情報化に関するアンケート調査結果報告書

平成9年10月 岡崎商工会議所


   
調査の目的 21世紀初頭にかけて本格化すると見込まれる情報化社会への本所会員事業所の対応の状況、並び にその際の商工会議所の果たすべき役割の把握。
回答の状況 調査依頼先:本所会員事業所4,360 回答事業所数524(回答率:12.0%)
調査の方法本所機関紙「会報」平成9年7月号にアンケート調査表を折込(一部事業所にはFAXで調査表を 送付)。 回答はFAXでの返送を依頼。


調査結果の概要

1. 回答企業のプロフィール

(1) 主たる業種の分布
製造業 卸売業 小売・飲食 建設業 金融・保険 情報関連 サービス業 その他
163 59 62 73 31 26 63 47 524
31.11% 11.26% 11.83% 13.93% 5.92% 4.96% 12.02% 8.97% 100.0%
本所会員事業所の業種構成から見て、製造業での回答の比率がやや高く、逆に建設業や小売・飲食業では やや低くなっている。(本所会員の業種構成は、製造業=19%、卸売業=11%、小売・飲食業=29 %、建設業=25%、金融・保険業=2%、情報・サービス・その他=14%)

(2) 従業員規模
4人以下 5〜19人 20〜49人 50〜99人 100〜299人 300人以上
99 168 110 49 46 51 523
18.93% 32.12% 21.03% 9.37% 8.80% 9.75% 100.00%
「5〜19人」の階層を中心として50人未満が72.1%を占める。業種別では、「4人以下」の割合 が高いのは、『情報関連業』42.3%、『小売・飲食業』32.3%。逆に、「300人以上」の割合 が高いのは『金融・保険業』51.6%。

(3)本支店の区分
本社・本店 支社・支店 事業所のみ
190 82 252 524
36.26% 15.65% 48.09% 100.00%
「この事業所のみ」が約半数の48.1%、「本社・本店」も36.3%あり、両者を合わせると「地元 企業」が全体の8割を占める。

(4)主な取引先のエリア
ほとんど市内 ほとんど県内 ほとんど中部圏内 中部圏より広い ほぼ全国
117 231 61 67 47 523
22.37% 44.17% 11.66% 12.81% 8.99% 100.00
「市内・県内」が66.5%。業種別では、「市内・県内」の割合が高いのは、『建設業』87.7%、 「小売・飲食業」87.1%。また、「中部圏外・全国」の割合が高いのは、『製造業』41.4%、 『卸売業』30.5%。

2.調査結果の概要

(5)OA化・情報化に取組む主な狙い(複数回答・回答事業所524に対する割合)
ビジネスチャンスの探索 競争力強化 情報の収集・発信 社内外の情報交換 業務量増大への対応 取引先からの要請 その他
132 382 255 138 179 66 26 (524)
25.19% 72.90% 48.66% 26.34% 34.16% 12.60% 4.96% ――――
「競争力強化」の割合が圧倒的に高く72.9%。次いで、「情報収集・発信」48.7%等に見られる ように、目先の業務処理を目的とするものから、より積極的な情報活用への志向が窺われる。又、「社内 外の情報交換」が26.3%、「ビジネスチャンスの探索」が25.2%と、ネットワークの活用、新分 野の開拓などへの関心の高まりも見られている。

(6)OA化・情報化を進める上での課題・問題点(複数回答)
コスト負担大 導入効果が不明確 推進人材の不足 専門家との相談機会がない 従業員教育等 秘密保持・セキュリティ 急速な進歩に対応困難 検討時間なし 操作が複雑
277 159 201 67 150 58 127 69 84
52.86% 30.34% 38.36% 12.79% 28.63% 11.07% 24.24% 13.17% 16.03%
その他 特になし
10 45 (524)
1.91% 8.59% ――――
「コスト負担が大きい」が52.9%と過半数を超え、次いで「社内に推進する人材がいない」が38.4 %、「効果が不明確」が30.3%と続いている。一方、課題・問題点が「特にない」との回答は全体では 8.6%に過ぎない。

(7)情報機器の導入活用状況
@ファクシミリ
導入済 今後導入したい 導入する必要なし
497 9 8 514
96.69% 1.75% 1.56% 100.00
「導入済」が96.7%と、必要な事業所には普及がほぼ完了したといえそうである。業種別では、すべ ての業種で「導入済」が95%を超えており、また規模別でも同様の状況がみられている。

Aパソコン導入の有無
単体導入 LAN導入 今後導入したい 考えていない
292 146 45 25 508
56.81% 28.40% 8.75% 4.86% 100.00
パソコンの導入は、「単体で導入」56.8%、「LANで導入」28.4%、合わせて85.2%の導 入率となっている。更に、「今後導入したい」事業所が8.8%ある。

