平成23年賃金改定交渉状況調査結果
(平成23年4月25日現在)



妥結・決定額は3,200円、上昇率は1.14%
定昇額・率とも、前年を下回る!


●前年比、金額567円減、上昇率0.18ポイント減
 本所では岡崎市内主要事業所120社を対象に標記調査を実施しているが、4月25日現在で46社から回答を得た。このうち、妥結または決定済みの事業所は31社で、妥結・決定額は全業種平均で3,200円、上昇率は1.14%(年齢39.7歳、勤続年数13.1年)となった。 現時点の妥結・決定済み事業所について前年の実績と単純に比較すると、[表−2]のとおり金額は567円減、上昇率は0.18ポイント減で、金額・上昇率ともに前年を下回る結果となった。

●製造業・非製造業ともに前年を下回る
 業態別では[表−1]のとおり、製造業(14社)で平均金額3,768円、 上昇率 1.45%(年齢40.4歳、勤続年数14.4年)、また非製造業(17社)で平均金額2,733円、上昇率0.88%(年齢39.2歳、勤続年数12.1年)となり、製造業(前年比455円減、0.16%減)・非製造業(前年比657円減、0.16%減)ともに、金額・率ともに前年を下回る結果となった。 製造業と非製造業の単純比較では金額・上昇率ともに製造業が非製造業を上回り、特に、非製造業は依然厳しい結果となった。なお、同業種であっても業績の優劣により企業間の格差は引き続き大きく、賃上げゼロ(ベアゼロ・定昇凍結または見直し)とする事業所も全体で9社みられた。

●金額は「増加」が約3割、上昇率は「増加」が約4割を占める
一方、前年の妥結・決定実績と比較すると、全業種で金額が増加した事業所は25.8%、横ばい38.7%、減少35.5%。また、上昇率では増加39.1%、横ばい26.1%、減少34.8%となった。

●企業の収益や雇用・所得環境にも東日本大震災の影響が懸念
 直近(4月)の政府月例経済報告によれば、景気は持ち直していたが、東日本大震災の影響により、このところ弱い動きとなっている。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にあるとの見方が示された。また、直近(4月)の日本銀行地域経済報告の東海地域の金融経済概況によれば、東海地域の景気は持ち直しつつあったが、東日本大震災の影響から企業の景況感は足もとでは悪化していると見られる。企業の収益や雇用・所得環境についても、今後は生産減少等の影響が懸念されるとの見方が示された。 こうした背景が今賃金交渉にも反映された形となり、前年実績を下回る結果としてあらわれたものと思われる。

●賃金形態の変化
 近年、賃金交渉については、かつてのような横並びの一律賃上げが薄れ、個々の事業所の経営状況を反映する色合いが強まっている。 また、現時点で回答のあった事業所のうち、22.9%は「既に定昇制度はない」としており、賃金体系に成果や能力配分の割合を高める人事制度への改正がますます強まっていることが伺われる。

●最終的に前年の実績を上回ることは厳しいか?
 4月25日現在での妥結・決定事業所数が少なく、今後の回答が注目されるが、未決定事業所の中には比較的規模の小さい事業所やさらに厳しい経営環境の事業所も多いとみられる。また、未決定事業所の「見通し」についての回答をみると、5割の事業所が金額・率ともに「横ばい」ないし「ダウンする」と回答しており、他に「わからない」と回答した事業所が2割に至り、最終的に前年の実績を上回ることは極めて厳しいと思われる。



岡崎市内主要事業所妥結・決定状況  <表−1>
金額上昇率基準内賃金 年齢勤続年数
全業種(31)3,200円1.14%268,478円39.7歳13.1年
製造業(14)3,768円1.45%248,910円40.4歳14.4年
非製造業(17)2,733円0.88%285,600円39.2歳12.1年


過去10年間の賃金改定推移(全業種) <表−2>
金 額 上昇率
  14年  3,219円 1.19%
  15年  3,210円 1.18%
  16年  3,500円 1.30%
  17年  3,903円 1.42%
  18年  4,240円 1.62%
  19年  4,503円  1.73% 
  20年  4,534円  1.74% 
  21年  3,460円  1.27% 
  22年  3,394円
(3,767円) 
1.34%
(1.32%)
  23年  3,200円  1.14% 


※表−1の( )は妥結・決定事業所数。確定データ回収率が低いため、業種別の公表は次回といたします。
※表−2は年次により集計対象数および調査対象が同一でありませんので、ご注意ください
※平成23年については、4月25日現在の集計結果。
※平成22年の( )は、4月25日現在妥結・決定事業所の平成22年実績。
※表中の計数は全て単純平均による。
※本調査では、組合のない事業所については「改定」「決定」、組合のある事業所については「交渉」「妥結」という語句を用いています。



●平成22年度

●平成21年度

●平成20年度




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