岡崎市内景況調査結果

(平成19年10〜12月期分)




〜景況DIは4.4ポイントの上昇。4期振りに改善!〜

 

 岡崎市内の今期の景況DIは、前年同期と比較し△15.1と前回調査より4.4ポイント上昇し、4期振りにマイナス幅が縮小した。サービス業で小幅な下落となったが、他の業種では軒並み上昇し、これが全体を押し上げるものとなった。

 来期については、今期の反動から下向きに転じ、景況DIは4.9ポイントの下降を見込 んでおり、回復に向けた動きは一服の予想である。

 <改正建築基準法の影響 − 付帯調査>
 3社に1社の割合で自社の経営に影響を受けており、建設業では約7割に及んでいることが分かった。



1.調査対象
  (1)対象企業数  本所各部会役員・幹事事業所 477企業
  (2)回答企業数  有効回答201企業(回答率42.1%)

2.調査対象時期
  平成19年10〜12月期
  (1)前年同期(平成18年10〜12月)と比べた今期の状況
  (2)今期と比べた来期(平成20年1〜3月)の先行き見通し

3.調査時点
  平成19年12月25日〜平成20年1月10日

4.調査方法
  ファクシミリによるアンケート方式

5.有効回答企業数内訳
業    種回答企業数構成比
製 造 業5828.9%
建 設 業4622.9%
小売・卸売業5225.9%
サービス業4522.4%
合    計201100.0%

6.その他
 本報告書中のDIとは、「ディフュージョン・インデックス」(景気動向指数)の略で、各調査項目について「増加」(上昇、好転)した企業割合から、「減少」(低下、悪化)した企業割合を差し引いた値である。例えば、売上額で「増加」30%、「不変」50%、「減少」20%の場合のDIは、30−20=10となる。



■市内の景況全体の概要

 岡崎市内の今期(平成19年10〜12月)の景況判断DIは、前年同期(平成18年10〜12月)と比較し、全業種で△15.1と前回調査(平成19年7〜9月、△19.5)より4.4ポイント上昇し、4期振りにマイナス幅が縮小した。

   サービス業で小幅な下落となったが、反面製造業で6.6ポイント、建設業で4.2ポイント、小売・卸売業でも7.5ポイントそれぞれ改善、これが全体を押し上げるものとなった。

 来期(平成20年1〜3月)の先行き見通しについては、今期の反動から下向きに転じ、全業種で△20.0と4.9ポイントの下降を見込んでおり、回復に向けた動きは一服の予想である。

 その他の指標についてみると、売上額DIは前年同期と比較し、全業種で△7.6と前回調査(△12.7)より5.1ポイント上昇しマイナス幅が縮小した。製造業における大幅な改善(13.4ポイント増)が全体を押し上げる要因となった。しかしながら、来期については製造業における反動と小売・卸売業の悪化予測が大きく、7.0ポイントの下降を見込んでいる。

 一方、資金繰りDIについては5.3ポイント増の△10.1と窮屈感が改善したが、来期については幾分の悪化を見込んでいる。採算(収益)DIに関しても4.1ポイント増の△25.7と改善が図られた。特に小売・卸売業における改善幅(12.8ポイント増)が際立っているが、来期についてはこの反動が見込まれており、逆に4.0ポイント減とマイナス幅の拡大を予想している。

【データ:全業種】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△19.5△15.1△20.0
売 上 額△12.7△ 7.6△14.6
資金繰り△15.4△10.1△12.3
採算(収益)△29.8△25.7△29.7
※売上額は、建設業では完成工事(請負工事)額

【改正建築基準法の影響】
 「改正建築基準法」施行に起因する新規建設の停滞は、建設業にとどまらず広範に波及しつつあり、地域の企業活動に影響を与えている。そこで今回、付帯調査として「改正建築基準法の影響」について調べてみた。

 「改正建築基準法」施行に起因する新規建設の停滞が企業経営に与える影響については、なんらかの影響がある企業(大きな影響がある、多少影響がある)が34.8%と、3社に1社の割合でみられた。なお、「影響がない」は45.9%となった。

