかけている。(食品小売)
  ・ 中国からの食品輸入が減少している。(食品卸売)



(4)サービス業

 売上額が0.3ポイント、利用客数も6.9ポイント減少し、それぞれマイナス幅が拡大した。また採算(収益)も諸経費の高騰により7.2ポイント減の△25.0とマイナス幅が大きく拡大、加えて資金繰りも大幅に悪化した。その結果、景況DIは前期と比べ0.4ポイント減の△18.2となった。

 来期の見通しは、売上額・利用者数とも減少を予測。採算(収益)面も厳しい見方から、景況DIも4.5ポイントの下降を見込んでいる。

 経営上の問題点としては、「需要の停滞」と「材料等仕入単価の上昇」が前回同様上位を占めており、利用客増加と収益性改善が大きな課題となっている。なお、「従業員の確保難」もウエイトを高めている。

【データ:サービス業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△17.8△18.2△22.7
売 上 額△11.1△11.4△13.6
利用客数△ 6.7△13.6△18.2
資金繰り△ 6.7△22.7△22.7
採算(収益)△17.8△25.0△31.8

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.需要の停滞          15.5%
 2.材料等仕入単価の上昇     14.5%
 3.利用者ニーズの変化への対応  12.7%
 4.従業員の確保難        11.8%
 4.人件費以外の経費の増加    11.8%
 
【主な事業者の声】
  ・ 街づくり三法の解説の市と県による違いや、建築確認等、行政の混乱による需要の停滞が起きている。(不動産)
  ・ 免許取得に対する意識が変化している。(自動車教習)
  ・ 大手鉄道系バス会社の統廃合が起こっている。その結果、業界全体では車両が減少している。(運送)
  ・ ネット販売が進んでおり、来店客が減少している。(旅行業)




■円高による経営への影響<付帯調査>

 最近の急激な円高は、地域の企業活動にさまざまな影響を与えている。そこで今回、付帯調査として「円高による経営への影響」について調べてみた。

 急激な円高の経営への影響については、「大きく圧迫している」と回答した企業が3.1%、「ある程度圧迫している」が23.0%で、両者を合わせて26.1%と4社に1社の割合で影響がみられた。

 両者を合わせた割合を業種別にみると、製造業が36.2%と最も高く、以下、建設業が28.9%、小売・卸売業が19.2%、サービス業が17.1%と続いた。なお、「増益要因になっている」企業は、全業種で4.1%みられた。

 円高が経営を「大きく圧迫している」「ある程度圧迫している」と回答した企業における具体的な影響としては、「取引先(輸出企業)からの受注減」が28.6%と最も高く、以下「取引先からの要請による製品(商品)価格の下落」28.6%、「為替差損」22.4%と続いた。業種別でみると、製造業では「為替差損」が、小売・卸売業とサービス業では「取引先からの要請による製品(商品)価格の下落」の割合が最も高くなっている。

 円高が経営を「大きく圧迫している」「ある程度圧迫している」と回答した企業に対策を行なっているか聞いたところ、全業種では「行なっている」が22.4%、「準備中」が36.7%、「行なっていない」が40.8%となり、「行なっている」「準備中」で約6割を占めた。

 対策を「行なっている」「準備中」と回答した企業にその内容を聞いたところ、全業種では「固定費の削減」が34.3%と最も高く、以下「調達コストの削減」28.6%、「販売価格への転嫁」22.9%、「海外生産の増加」5.7%と続いた。業種別では製造業で「調達コストの削減」が42.9%と、他の業種と比べ割合が高い。

(1)自社の経営への影響<全業種>
大きく圧迫している 3.1%
ある程度圧迫している23.0%
ほとんど圧迫していない69.9%
増益要因になっている 4.1%

(2)円高による具体的な影響<全業種>
1.取引先(輸出企業)からの受注減30.6%
2.取引先からの要請による製品価格の下落28.6%
3.為替差損22.4%
4.仕入価格の上昇10.2%
5.コストの上昇 4.1%
6.その他 4.1%

(3)対策の実施<全業種>
行なっている22.4%
準備中36.7%
行なっていない40.8%

(4)具体的な対策<全業種>
1.固定費の削減34.3%
2.調達コストの削減28.6%
3.販売価格への転嫁22.9%
4.海外生産の増加 5.7%
5.その他 8.6%






●平成19年10〜12月期分


●平成19年7〜9月期分


●平成19年4〜6月期分


●平成19年1〜3月期分


●平成18年10〜12月期分


●平成18年7〜9月期分


●平成18年4〜6月期分


●平成18年1〜3月期分


●平成17年10〜12月期分


●平成17年7〜9月期分


●平成17年4〜6月期分


●平成17年1〜3月期分


●平成16年10〜12月期分


●平成16年7〜9月期分


●平成16年4〜6月期分


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