A−a 導入する際に行ないたい業務(複数回答)
文書作成・表計算 経理・税務・給与計算 顧客管理・販売管理 受発注・在庫管理 生産工程管理 設計・デザイン
26 26 26 18 7 12
61.90% 61.90% 61.90% 42.86% 16.67% 28.57%
LAN インターネット その他
4 12 0 (42)
9.52% 28.57% 0.00% ――――
「今後導入したい」と回答した事業所が「パソコンで行ないたい業務」としてあげたのが、「文書作成・ 表計算」、「経理・税務・給与計算」、「顧客管理・販売管理」で、いずれも60%台と高い。また「受発注・在庫管理」も40%を超えている。

A−b−イ 導入の際の負担可能な投資額
50万程度 100万程度 200万程度 200万以上 決めていない
12 9 0 4 19 44
27.27% 20.45% 0.00% 9.09% 43.18% 100.00
「今後導入したい」と答えた事業所の負担可能な導入時の投資額は、約半数が100万円以内(金額を回 答した事業所の84%)。「決めていない」が全体の43.2%。

A−b−ロ 毎月の経費
1〜3万 4〜6万 7〜9万 10万以上 決めていない
17 4 1 0 22 44
38.64% 9.09% 2.27% 0.00% 50.00% 100.00
ランニングコストとしては月額3万円以内(金額を回答した事業所の77%)。「きめていない」が50 %。

Bパソコンの導入開始時期
パソコン導入時期
昭和63年以前 H1〜H5 H6〜H9
143 159 122 424
33.73% 37.50% 28.77% 100.00
パソコンを導入した時期は、最も早い事業所で昭和45年。以降、昭和59年までは導入事業所数は各年 共1桁に止まっているが、平成に入ってからは、1〜5年平均で31.8事業所、6〜8年平均で33事 業所が導入している。

Cパソコンの保有台数
1〜5台 6〜20台 21台以上
302 98 37 437
69.11% 22.43% 8.47% 100.00
パソコン保有台数は、1台が105事業所(保有事業所に対する割合は24.0%)、2台が86事業所 (同19.7%)、3台が55事業所(同12.9%)、1〜3台を保有する事業所の合計が56.3%で 過半数を超える。
平均台数
3.7
この平均台数は1台以上と答えた企業を母数とする

Dパソコン活用業務(複数回答)
文書作成・表計算 経理・税務・給与計算 顧客管理・販売管理 受発注・在庫管理 生産工程管理 設計・デザイン LAN インターネット パソコン通信
350 286 263 171 58 128 81 132 91
80.83% 66.05% 60.74% 39.49% 13.39% 29.56% 18.71% 30.48% 21.02%
ソフト開発 その他
44 47 (433)
10.16% 10.85% ――――
「文書作成・表計算」、「経理・税務・給与計算」、「顧客管理・販売管理」での活用が多いが、「インタ ーネット活用が30%を超えていることは注目される。

Eオフコン・汎用機の導入
a.導入の有無
導入済 未導入
190 248 438
43.38% 56.62% 100.00
オフコンの導入が43%台となっているが、回答企業に従業員数が20人未満の事業所が51%含まれてい ることから考えると決して低い水準とはいえない。

b.導入の時期
昭和63年以前 H1〜H5 H6〜H9
105 55 14 174
60.34% 31.61% 8.05% 100.00%
「昭和63年以前」での導入が中心で、特に「平成6年以降」の導入は少なくなっている。
業種別に見ると、「昭和63年以前」での導入が多いのは『製造業』、『卸売業』、『金融・保険業』、『情 報関連業』。

Fインターネット
a.接続の有無
接続済 今後検討 考えていない
162 195 97 454
35.68% 42.95% 21.37% 100.00
「接続済」が35.7%、これに「今後検討したい」を加えると80%弱となり、インターネット活用への 強い関心が窺われる。

b.活用分野(複数回答)
HP開設による情報発信 情報収集 電子メール ネット上販売 ネット上での共同作業 イントラネット・エクストラネット その他
接続済 61 115 102 8 9 14 13 (144)
今後 75 114 97 19 28 11 6 (148)
接続済 42.36% 79.86% 70.83% 5.56% 6.25% 9.72% 9.03% ――――
今後 50.68% 77.03% 65.54% 12.84% 18.92% 7.43% 4.05% ――――
「情報収集」と「電子メール」での活用が多く、次いで、「ホームページ開設による情報発信」が続く。 「ネット上での共同作業や販売」については、未だ十分な環境が用意されていないこともあって、活用の程 度は低いが、「今後(接続を)検討したい」グループの回答では、この分野の活用に対する期待が窺われ る。

GCATVの加入について
加入済 今後加入したい 考えていない
77 54 277 408
18.87% 13.24% 67.89% 100.00
「加入済」と「今後加入したい」を合わせると32.1%となっているが、現時点でのCATV回線の接 続可能世帯比率が70%程度と推定されることを留意する必要がある。