 業種別で影響が最も大きいのは「建設業」で69.8%、以下「サービス業」27.5%、「小売・卸売業」22.7%、「製造業」22.2%と続き、「建設業」が他を大きく引き離し最も大きい。「サービス業」には不動産業が含まれているため他の2業種に比べやや高い割合になっているが、いずれの業種もなんらかの形で建設に関連する企業があることから、影響がある企業は軒並み2割を超えている。

 影響の内容としては、「受注・売上の低下」が46.7%と半数に近い割合を占めた。以下、「事業計画の狂い」26.2%、「売上回収の遅延」15.0%、「計画変更、クレーム発生」5.6%、「資金繰りの悪化」3.7%、「金利負担の増加」1.9%と続いた。

(1)自社の経営への影響
大きな影響がある14.9%
多少影響がある19.9%
あまり影響はない19.3%
影響はない45.9%

(2)影響の内容
1.受注・売上の低下46.7%
2.事業計画の狂い26.2%
3.売上回収の遅延15.0%
4.計画変更、クレーム発生 5.6%
5.資金繰りの悪化 3.7%
6.金利負担の増加 1.9%
7.その他 0.9%



■業種別の概要

(1)製造業

 自動車・機械機器関連を中心に操業水準が高まり、売上額が13.4ポイント増の22.8となった他、製品在庫・資金繰りとも持ち直しが見られたことから、採算(収益)は僅かながらも改善され、増収・増益の展開となった。その結果、景況DIは3.5となり、前期と比べ6.6ポイント改善しプラスに転じた。

 来期については、原材料価格に改善が期待されているものの、当期の反動から売上額・採算(収益)とも2ケタの減少を予想、景況DIは17.3ポイントの大幅下降を予想、再びマイナスに転じる見通しである。

 経営上の問題点としては、引き続き「原材料価格の上昇」が1位となっており、これが収益の伸び悩みの足かせになっている。一方、人手および設備の不足感は、慢性化の中で幾分緩和傾向が続いている。なお、「需要の停滞」は引き続きウエイトを高めつつある。

【データ:製造業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△ 3.1  3.5△13.8
売 上 額  9.4 22.8  3.4
原材料仕入価格 76.5 84.2 67.2
製品在庫  6.2  0.0△ 1.7
資金繰り△ 9.3△ 5.2△ 6.9
採算(収益)△10.9△10.5△20.7

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.原材料価格の上昇       26.6%
 2.従業員の確保難        13.6%
 3.人件費以外の経費の増加    13.0%
 4.需要の停滞          11.7%
 5.生産設備の不足・老朽化    10.4%

【改正建築基準法の影響】
 企業経営に与える影響については、「大きな影響がある」7.4%、「多少影響がある」14.8%で、合わせて22.2%となった。逆に「影響はない」は64.8%となり、業種別では最も高い割合を示した。
 影響の内容としては、「受注・売上の低下」が34.8%と最も高く、次いで「事業計画の狂い」30.4%、以下「売上回収の遅延」13.0%、「金利負担の増加」8.7%と続いた。他の業種と比べ「事業計画の狂い」と「金利負担の増加」の割合がやや高い。

(1)自社の経営への影響
大きな影響がある 7.4%
多少影響がある14.8%
あまり影響はない13.0%
影響はない64.8%

(2)影響の内容
1.受注・売上の低下34.8%
2.事業計画の狂い30.4%
3.売上回収の遅延13.0%
4.金利負担の増加 8.7%
5.計画変更、クレーム発生 4.3%
5.資金繰りの悪化 4.3%
5.その他 4.3%

【主な事業者の声】
 ・ 原料である小麦粉をはじめとする穀類の高騰により、製麺業界の同業者に廃業が多い。(食品)
 ・ 海外はもちろん九州・北海道など、生産拠点の移動が増している。(自動車部品)
 ・ 輸入品による需要圧迫と低価格競争の激化等、業界全体に課題が山積している。(繊維)
 ・ 2010年を境に、自動車業界が大きく変化する。機構や海外移転等、将来見通しが見えない中での増産基調は、不安感を増幅させる。(自動車部品)



