岡崎市内景況調査結果

(平成19年7〜9月期分)




〜景況DIは6.8ポイントの下降。3期連続でマイナス、一服感続く〜

 

 岡崎市内の今期の景況DIは、前年同期と比較し△19.5と前回調査より6.8ポイント下降し、3期連続でマイナス幅が拡大した。景況DI指数としては、本調査では最も低いものとなった。全ての業種で下降したが、特に小売・卸売業およびサービス業における下降幅が大きく、全体を引き下げる要因となった。

 来期については建設業を中心に改善が見込まれ、景況DIは0.9ポイントの上昇を予想、緩やかな回復を見込んでいる。

 <原油価格高騰の影響 − 付帯調査>
8割以上が自社の収益に影響を受けており、その内約6割は「ほとんど価格転嫁できていない」ことが分かった。



1.調査対象
  (1)対象企業数  本所各部会役員・幹事事業所 476企業
  (2)回答企業数  有効回答221企業(回答率46.4%)

2.調査対象時期
  平成19年7〜9月期
  (1)前年同期(平成18年7〜9月)と比べた今期の状況
  (2)今期と比べた来期(平成19年10〜12月)の先行き見通し

3.調査時点
  平成19年9月27日〜平成19年10月5日

4.調査方法
  ファクシミリによるアンケート方式

5.有効回答企業数内訳
業    種回答企業数構成比
製 造 業6429.0%
建 設 業5123.1%
小売・卸売業6027.1%
サービス業4620.8%
合    計221100.0%

6.その他
 本報告書中のDIとは、「ディフュージョン・インデックス」(景気動向指数)の略で、各調査項目について「増加」(上昇、好転)した企業割合から、「減少」(低下、悪化)した企業割合を差し引いた値である。例えば、売上額で「増加」30%、「不変」50%、「減少」20%の場合のDIは、30−20=10となる。



■市内の景況全体の概要

 岡崎市内の今期(平成19年7〜9月)の景況判断DIは、前年同期(平成18年7〜9月)と比較し、全業種で△19.5と前回調査(平成19年4〜6月、△12.7)より6.8ポイント下降し、3期連続でマイナス幅が拡大した。景況DI指数としては平成17年7〜9月の△16.3より下回り、本調査開始以降では最も低いものとなった。また、下降幅も平成19年1〜3月の5.3ポイントを超え、過去最大のものとなった。

 業種別では、製造業で3.1ポイント減の△3.1、建設業で2.3ポイント減の△35.3、小売・卸売業で12.1ポイント減の△26.7、サービス業で8.6ポイント減の△15.2と、全ての業種で下降しマイナス幅が拡大した。特に小売・卸売業およびサービス業における下降幅が大きく、全体を引き下げる要因となった。

 一方、来期(平成19年10〜12月)の先行き見通しについては、全業種で0.9ポイント増の△18.6と、緩やかな回復を見込んでいる。業種別では、製造業で△9.5ポイント減と引き続き下降を予測しているが、反面、建設業では11.7ポイント増と大幅に改善される他、小売・卸売業でも3.4ポイント上昇し、マイナス幅が縮小する見通しである。

 その他の指標についてみると、売上額DIは前年同期と比較し、全業種で△12.7と前期より7.8ポイント下降しマイナス幅が拡大した。建設業、小売・卸売業における大幅な下落が影響している。しかしながら、来期については一転5.5ポイント回復し、幾分明るい見方を予想している。

 一方、資金繰りDIについては9.1ポイント減の△15.4と窮屈感がみられたが、来期については幾分の改善を見込んでいる。採算(収益)DIに関しても8.4ポイント減の△29.8と、マイナス幅が拡大した。来期については、逆に4.0ポイント増と改善を見込んでいる。

【データ:全業種】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△12.7△19.5△18.6
売 上 額△ 4.9△12.7△ 7.2
資金繰り△ 6.3△15.4△14.1
採算(収益)△21.4△29.8△25.8
※売上額は、建設業では完成工事(請負工事)額

【原油価格高騰の影響】
 最近の原油価格の高騰は、地域の企業活動にさまざまな影響を与えている。そこで今回、付帯調査として「原油価格高騰の影響」について調べてみた。

 原油価格高騰が企業収益に与える影響については、なんらかの影響がある企業(大きな影響がある・多少影響がある)が8割以上みられた。原油価格高騰が企業に与える影響はきわめて大きいことが分かった。

 原油価格高騰の影響が最も高いのは「建設業」で94.0%、次いで「製造業」90.6%。以下「小売・卸売業」86.7%、「サービス業」72.8%と続いた。燃料依存度の高い業種ほど、原油価格高騰の影響が大きい。

