岡崎市内景況調査結果

(平成19年1〜3月期分)




〜景況DIは5.3ポイントの下降、回復に向けた動きは一服〜

 

 岡崎市内の今期の景況DIは、前年同期と比較し△9.9と前回調査より5.3ポイント下降し、2期振りにマイナス幅が拡大した。サービス業で改善がみられたものの、製造業における売上DI・採算(収益)DIが前期の反動から大きく落ち込んだことが影響した。
 来期の景況DIについてもさらに5.9ポイントの下降を見込んでおり、回復に向けた動きは一服の予想である。



1.調査対象
  (1)対象企業数  本所各部会役員・幹事事業所 485企業
  (2)回答企業数  有効回答202企業(回答率41.6%)

2.調査対象時期
  平成19年1〜3月期
  (1)前年同期(平成18年1〜3月)と比べた今期の状況
  (2)今期と比べた来期(平成19年4〜6月)の先行き見通し

3.調査時点
  平成19年3月28日〜平成19年4月11日

4.調査方法
  ファクシミリによるアンケート方式

5.有効回答企業数内訳
業    種回答企業数構成比
製 造 業5426.7%
建 設 業4622.8%
小売・卸売業5125.2%
サービス業5125.2%
合    計202100.0%

6.その他
 本報告書中のDIとは、「ディフュージョン・インデックス」(景気動向指数)の略で、各調査項目について「増加」(上昇、好転)した企業割合から、「減少」(低下、悪化)した企業割合を差し引いた値である。例えば、売上額で「増加」30%、「不変」50%、「減少」20%の場合のDIは、30−20=10となる。
 


■市内の景況全体の概要

 岡崎市内の今期(平成19年1〜3月)の景況判断DIは、前年同期(平成18年1〜3月)と比較し、全業種で△9.9と前回調査(平成18年10〜12月、△4.6)より5.3ポイント下降し、2期振りにマイナス幅が拡大した。前期の製造業における大幅改善の反動が影響したものであるが、5ポイントを超える下降幅は本調査開始(平成16年4〜6月) 以降では最大のものとなった。
 来期(平成19年4〜6月)の先行き見通しについても、全業種で△15.8とさらに5.9ポイントの下降を予測、回復に向けた動きは一服の予想である。
 その他の指標についてみると、売上額DIは前年同期と比較し、全業種で△1.0と前回調査(9.1)より10.1ポイント下降しマイナスに転じた。製造業における大幅な下落が影響している。来期についてもさらに5.9ポイント下降し悪化を見込んでいる。
 また、資金繰りDIについては0.3ポイント減の△5.9と幾分悪化、来期についてもさらにマイナス幅の拡大を予想している。採算(収益)DIに関しても8.1ポイント減の△19.3と、マイナス幅が拡大したが、来期については1.0ポイント増と幾分の改善を見込んでいる。

【データ−全業種】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△ 4.6△ 9.9△15.8
売 上 額  9.1△ 1.0△ 6.9
資金繰り△ 5.6△ 5.9△ 7.9
採算(収益)△11.2△19.3△18.3
※売上額は、建設業では完成工事(請負工事)額



■業種別の概要

(1)製造業
 景況DIは△9.2となり、前期と比べ23.0ポイントの大幅な下落となった。これは売上額が前期の反動から26.2ポイント減の13.0に低下、製品在庫に改善がみられたものの、原材料仕入価格と諸経費の高騰により、採算(収益)を圧迫したことが大きく影響したものである。
 来期についても、売上額が20.4ポイントの大幅な下落を予測しており、原材料仕入価格に改善が見込まれるものの、採算(収益) はさらに下落するなど、減収・減益を予想している。その結果、景況もさらに13.0ポイント下落しマイナス幅の拡大を見込んでいる。景気拡大基調の中での調整局面を迎えているとみられる。
 経営上の問題点としては、引き続き「原材料価格の上昇」が1位となっており、これが利幅拡大を妨げ、収益の伸び悩みにつながっている。一方、人手および設備の不足感は慢性化の中で幾分緩和、逆に「需要の停滞」がウエイトを高めつつある。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.原材料価格の上昇       21.3%
 2.従業員の確保難        14.9%
 3.生産設備の不足・老朽化    13.5%
 4.需要の停滞          11.3%
 5.製造単価の低下         9.2%
 
