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日時:平成15年11月25日(火) 12:30〜13:30 | |
会場:名鉄岡崎ホテル12F | |
・先週、中川経済産業大臣のもとに地方局長が集まり、地方経済の実情を大臣に報告した。地方局の中では「中部が最も経済の調子がよい」が、それでも地域・業種・規模によって爬行性がある。 ・本日は、「わが国の競争力は回復したのか。また、1990年代のアメリカの成長と、現在の日本はどのような点が違うのか」といったことについてお話をしてみたい。 ・アメリカの1980年代後半は、大企業病が蔓延し、成長を続ける日本とどこが違うのかについて盛んに研究が行われた。日本に追いつけ、追い越せとの意気込みが示された時期だ。 ・グローバル化が進行する中で、フォーチュン上位企業の顔ぶれは当時と現在とでは大きく異なっている。従来の大企業が総合力を重視したのに対して、現在の成長企業の基本戦略は『間口を狭く、奥行きを広く』して、差別化し得意技に絞り込んだ専業化だ。サンマイクロ、オラクル、シスコシステムス、デルなど例は多い。ニッチな領域でトップを目指す戦略が中小企業で注目を集めているが、この場合は、『メインストリームが細分化し、ニッチ化し、それらが高いレベルで連携して進んでいる』。部門を狭め、トップを目指すが合言葉だ。 ・こうした大企業の変化は、中小企業のチャンスといえる。 ・かつて、日本は『オペレーションの優秀さでトップに立ち』、グローバル化が進む中で『経営力=企業戦略の乏しさで凋落した。』といわれる。 ・現代の社長の資質は、『世界の競争相手と合従連衡を繰り広げ、世界の5本の指に入れる企業に変身させることができるマネジメント力』であるといえよう。このことに気づいた日本企業では、企業内大学を設置し、海外子会社でマネジメントの経験を積ませることに力を入れ始めている。 ・設備投資の状況を「設備年齢」から見ると、わが国製造業の設備年齢は12.0年(2002年)で、アメリカの7.9年(2001年)に遅れをとっている。ちなみに、近年は「最新鋭の設備は中国が買う」といわれており、中国の競争力が急上昇している。 ・日米産業界の研究開発費の支出額を比較すると、1995年では日米の格差が1:1.29であったものが、1999年では1:1.95と拡大している。また、研究開発の生産性が低いことも日本の課題で、研究段階から市場投入段階への移行期における資金調達支援の拡充や、日本人の研究成果を外国企業が事業化する例も多いことから技術の目利きが出来る経営者が必要だ。 ・知的財産権に関しては、経営と特許戦略は『選択と集中』というコンセプトで一致しており、何でもかんでも特許を取得するのでなく、コア技術に特化することが大切である。一方、模倣品は工業製品に関しても急拡大しており、特許権・意匠権をもとに水際で阻止することも重要課題となっている。 ・戦略的デザイン活用の為のデザイン戦略見直しが進められている。製造から販売に至るまで一貫してデザイン部門が関与する日産自動車の例が見られる。 ・若者の『ものづくり離れと、技能者の高齢化』が進んでいるが、ものづくりが日本経済の大きな柱とすれば、生産現場の技能水準を維持向上させることは重要なテーマだ。企業内での技能伝承や高度化の取り組みはもちろんのこと、時間がかかっても、技術・技能の尊重について学校教育の現場から立て直さなければならない。 ・企業経営の方式に、アメリカ式も日本式もなく、企業戦略にあったやり方を、良いものを組み合わせて作り上げることが必要だ。 文責:事務局 |