岡崎市内景況調査結果
(平成18年7〜9月期分)
〜景況DIは0.7ポイントの小幅下降、回復に向けた動きは一服〜
今期の景況DIは、前年同期と比較し△7.7と前回調査より0.7ポイント下降し、小幅ながら2期振りにマイナス幅が拡大した。原材料価格の上昇で収益を圧迫したことが影響し、全ての業種で下降した。
来期については製造業を中心に上向き、景況DIは1.1ポイントの上昇を予想、回復基調を維持する見込みである。
1.調査対象
(1)対象企業数 本所各部会役員・幹事事業所 488企業
(2)回答企業数 有効回答222企業(回答率45.5%)
2.調査対象時期
平成18年7〜9月期
(1)前年同期(平成17年7〜9月)と比べた今期の状況
(2)今期と比べた来期(平成18年10〜12月)の先行き見通し
3.調査時点
平成18年9月28日〜平成18年10月10日
4.調査方法
ファクシミリによるアンケート方式
5.有効回答企業数内訳
業 種 | 回答企業数 | 構成比 |
製 造 業 | 60 | 27.0% |
建 設 業 | 45 | 20.3% |
小売・卸売業 | 63 | 28.4% |
サービス業 | 54 | 24.3% |
合 計 | 222 | 100.0% |
6.その他
本報告書中のDIとは、「ディフュージョン・インデックス」(景気動向指数)の略で、各調査項目について「増加」(上昇、好転)した企業割合から、「減少」(低下、悪化)した企業割合を差し引いた値である。例えば、売上額で「増加」30%、「不変」50%、「減少」20%の場合のDIは、30−20=10となる。
■市内の景況全体の概要
岡崎市内の今期(平成18年7〜9月)の景況判断DIは、前年同期(平成17年7〜9月)と比較し、全業種で△7.7と前回調査(平成18年4〜6月、△7.0)より0.7ポイント下降し、小幅ながら2期振りにマイナス幅が拡大した。全ての業種で下降したが、中でもサービス業における下降幅が大きく、全体を引き下げる要因となった。回復に向けた動きは一服となったが、下降が小幅にとどまったことで回復基調は維持されたものと思われる。
来期(平成18年10〜12月)の先行き見通しについては、製造業を中心に上向きに転じ、全業種で△6.6と1.1ポイントの改善を予想、緩やかな回復を見込んでいる。
その他の指標についてみると、売上額DIは前年同期と比較し、全業種で△2.7と前回調査(1.0)より3.7ポイント下降しマイナスに転じた。サービス業における大幅な下落が影響している。しかしながら、来期については一転6.4ポイント上昇し、明るい見方を予想している。
一方、資金繰りDIについては3.4ポイント減の△6.3とやや窮屈感がみられたが、来期については幾分の改善を見込んでいる。採算(収益)DIに関しても9.7ポイント減の△28.1と、マイナス幅が拡大した。来期については、逆に8.0ポイント増と比較的大幅な改善を見込んでいる。
【データ−全業種】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △ 7.0 | △ 7.7 | △ 6.6 |
売 上 額 | 1.0 | △ 2.7 | 3.7 |
資金繰り | △ 2.9 | △ 6.3 | △ 5.1 |
採算(収益) | △18.4 | △28.1 | △20.1 |
※売上額は、建設業では完成工事(請負工事)額
■業種別の概要
(1)製造業
景況DIは△6.6となり、前期と比べ1.4ポイント下降した。これは売上額が前期の反動から2ケタの増加となったものの、製品在庫の大幅な超過、原材料価格の上昇と諸経費の高騰により、採算(収益)を圧迫したことが影響したものである。
来期については、売上額が17.9ポイント増加すると予測しており、原材料価格が大幅に改善される中、採算(収益)も回復、自動車・機械機器関連を中心に操業水準が高まり、増収・増益の展開を予想している。その結果、景況も13.7ポイント改善しプラスに転じる見通しである。
経営上の問題点としては、引き続き「原材料仕入価格の上昇」が1位となっているが、「従業員の確保難」のウエイトも高まってきており、両者で約4割を占めている。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.原材料価格の上昇 21.6%
2.従業員の確保難 17.0%
3.需要の停滞 12.4%
4.人件費の増加 11.1%
5.生産設備の不足・老朽化 9.1%
【主な事業者の声】
・原油の値上がりによる諸経費の高騰が痛い。販売価格は値上げできない。(繊維)
・産業機械、工作機械関連は好況。(機械)
・ニット、繊維関係は量販店の売上増加により、中小の問屋などの販路がなくなり非常に苦しい。(繊維)
・主要取引先好況による生産増加に対応している。(機械)
・得意先が高齢化しており、将来が不安である。副資材の品質が低下している。(繊維)
・原材料価格が上昇しているが、売上単価は思うように上げることができない。(繊維)
・食品の安心・安全への法的規制の強化が必要。(食品)
・原材料仕入価格が高止まりしている。(機械)
・業界で価格破壊が起こっている。(印刷)
【データ−製造業】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △ 5.2 | △ 6.6 | 7.1 |
売 上 額 | △ 1.7 | 10.2 | 28.1 |
原材料仕入価格 | 71.4 | 72.9 | 42.1 |
製品在庫 | △ 8.8 | 13.8 | 5.2 |
資金繰り | △ 5.2 | △ 1.6 | 8.7 |
採算(収益) | △19.3 | △19.7 | △ 3.5 |
(2)建設業
完成工事(請負工事)額が3.3ポイント上昇したものの、受注(新規契約工事)額は公共工事が端境期により大きく低迷したことなどから、20.3ポイント下落した。また、請負価格の下落と資材仕入価格の高騰もあり採算(収益)は16.7ポイント下降、その結果、景況DIは1.9ポイント減の△21.0とマイナス幅が拡大した。
来期の景況見通しについても6.3ポイント減の△27.3と見込んでおり、さらに悪化を予想している。資材仕入価格は大幅に改善されるものの、引き続き公共工事にはあまり期待できないとの見方から完成工事額が低迷、景況DIもさらに6.3ポイントの悪化を予想している。
