平成18年度賃金等実態調査結果



1.調査対象
     対象企業数  市内主要事業所 320社

2.集計対象
     有効回答の142社(回答率 44.4%)

3.調査時期
     平成18年11月

4.調査方法
     郵送によるアンケート方式

5.その他
     集計にあたっては、全て単純平均にて算出した

<概 況>


1.初任給

【確定初任給】
 平成18年3月学卒者の確定初任給を全業種でみると、大卒では「事務・販売」が196,736円、「技術・生産」が196,602円、短大卒では「事務・販売」が173,040円、「技術・生産」が173,635円、また高卒では「事務・販売」が160,754円、「技術・生産」が160,843円となっており、大学卒では「事務・販売」が、短大卒と高校卒では「技術・生産」が上回っている。
 業態別でみると、「事務・販売」、「技術・生産」とも全ての学歴で非製造業が製造業を上回っており、特に「技術・生産」の短大卒で2,846円、同じく大卒で1,881円の差がみられている。
 全業種平均を前年実績と比較すると、大卒では「事務・販売」が+0.72%、「技術・生産」が+1.00%、短大卒では「事務・販売」が+1.64%、「技術・生産」が+2.50%、また高卒では「事務・販売」が+0.83%、「技術・生産」が+1.27%となり、いずれも前年を上回っている。

【見込初任給】
 一方、平成19年3月学卒者の見込み初任給を全業種でみると、大卒では「事務・販売」が198,046円、「技術・生産」が198,113円、短大卒では「事務・販売」が174,642円、「技術・生産」が175,583円、また高卒では「事務・販売」が161,460円、「技術・生産」が161,277円となっており、大卒と短大卒では「技術・生産」が、高卒では「事務・販売」が上回っている。
 業態別でみると、確定初任給同様「事務・販売」、「技術・生産」とも全ての学歴で非製造業が製造業を上回っており、特に短大卒では「技術・生産」で1,990円、「事務・販売」で1,728円の差がみられている。
 なお、来年度の新卒者採用については、全体で56.3%がなんらかの採用を予定していることが分かった。前年を0.3ポイント上回り、景気回復傾向が引き続き新卒者の採用計画にも反映されていることが伺われた。
 業態別では、製造業が59.0%(対前年比△1.8ポイント)と非製造業の54.3%(同+2.2ポイント)を上回っている。また学歴別では、大学卒41.5%(同△2.6ポイント)、短大卒30.2%(同+2.9ポイント)、高校卒39.4%(同+5.5ポイント)となっている。大学卒で若干の下落となったものの、短大卒・高校卒では前年を上回り、特に高校卒の増加が目立っている。  

[1−1表]初任給額(全業種)
  事務・販売従事  技術・生産従事
大学卒 短大卒  高校卒 大学卒 短大卒 高校卒
平成18年の確定初任給 196,736円 173,040円 160,754円 196,602円 173,635円 160,843円
平成19年の見込初任給 198,046円 174,642円 161,460円 198,113円 175,583円 161,277円


[1−2表]初任給額(製造業)
  事務・販売従事  技術・生産従事
大学卒 短大卒  高校卒 大学卒 短大卒 高校卒
平成18年の確定初任給 196,462円 172,485円 160,752円 195,866円 172,528円 160,354円
平成19年の見込初任給 197,844円 173,654円 160,907円 197,851円 174,760円 161,078円


[1−3表]初任給額(非製造業)
   事務・販売従事  技術・生産従事
大学卒 短大卒  高校卒 大学卒 短大卒 高校卒
平成18年の確定初任給 196,990円 173,539円 160,757円 197,747円 175,374円 161,588円
平成19年の見込初任給 198,222円 175,382円 162,013円 198,441円 176,750円 161,594円



2.団塊世代の退職

 前年度の「賃金等実態調査」で定年制について調べたところ、大方が60歳付近における定年退職制度を設けていることが分かった。そのことから、いわゆる団塊世代が2007年から順次退職時期を迎え、こうした大量退職が企業にさまざまな影響を与えることが予想される。  そこで今回、企業における実態と今後の対応について調べてみた。

●4社に3社の割合で団塊世代を雇用、全正社員の約10%を占める
 団塊世代(満59歳〜57歳)の正社員がいるかどうかについては、「いる」が全業種平均で75.3%、「いない」が同24.7%となり、4社に3社の割合で雇用していることが分かった。業態別では、製造業で83.6%、非製造業で69.1%となり、14.5ポイントの差がみられた。
 全正社員に占める割合については、全業種平均で10.0%となった。業態別では、製造業の10.6%に対し非製造業は9.4%となり、製造業が1.2ポイント上回った。
 これにより、団塊世代の正社員は製造業に多く、その世代比率も製造業の方が高いことが分かった。