(8)情報ネットワークへの取り組み
取引先間・企業内ともに 取引先間 企業内・本支店間 今後取引先からの要請あり 関心あり 必要を感じない
49 36 54 98 198 57 492
9.96% 7.32% 10.98% 19.92% 40.24% 11.59% 100.00
「取引先」又は「企業内・本支店間」が何らかの形で情報ネットワークとして接続されている事業所は、 28.3%。「今後取引先からの要請がある」(19.9%)、「関心を持っている」(40.2%)を 合わせると88.4%に及ぶ。

(9)期待する商工会議所の情報化支援サービス(複数回答)
教育機会の拡充 専門家などの派遣・紹介 業務処理ソフト開発の支援 マルチメディア活用情報の提供 会議所・会員間のネットワーク化 情報機器購入の斡旋 その他
238 132 126 183 121 53 37 (453)
52.54% 29.14% 27.81% 40.40% 26.71% 11.70% 8.17% ――――
商工会議所への期待は、「OA化・情報化を進める上での課題・問題点」で示されたように、まず「教育 機会の拡充」が挙げられ、次いで、「マルチメディア活用情報の提供」、「専門家などの派遣・紹介」と 続いている。

(10)商工会議所のインターネットでの情報発信(複数回答)
ビジネスシーズ情報 取引紹介・パートナー募集 会員企業技術情報 海外向け企業情報 研究者・専門家情報 施策・補助金情報 観光・飲食店・旅館情報 地場産業・特産品・土産品 企業立地・工業用地情報
257 201 150 59 116 166 141 147 95
55.75% 43.60% 32.54% 12.80% 25.16% 36.01% 30.59% 31.89% 20.61%
求人・求職者情報 その他
265 33 (461)
57.48% 7.16% ――――
「求人・求職者情報」(57.5%)、「ビジネスシーズ情報」(55.8%)、が50%を超え、以下、 「取引紹介・パートナー募集」、「施策・補助金情報」、「会員企業技術情報」、「地場産業・特産品・土 産品情報」、「観光・飲食店・旅館情報」が続く。

(11)アンケート記入者の自宅でのパソコン活用
@ パソコンの有無
260 264 524
49.62% 50.38% 100.00
アンケート記入者の約半数の自宅にパソコンが「有る」(49.6%)。

A 業務での利用の有無
業務で使う 業務以外で使う ほとんど使わない 合計
141 69 50 260
54.23% 26.54% 19.23% 100.00
過半数の人が自宅のパソコンを業務に使っている(54.2%)。

B 自宅のパソコンの利用内容(複数回答)
ワープロ・表計算 CAD ゲーム CD−ROM 音楽 絵を描く パソコン通信 インターネット その他
206 20 95 58 34 32 67 101 30 (247)
83.40% 8.10% 38.46% 23.48% 13.77% 12.96% 27.13% 40.89% 12.15% ――――
自宅では主に「ワープロ・表計算」で使われ、他には「インターネット」、「ゲーム」、「パソコン通信」 が比較的よく使われている。

<まとめ>
 OA化・情報化を進める上での課題・問題点の解決は緊急な地域的課題である。一層の「競争力強化」を狙いとしてOA化・情報化に取組むわけだが、「コスト負担が大きい」ことや、「導入の効果が明確でない」ことに悩み、「負担の割に、思ったほどの成果が上がっていない、成果が見えてこない」と感じている。これは、導入時における情報の不足、目標設定や推進体制の不明確さ、支援体制の未整備等による場合が多いと思われる。また、「社内に推進できる人材の不足」、「従業員の教育や知識の普及が困難」、「技術の進歩が速すぎて対応が困難」等に対しては、教育機会の一層の拡充や情報化推進担当者に対する研修・交流機会の設定が求められる。このため、今後パソコンを導入したい事業所に対しては、「コストと効果に関する情報」、「教育」等具体的な支援体制を構築し、実際の導入に結び付けてゆく必要がある。
 一方、ネットワーク化時代への対応として、コンピュータ・ウイルスやハッカーへの対策も避けて通れなくなりつつある。
 インターネットの接続については、「今後検討したい」との回答が大きな割合を占めている。こうした事業所に対する「接続から活用にいたる具体的な支援体制」作りが必要となる。ネット上の決済システムが実用化の段階を迎えており、ネット上での販売についての検討・アプローチを積極化させてゆく必要がある。 21世紀初頭には本格的なネットワーク社会の到来が予測され、情報ネットワークへの対応は避けて通れそうに無い。ハード・ソフト両面から地域の情報ネットワークの基盤づくりに取組むと共に、「今後取引先からの要請があると思う」、「関心を持っている」事業所に対する積極的な支援が必要となる。
 また、会員事業所はビジネスチャンスを拡大させる情報を求めている。その為の幅広い情報を提供する為には、会議所自体がネットワークを広げ、会員事業所との連携、産学の連携、全国商工会議所のネットワーク(CIN)の有効活用等により、情報収集・活用力を強化することから始めなければならない。



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