 原油価格高騰により最も増大した経費としては、「原材料費・資材費」が52.2%と過半数を超えた。次いで「燃料費」31.3%、「輸送費」10.4%、「その他」6.4%となった。

 原油価格高騰に対する価格転嫁について、「ほとんど転嫁できていない」が38.1%、「全く転嫁できていない」が21.8%となり、両者で6割を超える回答となった。原油価格高騰の影響を受けながらも、価格転嫁の実施が難しい企業実態が伺えた。

(1)自社の収益への影響
大きな影響がある33.5%
多少影響がある53.2%
あまり影響はない 6.9%
影響はない 6.4

(2)最も増大した経費
原材料費・資材費52.2%
輸送費10.4%
燃料費31.3%
その他 6.0

(3)価格転嫁の実施
ほぼ転嫁できている 4.0%
半分程度転嫁できている13.4%
少し転嫁できている22.8%
ほとんど転嫁できていない38.1
全く転嫁できていない21.8



■業種別の概要

(1)製造業

 景況DIは△3.1となり、前期の0.0からマイナスに転じた。原材料仕入価格が幾分改善されたものの、売上額が前期の反動から8.1ポイント低下、これが製品在庫の超過、資金繰りの悪化、また採算(収益)を圧迫したことが影響した。
 来期についても、売上額が1.6ポイント下落、原材料仕入価格に引き続き改善が見込まれるものの、採算(収益) はさらに悪化するなど、減収・減益を予想している。その結果、景況もさらに9.5ポイント下落しマイナス幅の拡大を見込んでいる。
 経営上の問題点としては、「原材料仕入価格の上昇」がウエイトを下げたものの引き続き1位となった。これが利幅拡大を妨げ、収益の伸び悩みにつながっている。一方、人手不足感は慢性化しており、「需要の停滞」も調査毎にウエイトを高めている。

【データ:製造業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況  0.0△ 3.1△12.6
売 上 額 17.5  9.4  7.8
原材料仕入価格 78.9 76.5 54.7
製品在庫  1.7  6.2  3.1
資金繰り  7.0△ 9.3△14.0
採算(収益)△10.5△10.9△14.1

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.原材料価格の上昇       26.9%
 2.従業員の確保難        18.1%
 3.生産設備の不足・老朽化    10.6%
 4.需要の停滞           9.4%
 5.人件費の増加          8.8%
 
【原油価格高騰の影響】
 企業収益に与える影響については、「多少影響がある」が最も多く53.1%、次いで「大きな影響がある」が37.5%となり、両者で9割を超えた。
 原油価格高騰により最も増大した経費としては、「原材料費・資材費」が73.0%と他の業種と比べ高い割合となった。次いで「燃料費」が19.0%となった。
 原油価格高騰に対する価格転嫁については、「ほとんど転嫁できていない」が最も高く33.3%、以下「半分程度転嫁できている」22.2%、「全く転嫁できていない」20.6%、「少し転嫁できている」19.0%となり、回答にばらつきがみられた。

(1)自社の収益への影響
大きな影響がある37.5%
多少影響がある53.1%
あまり影響はない 7.8%
影響はない 1.6

(2)最も増大した経費
原材料費・資材費73.0%
輸送費 3.2%
燃料費19.0%
その他 4.8

(3)価格転嫁の実施
ほぼ転嫁できている 4.8%
半分程度転嫁できている22.2%
少し転嫁できている19.0%
ほとんど転嫁できていない33.3
全く転嫁できていない20.6

【主な事業者の声】
 ・ 低価格の仕事、人件費の高騰等により、収益は改善されていない。(自動車部品)
 ・ リデュース、リユース、リサイクルの3Rの原点を、省庁・行政・学者達はどのように処理しようとしているのか不明瞭。(繊維)
 ・ 原材料の値上げが転嫁できていない。(鋼材)
 ・ 業界は低迷、好転の兆しなし。(化学)
 ・ 中国市場との競合は激化している。(樹脂)



(2)建設業

 完成工事(請負工事)額が10.3ポイント下落した他、受注(新規契約工事)額も公共工事が端境期により大きく低迷したことなどから、8.7ポイント下落した。また、請負価格の下落と資材仕入価格の高騰もあり採算(収益)は13.2ポイント悪化、その結果、景況DIは2.3ポイント減の△35.3とマイナス幅が拡大した。
 来期については、今期の反動から完成工事(請負工事)額が17.7ポイント増加すると予測しており、資材仕入価格が改善される中、増収・増益の展開を予想している。その結果、景況も11.7ポイント改善しマイナス幅が縮小する見通しである。
 経営上の問題点として「請負単価の低下」が引き続き1位となっており、価格低迷による収益圧迫を受け、資金繰り面に窮屈な状況を予想する企業が多くなっている。

