今回は、上新石材店代表の上野房男さんと上野さんの三女で、岡崎で女性初の石工を目指す上野 梓さんにお話を伺いました。

小呂町新志1−1 TEL24−0434

▲上野房男さんと上野 梓さん

Q.一代で「上新石材店」をお築きになったとうかがっていますが、始められたきっかけを教えてください。
 兄が先にこの仕事に携わっており、その後自分も16歳でふるさとの熊本を離れ、兄と同じ親方についたのがきっかけで、自分の一生をかけるのにふさわしい仕事だと思いこの道に入りました。何もかもがゼロからのスタートで試行錯誤の日々が続きましたが、この仕事が好きでがんばってきた37年でしたね。

Q.娘さんからこの仕事を継ぐということを聞いた時はどう思われましたか。
 自分なりにいつも一生懸命にやってきた自負はありましたし、心のどこかでは継いでは欲しいという思いはあったものの、いいかげんな気持ちではできないですし、何よりも本当にこの仕事が好きでなければできないですからね。継ぎたい子がいなければ、自分一代で終わってもしょうがないと思っていました。だからこそ、自分の働く姿を見ていた娘が継ぐといってくれた時には不安な思いもありましたが、やはり嬉しかったですね。

Q.梓さんはこの仕事を継ぐ事に 迷いはなかったですか?
  修行前までは、子供ながらに石は神聖なものであるという思いが強く、石に触れる事はなかったので、自分に「できるかな・・」と考えたことはありました。しかし、小さい頃から働いている父の姿を近くで見、仕事に対する父の姿勢、働く姿そのものにあこがれていたので、迷う事なくこの道を選びました。

Q.修行を始め1年半程だそうですが、 実際やってみてどうですか?
  まだまだ修行の身で、あらゆることを吸収するのが精一杯の毎日ですが、純粋に石をたたいていることが楽しくて、この仕事が好きなので苦しいと思ったことは一度も無いです。
 誇りと信念を持って、この仕事に取り組んでいる、父のような石工を目標に、がんばりたいと思います

Q.この業界の現況、そして今後について今感じていることをお聞かせください。
  発想の転換を求められている大きな境にきていると思います。伝統工芸を残していくためにも、時代の流れに臨機応変に対応していくことが求められています。自分の培ってきた経験と、娘の新しいアイディアをうまく生かしながら、常に前進する気持ちで取り組んでいきたいですね。
 「信用をつくるには10年、失うのは一回の仕事」これをいつも肝に銘じて仕事をしています。この仕事は、お客様にものを提供するのはもちろんのこと、作り手自身も一緒に買っていただいていると思っています。製品の種類は時代と共に変わろうとも、お客様と真正面から本音で話す自分なりの接し方で、今後も自分にそして石に正直に向き合い、好きなこの仕事を続けていけたらと思っています。


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