[2−1表]団塊世代の正社員はいるか
     い る全社員に占める割合いない
全業種75.3%10.0%24.7%
製造業83.6%10.6%16.4%
非製造業69.1% 9.4%30.9%


●団塊世代の退職で約半数が問題あり
 団塊世代の正社員がいる企業に、2007年から始まる一斉退職で問題があるか聞いたところ、「ある」が全業種平均で48.6%、「ない」が51.4%となり、約半数がなんらかの影響を予想し問題ありとした。業態別では、製造業49.0%、非製造業48.2%と同程度の回答となった。

[2−2表]団塊世代の退職が2007年4月から始まるが、問題はあるか
     あ るな い
全業種48.6%51.4%
製造業49.0%51.0%
非製造業48.2%51.8%


●労働力の不足、技術力の低下を懸念
 問題があるとした企業にその理由(複数回答)を聞いたところ、全業種平均では「労働力が不足する」が最も多く38.9%、次いで「技術力が低下する」が28.4%となり、両者で全体の6割を超えた。以下「経営管理力が低下する」が9.5%、「退職一時金の負担が増す」8.4%、「販売力が低下する」8.4%と続いた。
 業態別では、製造業は「技術力が低下する」が36.1%、「労働力が不足する」が34.0%と拮抗し両者で7割を占めたのに対し、非製造業では「労働力が不足する」が43.8%と他を大きく引き離し最も多くなった。

[2−3表]問題がある理由(全業種、複数回答)
労働力が不足する38.9%
技術力が低下する28.4%
経営管理力が低下する9.2%
販売力が低下する8.4%
退職一時金の負担が増す8.4%
人脈が喪失する5.3%
その他1.1%


●過半数がこれから対策予定
 問題があるとした企業に対策を取っているか聞いたところ、「これから取る予定」が全業種平均で51.9%、「既に取った」が48.1%となり、過半数が今後対策を講じるとした。業態別でも、同程度の回答となっている。

[2−4表]対策を取っているか
       既に取った   これから取る予定  取る予定はない 
全業種  48.1%  51.9%  0.0% 
製造業  48.0%  52.0%  0.0% 
非製造業  48.1%  51.9%  0.0% 


●退職者の引き続き雇用、中途採用の拡大で対応
 「既に取った」「これから取る予定」の対策について聞いた結果は次のとおりである。
 まず、技能・ノウハウの伝承対策(複数回答)としては、全業種平均では「退職者を引き続き雇用」が最も多く54.2%と過半数を占め、次いで「人材育成の推進」31.3%、以下「外部からの人材招聘」8.4%、「機械化・IT化の推進」4.8%と続いた。業種別でも同順位であるが、製造業では「人材育成の推進」が、非製造業では「退職者を引き続き雇用」が、全業種に比べそれぞれ高めの回答となった。
 次に、労働力不足対策(複数回答)としては、全業種平均では「中途採用の拡大」が最も多く45.2%、次いで「新卒採用の増加」23.8%、以下「派遣労働者による業務代替」16.7%、「パートタイマー等の増員」14.3%と続いた。業態別では、製造業・非製造業とも「中途採用の拡大」が最も多いが、製造業では「派遣労働者による業務代替」が24.4%で第2位に、また非製造業では「パートタイマー等の増員」が20.9%で第3位に入った。
 なお、問題が「ない」企業の内、既に対策を取った結果として「ない」としたのが全業種で18.2%あった。その既に取った対策についてみると、労働力不足対策については問題が「ある」企業と同順位となったが、技能・ノウハウの伝承対策については「機械化・IT化の推進」が12.5%で第3位となっている。

[2−5表]「既に取った」「これから取る予定」の対策
      【技能・ノウハウの伝承対策】(全業種、複数回答)
退職者を引き続き雇用 54.2% 
人材育成の推進 31.3% 
外部からの人材招聘 8.4% 
機械化・IT化の推進 4.8% 
その他 1.2% 


[2−6表]「既に取った」「これから取る予定」の対策
      【労働力不足対策】(全業種、複数回答)
中途採用の拡大 45.2% 
新卒採用の増加 23.8% 
派遣労働者による業務代替 16.7% 
パートタイマー等の増員 4.8% 


●平成17年度


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