(2)建設業

 完成工事(請負工事)額が公共工事の需要期に当たり堅調に推移したことから5.8ポイント上昇した。資材仕入価格は悪化したものの資金繰りは改善、その結果景況DIも前期に比べ4.2ポイント上昇し、マイナス幅が縮小した。

 来期の見通しについては、資材仕入価格は大幅な改善を見込んでいるが、改正建築基準法の影響から、民間工事を中心に新規建設の停滞が懸念され、完成工事額・受注額とも減少、その結果景況DIは3.8ポイントの悪化を予想している。

 経営上の問題点をみると、「材料価格の上昇」がウエイトを高め、「請負単価の低下」を抜き1位となった。新規建設の停滞という新たな問題が顕在化する中、収益面の圧迫が懸念される。

【データ:建設業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△35.3△31.1△34.9
完成工事(請負工事)額△35.3△29.5△34.9
受注(新規契約工事)額△27.5△31.1△45.4
資材仕入価格 70.5 80.0 72.7
資金繰り△23.6△17.8△16.0
採算(収益)△54.9△53.3△54.6

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.材料価格の上昇        26.4%
 2.請負単価の低下        17.8%
 3.需要の停滞          13.2%
 4.従業員の確保難        11.6%
 5.人件費以外の経費の増加     8.5%

【改正建築基準法の影響】
 企業経営に与える影響については、「大きな影響がある」32.6%、「多少影響がある」37.2%で、合わせて69.8%と直接関係する業種であることから高い割合を示した。逆に「影響はない」は18.6%となり、業種別では最も低い割合となった。
 影響の内容としては、「受注・売上の低下」が44.7%と最も高く、次いで「事業計画の狂い」27.7%、以下「売上回収の遅延」17.0%、「計画変更、クレーム発生」8.5%と続いた。他の業種と比べ「事業計画の狂い」と「売上回収の遅延」の割合がやや高い。

(1)自社の経営への影響
大きな影響がある32.6%
多少影響がある37.2%
あまり影響はない11.6%
影響はない18.6%

(2)影響の内容
1.受注・売上の低下44.7%
2.事業計画の狂い27.7%
3.売上回収の遅延17.0%
4.計画変更、クレーム発生 8.5%
5.資金繰りの悪化 2.1%

【主な事業者の声】
 ・ 業界には一向に向上の気配が見られない。抜本的な対策が必要と思われる。(石材)
 ・ 請負単価が下落しているが、特に官庁工事は現実とかけ離れた単価が多い。(土木工事)
 ・ 資材価格が上昇している。(電気工事)
 ・ 業界全体に粗利益率が低下している。(一般建築、設備工事)



(3)小売・卸売業

 景況DIは△19.2となり、前期と比べ7.5ポイント改善した。売上額は例年の需要期を反映し0.7ポイント上昇、また商品仕入価格に改善がみられた中、経費の節約などにも努めた結果、採算(収益)も12.8ポイントの大幅な改善が図られた。

 来期については、商品仕入価格・商品在庫の悪化が予想される中、今期の反動から売上額が8.7ポイント下降することで採算(収益)も悪化を予想、その結果景況DIは8.4ポイントの下降を見込んでいる。

 経営上の問題点をみると、「需要の停滞」と「仕入単価の上昇」が引き続き上位を占め、収益面の改善が遅れぎみであることを反映したものとなった。なお、人手不足感については、慢性化の中で幾分緩和傾向が続いている。

【データ:小売・卸売業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△26.7△19.2△27.6
売 上 額△20.0△19.3△28.0
商品仕入価格 55.0 51.9 54.0
商品在庫△ 8.3△15.4△12.0
資金繰り△16.7△11.5△20.0
採算(収益)△38.3△25.5△31.2

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.需要の停滞            21.3%
 2.仕入単価の上昇          18.0%
 3.従業員の確保難          11.5%
 4.大企業の進出による競争の激化   10.7%
 5.人件費以外の経費の増加       9.0%

【改正建築基準法の影響】
 企業経営に与える影響については、「大きな影響がある」15.9%、「多少影響がある」6.8%で、合わせて22.7%となった。逆に「影響はない」は47.7%で、業種別では製造業に次いで高い割合となった。
 影響の内容としては、「受注・売上の低下」が72.2%と最も高く、以下「事業計画の狂い」16.7%、「売上回収の遅延」11.1%と続いた。他の業種と比べ「受注・売上の低下」の割合が高く、回答の多くを占める形となった。

