伝統工芸や地場産業に携わるみなさまにお話をお伺いするコーナーです。
 今回は合名会社備前屋代表社員の中野敏雄(藤右衛門)さんにお話を伺いました。

合名会社備前屋 代表社員 中野 敏雄(藤右衛門)氏
伝馬通2−17 TEL22−0234

『地域に根差し、歴史に基づく本物の味』

Q.どのような和菓子造りを目指していますか

A.備前屋は天明二年(1782)に初代が岡崎宿伝馬町に菓子屋を始めたのが興りで、以来この地で菓子舗を営み現在で八代目となります。私たちは昔から受け継がれる「和菓子の良さ」を追求し、歴史ある岡崎の町にちなんだ和菓子づくりを心掛けています。
  また、和菓子は季節ごとに食べていただきたい味が変わりますので、折々の季節や行事にあわせた和菓子づくりに取り組んでいます。


Q.和菓子を商品にする難しさは

A.和菓子に求められるものは「ゆとり・安らぎ」だと思います。しかし、お客様に求められる味は時代によって移り変わります。地域に根差し、歴史に基づく本物の味を商品にする難しさは、“いかに現代の趣向を取り入れるか”、これが大きなポイントです。最先端の情報・知識と古き良き思想・技術がうまく調和することによって、皆様に喜んでいただける和菓子をつくることができます。“和菓子とはどういうものか”と常に問題意識を持ちながら、あらゆる情報を取り入れる謙虚さを以てつくり続けることが大切ですね。

Q.中野社長が考える「伝統工芸」とは

A.伝統工芸とは、これまでに培われた歴史背景を考えながら“ものづくり”をすることです。私自身、歴史が大変好きで菓子に関係する 江戸時代の文献を数多く収集しています。文献には、江戸時代の和菓子の多様なバリエーションと現代に伝わるレシピが明確に記載されており、その良いところを受け継ぎながら自分のオリジナリティーを出すことが“新たな伝統の創造”に繋がると思います。
  全ての匠に共通していることは、先代からの想いを受け継いで現在に生き残っている技術ということではないでしょうか。手先の技巧だけでなく先代から継承した「匠のこころ」があるからこそ、現代でも埋もれることなく匠が生き続けるのだと思います。

◇ も ど る