【データ:建設業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△33.0△35.3△23.6
完成工事(請負工事)額△25.0△35.3△17.6
受注(新規契約工事)額△18.8△27.5△25.5
資材仕入価格 66.7 70.5 58.8
資金繰り△25.0△23.6△17.6
採算(収益)△41.7△54.9△39.2

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.請負単価の低下        22.1%
 2.材料価格の上昇        19.1%
 3.従業員の確保難        12.5%
 4.需要の停滞          10.3%
 5.人件費以外の経費の増加     7.4%

【原油価格高騰の影響】
 企業収益に与える影響については、「多少影響がある」が最も多く56.0%、次いで「大きな影響がある」が38.0%となり、製造業同様両者で9割を超えた。
 原油価格高騰により最も増大した経費としては、「原材料費・資材費」が62.5%と最も高く、以下「燃料費」27.1%、「輸送費」8.3%と続いた。
 原油価格高騰に対する価格転嫁については、「ほとんど転嫁できていない」が43.8%、「少し転嫁できている」が27.1%となり、両者で7割を超えた。

(1)自社の収益への影響
大きな影響がある38.0%
多少影響がある56.0%
あまり影響はない 4.0%
影響はない 2.0

(2)最も増大した経費
原材料費・資材費62.5%
輸送費 8.3%
燃料費27.1%
その他 2.1

(3)価格転嫁の実施
ほぼ転嫁できている 0.0%
半分程度転嫁できている12.5%
少し転嫁できている27.1%
ほとんど転嫁できていない43.8
全く転嫁できていない16.7

【主な事業者の声】
 ・ 業界の停滞が続く中で、本年に入り一層深刻さが増してきている感じである。(石材)
 ・ 各種の国家資格を持った技術者が、土木工事業の将来に希望が持てず、他業種に転職するケースが多い。欠員を補充したいが、就職希望者がいないというのが現状である。(土木工事)
 ・ 成るようにしかならない。あまり焦らないこと。特異性を高めること。(石材)
 ・ 資材が高騰している。職人不足による外注費が上昇している。(建築)
 ・ 仕事量は確保できるが、資材代が上昇し採算は厳しい。(管工事)



(3)小売・卸売業

 景況DIは△26.7となり、前期と比べ12.1ポイント下落した。商品在庫に改善が図られたものの、売上額が10.9ポイント減の△20.0まで低下、また商品仕入価格も7.7ポイント悪化したことで、採算(収益)も△38.3とマイナス幅が大きく拡大した。そのため、景況は大きく落ち込むこととなった。
 来期については、売上額が6.7ポイント上昇し、商品仕入価格も改善されることから、採算(収益)も幾分好転を予想している。その結果、景況は3.4ポイント改善し、マイナス幅の縮小を見込んでいる。
 経営上の問題点をみると、「需要の停滞」と「仕入単価の上昇」が引き続き上位にあがっており、収益面の改善が遅れぎみであることを反映したものとなった。また、「大企業の進出による競争の激化」もウエイトを高めている。

【データ:小売・卸売業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△14.6△26.7△23.3
売 上 額△ 9.1△20.0△13.3
商品仕入価格 47.3 55.0 48.3
商品在庫△ 3.6△ 8.3△ 5.0
資金繰り△ 7.3△16.7△15.0
採算(収益)△21.8△38.3△36.7

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.需要の停滞            24.5%
 2.仕入単価の上昇          20.6%
 3.大企業の進出による競争の激化   11.0%
 4.従業員の確保難           8.4%
 5.販売単価の低下           7.7%

【原油価格高騰の影響】
 企業収益に与える影響については、「多少影響がある」が最も多く56.7%、次いで「大きな影響がある」が30.0%となり、両者で8割を超えた。
 原油価格高騰により最も増大した経費としては、「原材料費・資材費」が42.6%と最も高く、以下「燃料費」29.6%、「輸送費」18.5%と続き、他の業種と比べ「輸送費」の割合が高い。
 原油価格高騰に対する価格転嫁については、「ほとんど転嫁できていない」が35.2%、「少し転嫁できている」が29.6%、「まったく転嫁できていない」が16.7%となり、合わせて8割を超えた。