(1)自社の経営への影響
大きな影響がある15.9%
多少影響がある 6.8%
あまり影響はない29.5%
影響はない47.7%

(2)影響の内容
1.受注・売上の低下72.2%
2.事業計画の狂い16.7%
3.売上回収の遅延11.1%

【主な事業者の声】
 ・ 食品表示の問題などがあり、消費者のクレームが増加している。(食品小売)
 ・ 過去に例のない売上減に苦しんでいる。(資材卸売)
 ・ 通販が好調なため一般店の売上減少が続き、大変厳しい状況にある。(身の回り品小売)
 ・ 大手スーパー等の進出で競争の激化を招いており、売上および収益の減少が目立つ。(食品卸売)
 ・ 業界は非常に悪い状態、企業努力で横ばい。(身の回り品小売)
 ・ 川上で合併等があるような状況である。(資材卸売)



(4)サービス業

 売上額が2.4ポイント、利用客数も0.1ポイントそれぞれ減少、また採算(収益)も諸経費の高騰により0.4ポイント減少した。その結果、景況DIは前期と比べ2.6ポイント減の△17.8とマイナス幅が拡大した。

 しかしながら、来期の見通しについては、当期の反動により売上額・利用者数とも増加を予測。採算面(収益)も良好な見方から増収・増益が見込まれ、景況DIも13.0ポイント増と、比較的大幅な改善を予想している。

 経営上の問題点としては、「需要の停滞」に次いで「材料等仕入単価の上昇」が2位に入っており、需要の掘起こし・取込みと合わせ、収益性改善に向け新たな課題が顕在化してきた。

【データ:サービス業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△15.2△17.8△ 4.8
売 上 額△ 8.7△11.1△ 2.5
利用客数△ 6.6△ 6.7△ 4.7
資金繰り△13.1△ 6.7△ 7.1
採算(収益)△17.4△17.8△14.3

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.需要の停滞          18.6%
 2.材料等仕入単価の上昇     15.7%
 3.利用者ニーズの変化への対応  12.7%
 4.人件費以外の経費の増加     9.8%
 5.従業員の確保難         8.8%
 5.店舗設備の狭隘・老朽化     8.8%
 
【改正建築基準法の影響】
 企業経営に与える影響については、「大きな影響がある」5.0%、「多少影響がある」22.5%で、合わせて27.5%となった。逆に「影響はない」は47.5%で、小売・卸売業と同程度の割合となった。
 影響の内容としては、「受注・売上の低下」が42.1%と最も高く、次いで「事業計画の狂い」26.3%、以下「売上回収の遅延」15.8%、「資金繰りの悪化」10.5%と続いた。他の業種と比べ「資金繰りの悪化」の割合が高い。

(1)自社の経営への影響
大きな影響がある 5.0%
多少影響がある22.5%
あまり影響はない25.0%
影響はない47.5%

(2)影響の内容
1.受注・売上の低下42.1%
2.事業計画の狂い26.3%
3.売上回収の遅延15.8%
4.資金繰りの悪化10.5%
5.計画変更、クレーム発生 5.3%

【主な事業者の声】
 ・ 売上の減少とともに収益も減少し、ますます経営難が予想される。(自動車修理)
 ・ 競争の激化と契約済みにより、原材料の上昇をそのまま値上げできない。(宅配)
 ・ 合宿免許で地方に客が流れている。(自動車教習)
 ・ 燃料が上昇し、経営を圧迫している。(運送)
 ・ 燃料費高騰、人員不足等により、厳しい経営が続いている。(運送)




●平成19年7〜9月期分


●平成19年4〜6月期分


●平成19年1〜3月期分


●平成18年10〜12月期分


●平成18年7〜9月期分


●平成18年4〜6月期分


●平成18年1〜3月期分


●平成17年10〜12月期分


●平成17年7〜9月期分


●平成17年4〜6月期分


●平成17年1〜3月期分


●平成16年10〜12月期分


●平成16年7〜9月期分


●平成16年4〜6月期分


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