【主な事業者の声】
 ・受注に動きはあるが、短期間での生産対応力が求められている。(自動車部品)
 ・小麦粉が自由化により価格が上昇している。(食品)
 ・小売業者の倒産等で大手チェーン店に販売が移行しており、売り先の確保が難しくなっている。(繊維)
 ・リサイクル業界に必要な繊維屑原料が不足している。(繊維)
 ・印刷から他のメディアへの移行が進んでいる。(印刷)
 ・輸入作業手袋による業界圧迫等、不安材料が山積している。(繊維)

【データ−製造業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況 13.8△ 9.2△22.2
売 上 額 39.2 13.0△ 7.4
原材料仕入価格 64.7 70.3 48.1
製品在庫 15.7△ 1.9  0.0
資金繰り  1.9  0.0  0.0
採算(収益) 11.8△13.0△16.7



(2)建設業
 完成工事(請負工事)額が5.9ポイント下落、また受注(新規契約工事)額も民間工事の需要が低迷したことなどから、7.0ポイント下落した。また、請負単価の下落と資材仕入価格の高騰もあり、景況DIは7.0ポイント減の△26.1とマイナス幅が拡大した。
 来期の景況見通しについても4.4ポイント減の△30.5と見込んでおり、さらに悪化を予想している。資材仕入価格は改善されるものの、公共工事が不需要期に入ることから、関連事業者を中心に慎重な見方が増えており、小幅ながら減収・減益となる見通しである。
 経営上の問題点として「請負単価の低下」が1位となっており、価格低迷による収益圧迫を受け、資金繰り面に窮屈な状況を予想する企業が多くなっている。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.請負単価の低下        19.4%
 2.材料価格の上昇        14.7%
 3.従業員の確保難        13.2%
 4.新規参入業者の増加      10.1%
 5.人件費以外の経費の増加     7.8%
 5.需要の停滞           7.8%
 
【主な事業者の声】
 ・公共工事をはじめとして工事量が大幅に減少している。また、法律による種々の規制が強まっている。(土木工事)
 ・公共物件発注分の工事金が低下している。(一般建設)
 ・従業員の補充が難しい状況にある。(設備工事)
 ・受注価格の厳しさが全てに影響している。(造園)
 ・原料の枯渇化による生産調整と仕入価格の上昇が続いている。(砕石工事)
 ・長引く業況の中で廃業が出ている。また、商社の乱売による影響で価格が低迷している。(石材)
 ・一部の好況業種により日本の景気動向が上向きといわれているが、全国的に中小・零細企業は厳しい。しっかり見据えてほしい。(石材)
 ・年度末工事が終了し、新規の公共工事が減少している。(設備工事)
 ・有能な技術者の確保が困難になっている。(石材)


【データ−建設業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△19.1△26.1△30.5
完成工事(請負工事)額△ 7.1△13.0△34.8
受注(新規契約工事)額△19.1△26.1△41.3
資材仕入価格 64.3 58.7 50.0
資金繰り△16.7△19.6△21.8
採算(収益)△38.1△39.2△41.3