(1)自社の収益への影響
大きな影響がある30.0%
多少影響がある56.7%
あまり影響はない 5.0%
影響はない 8.3

(2)最も増大した経費
原材料費・資材費42.6%
輸送費18.5%
燃料費29.6%
その他 9.3

(3)価格転嫁の実施
ほぼ転嫁できている 7.4%
半分程度転嫁できている11.1%
少し転嫁できている29.6%
ほとんど転嫁できていない35.2
全く転嫁できていない16.7

【主な事業者の声】
 ・ 耐震による確認申請の遅れのため、8〜10月は極端に売れない。(資材卸売)
 ・ 9月に入っても気温が高く秋物の販売が遅れており、冬物への流れが悪い状態である。その結果、9月の売上は例年以上に悪い。(衣料品小売)
 ・ 原材料価格が高騰して、商品単価が上がり出した。(身の回り品小売)
 ・ 気候のせいにしたくはないが、残暑の厳しさが秋の商売を飛ばしてしまった。(衣料品小売業)
 ・ 個人消費が低下している。消費への不安を感じる。(身の回り品小売)



(4)サービス業

 売上額が2.0ポイント、利用客数も4.4ポイント減少し、それぞれマイナス幅が拡大した。また採算(収益)も諸経費の高騰により4.1ポイント減の△17.4とマイナス幅が大きく拡大、加えて資金繰りも大幅に悪化した。その結果、景況DIは前期と比べ8.6ポイント減の△15.2となった。
 来期の見通しは、売上額・利用者数とも微増を予測。収益面も幾分改善が見込まれるが、景況DIは今期と同程度を予想している。
  経営上の問題点としては、「需要の停滞」が「利用者ニーズの変化への対応」を抜き1位となった。この両者にいかに取り組むかが、今後の収益性改善の鍵になるものと思われる。なお、人手不足感は慢性化の中で、幾分緩和傾向となっている。

【データ:サービス業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△ 6.6△15.2△15.2
売 上 額△ 6.7△ 8.7△ 8.6
利用客数△ 2.2△ 6.6△ 6.5
資金繰り△ 2.2△13.1△ 8.7
採算(収益)△13.3△17.4△13.1

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.需要の停滞          16.5%
 2.利用者ニーズの変化への対応  11.9%
 3.従業員の確保難        11.0%
 4.材料等仕入単価の上昇     10.1%
 5.店舗設備の狭隘・老朽化     9.2%
 5.人件費以外の経費の増加     9.2%

【原油価格高騰の影響】
 企業収益に与える影響については、「多少影響がある」が最も多く45.5%、次いで「大きな影響がある」が27.3%となり、両者で7割を超えた。一方「影響はない」は15.9%となり、業種別では最も高い割合となった。
 原油価格高騰により最も増大した経費としては、「燃料費」が61.1%と最も高く、他の業種と異なる回答となった。
 原油価格高騰に対する価格転嫁については、「ほとんど転嫁できていない」が最も高く43.2%、次いで「全く転嫁できていない」が37.8%となり、両者で8割を占めた。なお、「まったく転嫁できていない」割合は業種別で最も高い結果となった。

(1)自社の収益への影響
大きな影響がある27.3%
多少影響がある45.5%
あまり影響はない11.4%
影響はない15.9

(2)最も増大した経費
原材料費・資材費16.7%
輸送費13.9%
燃料費61.1%
その他 8.3

(3)価格転嫁の実施
ほぼ転嫁できている 2.7%
半分程度転嫁できている 5.4%
少し転嫁できている10.8%
ほとんど転嫁できていない43.2
全く転嫁できていない37.8

【主な事業者の声】
 ・ 少子化に伴なう競争激化から生じる値引きが激しい。(自動車教習)
 ・ 運賃改定は11月か12月の予定。(タクシー)
 ・ 大口需要が減少してきている。(情報処理)
 ・ 従業員の技術向上が課題である。(美容)
 ・ 道路交通法が厳しくなり、その影響は大きい。(飲食店)
 ・ 燃料費高騰、人員不足等により、厳しい経営が続いている。(運送)




●平成19年4〜6月期分


●平成19年1〜3月期分


●平成18年10〜12月期分


●平成18年7〜9月期分


●平成18年4〜6月期分


●平成18年1〜3月期分


●平成17年10〜12月期分


●平成17年7〜9月期分


●平成17年4〜6月期分


●平成17年1〜3月期分


●平成16年10〜12月期分


●平成16年7〜9月期分


●平成16年4〜6月期分


調査MENUへ戻る