岡崎市内景況調査結果
(平成18年1〜3月期分)
〜景況DIは0.6ポイントの小幅下降、回復に向けた動きは一服〜
岡崎市内の今期の景況DIは、前年同期と比較し△9.3と前回調査より0.6ポイント下降し、小幅ながら2期振りにマイナス幅が拡大した。小売・卸売業、サービス業で幾分の改善がみられたものの、製造業における売上DI・採算(収益)DIが前期の反動から落ち込んだことが影響した。
来期の景況DIについてもさらに2.5ポイントの下降を見込んでおり、回復に向けた動きは一服の予想である。
1.調査対象
(1)対象企業数 本所各部会役員・幹事事業所 496企業
(2)回答企業数 有効回答201企業(回答率40.5%)
2.調査対象時期
平成18年1〜3月期
(1)前年同期(平成17年1〜3月)と比べた今期の状況
(2)今期と比べた来期(平成18年4〜6月)の先行き見通し
3.調査時点
平成18年3月28日〜平成18年4月11日
4.調査方法
ファクシミリによるアンケート方式
5.有効回答企業数内訳
業 種 | 回答企業数 | 構成比 |
製 造 業 | 58 | 28.9% |
建 設 業 | 48 | 23.9% |
小売・卸売業 | 45 | 22.4% |
サービス業 | 50 | 24.9% |
合 計 | 201 | 100.0% |
6.その他
本報告書中のDIとは、「ディフュージョン・インデックス」(景気動向指数)の略で、各調査項目について「増加」(上昇、好転)した企業割合から、「減少」(低下、悪化)した企業割合を差し引いた値である。例えば、売上額で「増加」30%、「不変」50%、「減少」20%の場合のDIは、30−20=10となる。
■市内の景況全体の概要
岡崎市内の今期(平成18年1〜3月)の景況判断DIは、前年同期(平成17年1〜3月)と比較し、全業種で△9.3と前回調査(平成17年10〜12月、△8.7)より0.6ポイント下降し、小幅ながら2期振りにマイナス幅が拡大した。前期の製造業における大幅改善の反動が影響したものであるが、下降が小幅にとどまったことで回復に向けたレベルは維持されたものと思われる。
来期(平成18年4〜6月)の先行き見通しについても、前年の万博特需の反動が少なからず影響するとみられ、全業種で△11.8と2.5ポイントの下降を予測、回復に向けた動きは一服の予想である。
その他の指標についてみると、売上額DIは前年同期と比較し、全業種で△0.5と前回調査(3.1)より3.6ポイント下降しマイナスに転じたが、来期については一転2.5ポイント上昇し、明るい見方を予想している。
一方、資金繰りDIについては3.7ポイント減の△19.0とやや窮屈感がみられたが、来期については幾分改善を見込んでいる。採算(収益)DIに関しても6.8ポイント減の△19.0と、マイナス幅が拡大した。来期については、逆に1.0ポイント増と幾分改善を見込んでいる。
【データ−全業種】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △ 8.7 | △ 9.3 | △11.8 |
売 上 額 | 3.1 | △ 0.5 | 2.0 |
資金繰り | 1.6 | △ 2.1 | △ 1.5 |
採算(収益) | △12.2 | △19.0 | △18.0 |
※売上額は、建設業では完成工事(請負工事)額
■業種別の概要
(1)製造業
景況DIは△5.1となり、前期と比べ1.8ポイント下降した。これは売上額が前期の反動から1.8ポイント減の0.0(同数)に低下、原材料仕入価格の幾分の持ち直しが図られたものの、採算(収益)を圧迫したことが影響した。
来期については、売上額が8.6ポイント増加すると予測しており、原材料仕入価格が大幅に改善される中、採算(収益)も回復、増収・増益の展開を予想している。景況も3.4ポイント改善しマイナス幅の縮小を見込んでいる。雇用面では人手不足が慢性化しつつあり、「人材確保」が大きな課題となっている。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.原材料価格の上昇 25.2%
2.従業員の確保難 11.9%
2.人件費の増加 11.9%
4.生産設備の不足・老朽化 10.5%
5.製造単価の低下 9.1%
【主な事業者の声】
・ 石油製品の値上がりが材料やガソリン・軽油の高騰につながった。(繊維)
・ 発注品に動きはあるが、短期間での生産の立ち上げや増産・減産の対応力が求められている。(自動車部品)
・ 生産技術業務のアウトソーシングが進んでいる。(自動車部品)
・ 原材料不足・高価格による影響に加え、需要も昨年来低下している。(繊維)
【データ】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △ 3.3 | △ 5.1 | △ 1.7 |
売 上 額 | 18.0 | 0.0 | 8.6 |
原材料仕入価格 | 63.9 | 63.8 | 32.7 |
製品在庫 | 4.9 | △ 3.4 | 3.5 |
資金繰り | 3.3 | △ 1.7 | 1.8 |
採算(収益) | △ 8.2 | △17.2 | △ 8.7 |
(2)建設業
完成工事(請負工事)額が3.1ポイント下落、また受注(新規契約工事)額も民間工事の需要が低迷したことなどから、16.7ポイント落としマイナスに転じた。その結果、採算(収益)も6.3ポイント下落し、△31.3とマイナス幅が拡大した。しかしながら、資材仕入価格が大幅に改善されたことで、景況DIについては0.2ポイントの減少にとどまった。
来期の景況見通しについても14.6ポイント減の△37.5と見込んでおり、さらに悪化を予想している。公共工事が不需要期に入ることから、関連事業者を中心に慎重な見方が増えており、小幅ながら減収・減益となる見通しである。