(3)小売・卸売業
 景況DIは△7.9となり、前期と比べ1.0ポイント下落した。商品仕入価格の持ち直しが図られたものの、売上額が12.7ポイント減の△5.8とマイナスに転じた。また採算(収益)も諸経費の高騰などから7.5ポイント下落したことで、全体として僅かながらも悪化する結果となった。
 来期については、売上額が19.6ポイントと大幅に上昇するのをはじめ、商品在庫・商品仕入価格も引き続きも改善が見込まれることから、採算(収益)も好転を予測している。その結果、景況は4.0ポイント増の△3.9までの改善を見込んでいる。
 経営上の問題点をみると、「需要の停滞」と「仕入単価の上昇」が上位にあがっており、収益面の改善が遅れぎみであることを反映したものとなった。雇用面では人手不足が慢性化しており、「人材確保」も大きな課題となっている。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.需要の停滞            22.5%
 2.仕入単価の上昇          14.2%
 3.従業員の確保難          11.7%
 3.人件費の増加           11.7%
 5.大企業の進出による競争の激化   10.0%

【主な事業者の声】
 ・小規模店舗における後継者不足で、買受人の減少が続いている。(食品卸売)
 ・2月が暖かく、3月が寒いという典型的な悪いパターンとなり、季節商品の出足が悪い。春物を着用する機会が少なく推移している。(衣料品小売)
 ・ステンレス材の高騰が続いている。(設備卸売)
 ・不況から脱出の感あり、客単価が確実にアップしている。(スーパー)
 ・ふところ具合が少し良くなったのか、明るい色や派手な柄の商品が出だしている。 (衣料品小売)
 ・2007年問題や少子化問題がある中、需要としては増加傾向にあるが、収益性は悪化している。年度末以降見通しは厳しい。(身の回り品卸売)  

【データ】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△ 6.9△ 7.9△ 3.9
売 上 額  6.9△ 5.8 13.8
商品仕入価格 43.1 41.1 29.4
商品在庫  5.1  3.9△ 3.9
資金繰り  3.5△ 5.9△ 7.9
採算(収益)△12.1△19.6△15.7



(4)サービス業
 売上額が6.5ポイント増加し0.0(同数)レベルまで上昇した他、利用者数も1.7ポイント増加しプラス幅が拡大した。また採算(収益)も2.9ポイント増の△7.9と改善、資金繰りも大幅に緩和した。その結果、景況DIは前期と比べ10.7ポイント上昇しプラスに転じた。
 しかしながら、来期の見通しについては、当期の反動により売上額・利用者数とも幾分の減少を予想。採算(収益)面も厳しい見方から減収・減益を予想、景況も9.9ポイントの下落を見込んでいる。
 経営上の問題点としては、「需要の停滞」のウエイトが上昇、2位にあげられている「利用者ニーズの変化への対応」にいかに取組み、それを需要の掘起こし・取込みにどう繋げられるかが大きな課題となっている。また「従業員の確保難」も3位に入ってきており、当業界にも顕在化してきた。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.需要の停滞          18.1%
 2.利用者ニーズの変化への対応  16.4%
 3.従業員の確保難        14.7%
 4.人件費以外の経費の増加    12.9%
 5.利用料金の低下         8.6%

【主な事業者の声】
 ・利用客が減少し燃料費が高騰しているため、業況は悪化している。(タクシー)
 ・企業の設備投資は活発である。(不動産賃貸・仲介)
 ・新規市場が拡大している。(情報処理)
 ・少子化の進行、道交法改正により業界全体が厳しい状況にある。また、値引きと合宿校への流れが進んでいる。(自動車教習)
 ・少子化により需要が減少している。(自動車教習)(技能講習)
 ・低価格化傾向が心配である。(宅配)
 ・従業員不足が深刻化している。(運送)

【データ】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△ 8.7  2.0△ 7.9
売 上 額△ 6.5  0.0△ 1.9
利用客数  2.2  3.9  2.0
資金繰り△15.3  0.0△ 3.9
採算(収益)△10.8△ 7.9△ 1.9



●平成18年10〜12月期分


●平成18年7〜9月期分


●平成18年4〜6月期分


●平成18年1〜3月期分


●平成17年10〜12月期分


●平成17年7〜9月期分


●平成17年4〜6月期分


●平成17年1〜3月期分


●平成16年10〜12月期分


●平成16年7〜9月期分


●平成16年4〜6月期分


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