平成19年賃金改定交渉状況調査結果
(平成19年5月23日現在)




妥結・決定額は4,503円、上昇率は1.73%
4年連続で前年を上回る!


●前年比、金額286円増、上昇率0.10ポイント増
 本所では岡崎市内主要事業所120社を対象に標記調査を実施しているが、5月23日現在で102社から回答を得た。このうち、妥結または決定済みの事業所は90社で、妥結・決定額は全業種平均で4,503円、上昇率は1.73%(年齢38.3歳、勤続年数13.0年)となった。
 現時点の妥結・決定済み事業所について前年の実績と単純に比較すると、[表−2]のとおり金額では286円増、上昇率でも0.10ポイント増で、4年連続で金額・上昇率ともに前年を上回る結果となった。なお、金額・上昇率とも、過去3年の増加幅より縮小している。

●業態間の格差は前年より縮小
 業態別では[表−1]のとおり、製造業(47社)で平均金額4,759円、 上昇率 1.84%(年齢37.4歳、勤続年数13.3年)、また非製造業(43社)で平均金額4,229円、上昇率1.61%(年齢39.2歳、勤続年数12.6年)となり、製造業・非製造業とも前年を上回った。
 単純比較では金額・上昇率ともに製造業・非製造業の格差は前年よりも縮小している。一方、業種別においては跛行性がみられ、同業種であっても業績の優劣により企業間の格差は引き続き大きく、賃上げゼロ(ベアゼロ・定昇凍結または見直し)とする事業所も5社みられた。

●額・率とも増加が多いものの、割合は前年より低下
 一方、前年の妥結・決定実績と比較すると、全業種で金額が増加した事業所は47.1%、横ばい17.7%、減少35.2%。また、上昇率では増加43.1%、横ばい23.5%、減少33.3%となり、金額・上昇率とも増加の割合が高いものとなった。しかしながら、その割合はいずれも平均金額・上昇率の増加幅同様、前年を下回るものとなった。

●景気の回復、企業収益の改善傾向を反映
 国内の景気は依然として回復基調を続け、今景気拡大期は5月で64ヵ月となり、戦後最長を更新し長期の回復軌道を辿っている。直近(5月)の政府月例経済報告によれば、生産の一部に弱さがみられるものの企業収益は改善しており、景気回復の基調はしっかりしているとの見方が示された。また日本銀行も、東海地方の景気は拡大のスピードが緩まったが、引き続き回復基調にあるとした。
 一部に不透明感がみられるものの、こうした持続的な景気回復や企業収益の改善傾向が、今賃金交渉にも引き続き反映された形で、4年連続で前年実績を上回るものとなった。一方、業態間の格差が縮小したことに関しては、製造業の好調さに一服感が出ている反面、非製造業に景気回復が進んできたことを裏付けるものとなった。

●変わりつつある賃金形態
 近年、賃金交渉については、かつてのような横並びの一律賃上げが薄れ、個々の事業所の経営状況を反映する色合いが強まっている。企業業績が改善する中で、ここ数年一律に見送られてきたベア要求に応じた事業所がみられる他、団塊世代の退職が本格化することから人手不足感が強まっており、賃上げによる「労働力の確保・定着」を重視する事業所も増えてきている。
 一方で、現時点で回答があった事業所のうち17.5%は、「既に定昇制度はない」としている他、現行賃金カーブを一律に押し上げる定昇実施には慎重な姿勢をみせ、賃金体系に成果や能力配分の割合を高める人事制度への改正を志向する事業所も増加傾向にある。中でも業績の改善は賞与で還元するとの姿勢を定着化した企業も少なくない。

●未決定も6割が「アップ・横ばい」を見込む
 今後については、未決定事業所の中には比較的規模の小さい事業所やさらに厳しい経営環境の事業所も多いとみられるが、見通しについて昨年と比較して「アップする」もしくは「横ばい」とする回答が、金額・上昇率とも6割を超えていることから、最終的に前年実績を上回る可能性は高いと思われる。



[表−1]岡崎市内主要事業所妥結・決定状況
金額上昇率基準内賃金 年齢勤続年数
全業種(90) 4,503円 1.73%263,515円38.3歳13.0年
製造業(47) 4,759円 1.84%258,549円37.4歳13.3年
 繊維(9)4,069円1.59%259,216円39.8歳14.2年
 化学 (10)4,665円1.81%254,558円36.3歳13.5年
 機械金属 (17)5,441円1.99%271,244円37.9歳14.8年
 その他(11)4,291円1.85%242,500円36.1歳10.5年
非製造業(43)4,229円1.61%270,654円39.2歳12.6年
 建設 (13)4,101円1.59%285,864円39.2歳11.5年
 卸・小売(18)4,492円1.66%266,847円38.7歳13.2年
 サービス・その他(12)3,866円1.55%260,013円40.3歳13.2年


[表−2]過去10年間の賃金改定推移(全業種)
金 額 上昇率
平成10年  6,535円 2.41% 
  11年  5,235円 1.96% 
  12年  4,993円 1.86% 
  13年  4,384円 1.61% 
  14年  3,219円 1.19% 
  15年  3,210円 1.18% 
  16年  3,500円 1.30% 
  17年  3,903円 1.42% 
  18年  4,240円
 (4,217円)
 1.62%
 (1.63%) 
  19年  4,503円 1.73% 


※表−2は年次により集計対象数および調査対象が同一でありませんので、ご注意ください。
 平成19年については、5月23現在の集計結果。
 平成18年の( )は、平成19年5月23日現在妥結・決定事業所の平成18年実績。
※表中の計数は全て単純平均によります。
※本調査では、組合のない事業所については「改定」「決定」、組合のある事業所については「交渉」「妥結」という語句を用いています。



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