(15)問15.情報化における要員確保について

 企業の情報化を推進するにあたっては実際にそれを担当する人材が必要である。本設問はその人材確保の現状はどうなっているかを問うものである。全体的にはまだまだ要員確保は難しい様子が結果からうかがえる。理想的には専任者がいるのが望ましいが、最低でも社内に詳しい人材が存在しないと情報化は進展しない。

 1)社内における情報化専任者の現状

 情報化を推進するには社内にその専任者が存在することは情報化を成功させるための大きな鍵となることは言うまでもない。しかしながら既に専任者が「いる」企業は35.6%であり(図3-15-1)、「必要ではない」と回答している企業が18.8%である。これは今回のアンケートが小規模企業中心となっているため、妥当な数字だと言えなくもない。しかしながら「今後採用したい」と回答した企業が2%しかないというのは驚きの数字である。もう少し積極的なマインドが見受けられるものだと予想していた。
業種別に見てみると、いままでの設問と同じような傾向が現れている(図3-15-2)。金融・保険業と情報関連だけが専任者の保有割合が高く、他の業種の2倍近い数字になっている。
従業員規模別も同様である(図3-15-3)。基本的に従業員数が多いほど専任者を確保している企業の割合が高くなっている。50〜99人規模で確保率が伸びていない。この従業員数の企業は従業員一人当たりの収益率が悪いことも影響していると思われる。

 2)社内における詳しい従業員の現状

中小・零細企業はなかなか専任スタッフを確保することはむずかしい。そこでその代替案として出てくるのはパソコンやインターネットに詳しい従業員が兼務することである。そこで本設問はそのような従業員がどのくらい確保されているかを調べてみた。
 全体的に見てみると1)の専任者と傾向はあまり変わらない(図3-15-4)。しかしながら「必要ない」と考えている企業の割合は減少しており、そのかわりに「いる」および「今後採用したい」の割合が増加している。やはり、専任者の確保はむずかしいが詳しい従業員であればなんとか確保が可能だということであろう。
業種別・従業員規模別で見てみてもやはり1)と同様の傾向である(図3-15-5、3-15-6)。1)の従業員規模別では若干比例関係になっていない規模(50〜99人)があったが、この設問はきれいに比例関係にあることがわかる。
     (2)
(1) 
いる 今後採用
したい
いない 必要ない 未回答
いる 70.6% 1.2% 16.0% 9.8% 2.5%
今後採用
したい
26.7% 40.0% 20.0% 13.3% 0.0%
いない 7.9% 0.0% 81.8% 9.7% 0.6%
必要ない 2.4% 0.0% 4.9% 92.7% 0.0%
 表3−15−1は1)と2)における回答の関連性を表した表である。この表を見てみると対角になっている(網掛け部分)が回答率が高い。詳しい従業員がいる場合に、専任者がいる企業割合は70.6%、今後採用したいと考えいている企業割合は1.2%、いない企業割合が16.0%、必要ないと考えている企業割合が9.8%である。ということは詳しい従業員はいるが専任者はいない企業の割合は3割弱である。専任者は必要ないと考えている企業は10%に満たない。これは専任者が雇用できないので「詳しい従業員」を確保するという当初の予想を覆す結果となった。詳しい従業員を「今後採用したい」と考えている企業においては4割の企業が専任者も確保できずに「今後採用したい」と考えており、詳しい従業員がいなくて専任者を置いている企業は1/4強しかない。この表からわかることは「専任者」と「詳しい従業員」は中小・零細企業では「≒」であると考えていることになろう。

 3)情報化に関する外部相談者の現状

社内に有効な人材がいないとするならば外部の人材を活用せざえるを得ない。そこで本設問は外部相談者の存在をどのくらいの企業で確保しているのかを調べてみた。
 全体の4割の企業が外部に相談相手を確保している(図3-15-7)。その内訳として
 a)関連会社、系列会社、親会社、経営者の親族、友人・知人 等
 b)ソフトベンダ、ハードメーカー(ディーラー)、ホームページ作成先 等
 c)税理士、公認会計士、中小経営コンサルタント会社、商工会議所 等
 d)客先、取引先
などが挙げられた(回答企業数:94)。この4割は予想を上回るものであり、「欲しい」の回答が21.4%でこちらのほうは逆に予想を下回るものであった。
業種別で見てみると、やはり金融・保険業と情報関連における「いる」の回答率の高さが目立つ(図3-15-8)。情報関連で「必要ない」の回答が18.2%あった。これは自社ですべて賄うということと思われる。
従業員規模別では典型的な回答になった(図3-15-9)。従業員規模が大きくなるにつれ、外部相談者が「いる」企業の割合が増加している。300人以上の企業では9割近くの企業で「いる」と回答している。対して5人未満の企業は25.5%しかなく、「必要ない」と回答した企業は23.6%であった。

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