愛知産業大学造形学部 助教授
工学博士・建築家                    
山田 雅美 氏
株式会社山田雅美建築研究所 代表取締役   

「建築」の分野にすすまれたきっかけは

 大学入学の時には、「建築」に進むという動機はあまり強くなかったのですが、学ぶうちに「建築」のもつすばらしさに気が付きました。ただそのすばらしさは、当時と今とでは少し変わってきていますが、建築が持つ創造性と社会性にあるのかもしれません。つまり、「建築」を通して学ぶことができる範囲の広さに今更ながら感動するわけです。「建築」を大局的に捉えることで、「自然」と「まちづくり」に対する関心が高まっていき、現在では実践をともなう活動も手がけながら、建築を中心に様々な視点からまちづくりについての研究を行っています。

「まちづくり」における産学官の連携についてどのようにお考えですか

 産・学・官それぞれの立場の違いから、総論では意見が一致するものの、具体的な話になるとなかなか共通の意識を持ちにくいのが現状ではないでしょうか。もう一度「共通のビジョン」を固めていくことが重要だと思いますね。そしてそれについて、誰がどのように進めていくのかを具体化し、実現に向け実際に動いていくことが何よりも大切ではないでしょうか。
 また住民が「まちづくり」の主役となりうるようにサポートしていくことが、産学官連携の大きな役割のように感じています。産学官それぞれの立場を理解した上で、何ができるかを考えていきたいと思います。

今回、中心市街地で新しい試みを展開されるとお聞きしておりますが・・


 研究室とそのOBを含めた課外研究の場として平成11年にS.S.I.(SOCIAL SCAPE INSTITUTE)を設立しました。この組織がフロ・バーの改築をやったのです。その後、他の大学や街の人々の参加でメンバーが研究室関係の枠から外れるようになり、今年のはじめにS.S.I.を科創研究所に改め、そのワークショップ部門としてS.S.I.を位置づけ、再出発したわけです。
 そして、今度はその
S.S.I.が中心となり、「まちづくり」という商品をビジネスに結びつける起業を試みようと、学生有志7名が中心となり活動を開始する事になったのです。誰でも気軽に立ち寄ってもらえ、「街」への希望を話せるサロンとして、S.S.I.の事務所を康生ビルの一室に構えました。今年は、科創研究所の部門として活動しますが、来年には独立した組織として運営してもらう予定です。
 まずは、街の声に応える形で、できることから取り組んでいき実績をつくっていきたいと思っています。
学生達は期待と不安の入り混じる中、強い思いと覚悟で、とにかく楽しんでやってみる、失敗を恐れずにトライし、失敗の中から学んでいく姿勢で取り組もうとやる気いっぱいで準備に取り掛かっています。
 彼らの持つ“若さ(バイタリティ)と誠実さそして気軽さ”を武器に、彼らにしかできないことを実現していき、この組織が「まちづくりの専門家」のインキュベーターとして機能していくことを願っています。

も ど る