(5)問5.貴社のこれからの情報化の必要性について

 8割近くの企業が情報化の必要性について「とても必要となってくる」、 「どちらかといえば必要である」と回答している(図3-5-1)。情報化の波は着実に中小・零細企業にまで届いていることがわかる。 ただ、その波を受けて個々の企業がどのように対処していくのかによって、流され消えてしまうのか、 波に乗っていくのかという大きな分岐点にさしかかっているのではないだろうか。
 業種別で見てみよう。回答企業全てにパソコンが導入されている金融・保険業、情報関連は「とても必要になってくる」に100%回答している(図3-5-2)。 情報化の波を一番先頭で受けている業種ということで納得できる数字であろう。 それに対して小売・飲食業、建設業は「とても必要になってくる」と回答している企業は4割をきっている。 建設業においては「どちらかといえば必要である」という回答を加えても6割を満たない。
 従業員規模間で比較してみると、やはり従業員数が少ないほど情報化の必要性を感じる企業は少なくなっている(図3-5-3)。 5人以下の企業を見ると「とても必要となってくる」と回答した企業は4割を満たない。 それでも「どちらかというと必要である」を加えてみると7割強の企業が情報化の必要性を認めていることになる。 結果からみると「必要性を感じてはいるが危機感は感じていない」というところだろうか。


(6)問6.情報化の現状について

 問5では情報化の将来方向性を調べてみたが、本設問では現実の姿(満足度)はどうなっているのかを調べてみた。現状の情報化に満足している企業は1割も満たない(8.9%、図3-6-1)。6割の企業が「改善の余地あり」と感じ、3.2%の企業が不満を持っている。
これを業種別で見てみる。「一応満足だが改善の余地あり」を第1位に挙げたのは6業種で、「大いに改善の余地あり」を第1位に挙げたのは3業種である(図3-6-2)。「ほぼ満足」している企業の割合は情報関連が他業種に比べて多いが、それでも2割をきっている(16.7%)。金融・保険業では「一応満足だが改善の余地有り」に100%の回答が寄せられている。
 「わからない」と答えた企業が「不満」と答えた企業よりも多い。特に、小売・飲食業、サービス業で回答が多い。これは情報化進捗の目安となる基準が明確になっていないということに他ならない。
次に従業員規模別で見てみる(図3-6-3)。どの従業員規模においても第1位は「一応満足だが改善の余地あり」である。「わからない」回答しているのは19人以下の企業である。「不満」と回答しているのは5人未満と100〜299人の企業しかない。従業員数20〜49人で「ほぼ満足」と回答している企業は存在しない。
以上のことからわかるのは従業員規模が小さくなるほど情報化進捗基準が曖昧になっており、逆に従業員規模が大きくなるほど改善余地が少なくなってきているということであろう。これはスケールメリットの現れでと思われる。


(7)問7.パソコンやインターネットを導入、活用して期待すること

「新規顧客・市場開拓」と「作業効率の向上」が半数以上の企業から回答されている(図3-7-1)。わずかながら「新規顧客・市場開拓」が「作業効率の向上」を上回っているのは現在の経済状況が反映していると思われる。企業の利益は売上の増大か経費の圧縮である。そういう意味ではパソコン・インターネットの導入に関して健全な考え方が浸透していると思われる。しかしながら経費圧縮に大きなウェイトを占める「人件費の圧縮削減」の回答数が少ない。これはパソコン・インターネットを導入・活用しても従業員を減らすことはできないということと思われる。実際にパソコン・インターネットの導入・活用が直接的理由となって従業員の解雇を行った事例は聞いたことがない。そこで作られた余剰人材を他の部署や業務に配置転換を行うことがほとんどであろう。また、中小・零細企業では人材確保が困難を極めている。そういうことも低い回答数につながっているのであろう。
業種別で見てみる。「新規顧客・市場開拓」、「新規事業創出」及び「人件費の圧縮削減」について金融・保険業の回答が「0」であるという非常に興味深い結果が見られた(図3-7-2)。また、情報関連では全体集計の上位3つについて回答数が同じであった。また、「人件費の圧縮削減」はトップである。最近現れた業種でかつ時代の最先端を走る情報関連ならではの回答と思われる。
従業員規模別で見てみる。「作業効率の向上」に関しては従業員数と回答数が比例している(3-7-3)。また、「人件費の圧縮削減」については従業員数300人以上の企業がトップである。これが「新規顧客・市場開拓」になると従業員数300人以上の企業の回答数が一番少ない。やはり、従業員規模が大きくなるほど経費削減についてかなり考慮していることが窺える。


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