経営上の問題点をみると、「材料価格の上昇」と「請負単価の低下」が引き続き上位にあがっており、収益圧迫を受け資金繰り面に窮屈な状況を予想する企業が多くなっている。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.材料価格の上昇 22.1%
2.請負単価の低下 20.6%
3.従業員の確保難 12.2%
4.需要の停滞 9.9%
5.取引条件の悪化 6.1%
【主な事業者の声】
・積算単価基準の引き下げにより契約内容の採算が悪化している。(土木)
・業界全体に低迷が続いている。業界としての対策が強く望まれる。(石製品)
・官公庁発注工事が激減している。設計金額も低下している。(建築)
・請負工事単価が低下している反面、工事原価は上昇している。(土木)
・仕事量は確保できるが、材料代が上昇し採算は厳しい。(管工事)
・受注額が減少し、仕入額や経費は上昇している。(土木)
・資材が高騰している。職人不足による発注金が上昇している。(建築)
【データ−建設業】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △19.1 | △21.0 | △27.3 |
完成工事(請負工事)額 | △14.6 | △11.3 | △28.8 |
受注(新規契約工事)額 | △10.7 | △31.0 | △27.3 |
資材仕入価格 | 64.6 | 77.3 | 62.0 |
資金繰り | △ 8.3 | △ 9.1 | △ 8.9 |
採算(収益) | △33.3 | △50.0 | △51.2 |
(3)小売・卸売業
景況DIは△8.0となり、前期と比べ2.7ポイント下落した。商品在庫に幾分の改善が図られたものの、売上額が5.3ポイント減の0.0(同数)レベルまで低下、また商品仕入価格も8.9ポイント悪化したことで、全体として僅かながらマイナス幅が拡大する結果となった。
来期については、売上額が11.4ポイント上昇することから採算(収益)も好転を予想、その結果、景況は6.3ポイント増の△1.7までの改善を見込んでいる。
経営上の問題点では、「従業員の確保難」が調査毎にウエイトを高めており、収益面の改善に加え大きな課題として顕在化しつつある。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.需要の停滞 17.2%
2.従業員の確保難 12.6%
2.仕入単価の上昇 12.6%
4.大企業の進出による競争の激化 9.9%
5.人件費の増加 7.9%
【主な事業者の声】
・物から情報に販売システムが変化している。(家庭用品小売)
・三河地区の住宅着工件数が増加している。その分他地域から競合他社が進出してきており、粗利益率の低下を招いている。(建築資材卸売)
・顧客管理をしっかり行っているところは強い。(身の回り品小売)
・同業者及びメーカーで廃業がみられている。(雑貨卸売)
・店主の高齢化が進み、廃業も増えてきた。(食品卸売)
・郊外型ショッピングセンターでの買い物や、有料駐車場には留めないなど、若い女性の行動が変わってきた。(身の回り品小売)
【データ】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △ 5.3 | △ 8.0 | △ 1.7 |
売 上 額 | 5.3 | 0.0 | 11.4 |
商品仕入価格 | 34.0 | 42.9 | 44.2 |
商品在庫 | △ 3.6 | △ 1.6 | 0.0 |
資金繰り | △ 3.5 | △ 7.9 | △ 8.2 |
採算(収益) | △15.8 | △23.8 | △18.0 |
(4)サービス業
売上額が30.5ポイント、利用客数も21.1ポイント減少し、それぞれマイナスに転じた。また採算(収益)も諸経費の高騰により21.9ポイント減の△24.5とマイナス幅が大きく拡大、加えて資金繰りも悪化し、景況DIは前期と比べ15.5ポイント減の△13.0となった。
しかしながら、来期の見通しは当期の反動により売上額・利用者数とも大幅な増加を予測。収益面も改善が見込まれ、景況DIは3.1ポイントの改善を予想している。
経営上の問題点として上位にあげられている「利用者ニーズの変化への対応」にいかに取組むかが、今後の収益性改善の鍵になるものと思われる。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.需要の停滞 16.1%
2.利用者ニーズの変化への対応 14.5%
3.従業員の確保難 11.3%
4.人件費の増加 10.5%
5.人件費以外の経費の増加 9.7%
【主な事業者の声】
・テレビなどでの飲酒キャンペーンの影響で客が減少している。(飲食店)
・差別化を心がけないと、大資本には勝てない。(情報誌発行)
・利用者が減少している。燃料費の上昇も厳しい。(タクシー)
・少子化のため需要が減少している。(自動車教習)
・大口需要が減少してきている。(情報処理)
・土地等売却物件が減少している。(不動産)
・夏場の天候不順・猛暑が大きく影響している。(レジャー)
・燃料高騰、人員不足、NOXPM法による車両入替費が増加している。(運送)
【データ】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | 2.5 | △13.0 | △ 9.9 |
売 上 額 | 17.5 | △13.0 | △ 4.0 |
利用客数 | 10.0 | △11.1 | 0.0 |
資金繰り | 7.6 | △ 7.4 | △13.7 |
採算(収益) | △ 2.6 | △24.5 | △13.7 |
●平成18年4〜6月期分
●平成18年1〜3月期分
●平成17年10〜12月期分
●平成17年7〜9月期分
●平成17年4〜6月期分
●平成17年1〜3月期分
●平成16年10〜12月期分
●平成16年7〜9月期分
●平成16年4〜6月期分
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