経営上の問題点として「請負単価の低下」が1位となっており、価格低迷による収益圧迫を受け、資金繰り面に窮屈な状況を予想する企業が多くなっている。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.請負単価の低下 21.3%
2.材料価格の上昇 16.9%
3.従業員の確保難 11.0%
4.需要の停滞 8.9%
5.取引条件の悪化 8.1%
【主な事業者の声】
・ 構造計算偽装問題で大変な影響を受けている。(設計)
・ 公共工事が落ち込み、加えて民間の受注単価が低下している。(石材)
・ 旧態依然の状況から脱していない。しばらくは現状のまま推移すると思われる。(石材)
・ デフレによる同業者間の競争が厳しさを増している。(一般建設)
・ 人材確保が困難な状況にある。(一般建設)
・ 資材仕入価格の上昇と請負価額の低下により、採算が悪化している。(一般建設)
【データ】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △22.7 | △22.9 | △37.5 |
完成工事(請負工事)額 | △13.6 | △16.7 | △14.6 |
受注(新規契約工事)額 | 0.0 | △16.7 | △18.7 |
資材仕入価格 | 63.6 | 52.1 | 50.0 |
資金繰り | △ 6.8 | △16.7 | △18.7 |
採算(収益) | △25.0 | △31.3 | △39.6 |
(3)小売・卸売業
景況DIは△4.8となり、前期と比べ1.0ポイント改善した。採算(収益)は諸経費の高騰などから6.6ポイント下落し、△14.3と引き続き厳しい状況となったが、売上額は個人消費の回復傾向を反映し、14.3とプラス幅がさらに拡大した。加えて商品仕入価格も2.3ポイント持ち直したことから、全体として僅かながらも改善する結果となった。
来期についても、売上額が9.5ポイント上昇するのをはじめ、商品在庫・商品仕入価格も引き続きも改善されることから採算(収益)も好転を予測している。その結果、景況は4.8ポイント増の0.0(同数)レベルまでの改善を見込んでいる。
経営上の問題点をみると、「仕入単価の上昇」と「販売単価の低下」が上位にあがっており、収益面の改善が遅れぎみであることを反映したものとなった。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.需要の停滞 17.5%
2.仕入単価の上昇 13.4%
3.大企業の進出による競争の激化 12.4%
4.販売単価の低下 9.3%
4.人件費の増加 9.3%
【主な事業者の声】
・ 海外仕入をすることにより店の個性がより明確化した。(衣料小売)
・ 購買価格が低下している。また、若年層が減少し、逆に高齢者が増加している。(日用品小売)
・ 競争の激化による販売単価の低下が顕著になっている。(機器卸売)
・ 競争の激化が利益の低下を招いている。(洋品小売)
・ 店舗間の格差が拡大している。(衣料小売)
【データ】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △ 5.8 | △ 4.8 | 0.0 |
売 上 額 | 13.4 | 14.3 | 23.8 |
商品仕入価格 | 40.4 | 38.1 | 33.3 |
商品在庫 | △ 9.6 | △11.9 | △23.8 |
資金繰り | 11.6 | 14.3 | 11.9 |
採算(収益) | △ 7.7 | △14.3 | △ 9.5 |
(4)サービス業
売上額が17.5ポイント、利用客数も16.7ポイント増加し、それぞれプラスに転じた。採算(収益)は諸経費の高騰により2.4ポイント減の△12.7とマイナス幅が拡大したが、資金繰りは幾分改善、景況DIも前期と比べ0.8ポイント上昇し、マイナス幅が縮小した。
今後の見通しは、当期の反動により売上額・利用者数とも2ケタの減少を予測。収益面も厳しい見方となっており、景況DIも4.3ポイントの悪化を見込んでいる。
経営上の問題点として1位にあげられている「利用者ニーズの変化への対応」にいかに取組むかが、今後の収益性改善の鍵になるものと思われる。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.利用者ニーズの変化への対応 15.0%
2.需要の停滞 14.2%
3.人件費以外の経費の増加 12.5%
4.従業員の確保難 11.7%
5.人件費の増加 10.8%
【主な事業者の声】
・ 安価を売りとする新規参入業者の進出により、価格競争が激化している。(宅配)
・ 土地の動きが活発になり、景気が好転する感が伺える。(不動産仲介)
・ 少子化の影響が大きい。(自動車教習)
・ 1回の利用額が低下している。(タクシー)
・ 燃料費の値上げが運賃に転嫁できない。また、NOX PM法により車両購入費が増大している。(運送)
・ 優秀な人材が大手企業に流出している。(設計)
【データ】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △ 5.1 | △ 4.3 | △ 8.6 |
売 上 額 | △15.4 | 2.1 | △ 8.5 |
利用客数 | △10.3 | 6.4 | △ 4.3 |
資金繰り | △ 5.1 | △ 2.1 | 0.0 |
採算(収益) | △10.3 | △12.7 | △14.9 |
●平成17年10〜12月期分
●平成17年7〜9月期分
●平成17年4〜6月期分
●平成17年1〜3月期分
●平成16年10〜12月期分
●平成16年7〜9月期分
●平成16年4〜6月期分
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