今回は、三浦太鼓店の五代目三浦彌市さんにお話を伺いました。

六供町杉本32−2 TEL21−2271

 

 江戸時代からおよそ140年、昔と変わらぬ欅(けやき)の胴(中央部分)と牛革を使い、全て手作業でひとつひとつを手がけており、岡崎ではたった1件の太鼓製造元です。
 今までは太鼓といえばお祭りのアイテムというのが主な用途で、お寺や神社からの注文が大半を占めていました。今でも注文が多いのは、秋まつりに向けてのこの時期なのですが、戦争や台風などが原因でお祭りがなくなったり、また時代の流れから縮小化されていき注文は年々減っているのが現状です。
 それに代わり最近では、太鼓を使った音楽活動をしているサークルが各地で作られ、こちらからの注文が伸びてきており、昔に比べ音に対する注文が多様化してきています。お祭りが縮小化されていくことは大変残念に感じますが、その一方で新たに太鼓が活躍する場所ができたことを嬉しくも思っています。
 太鼓の使用される場面が変わったのに伴い、やはりこちらも時代の流れに応じて柔軟に変化していかなければと感じています。そのひとつとして8月からホームページを開設し、ネット販売を始めました。まだまだ始まったばかりですが、少しずつ反応もでてきています。全国の方にうちの太鼓を知っていただき、お客さんとの結びつきを広げていく中でビジネスチャンスに結びつけられればと思っています。また、より納得してご購入いただけるように、皮を張る前に太鼓の音を実際に聞いて確かめていただいてから、最終仕上げをする試みもしています。今後はお客さんのお宅に出張して最終仕上げをするなど、よりいっそう、ひとりひとりのお客さんの満足を考えた提案をしていきたいですね。
 いつの時代も先代の口癖「商売で何より大切なことはお客さんに喜んでもらうこと、そのためには仕事は丁寧に、良い品物を安くお届けすることだ」が全ての基本。時代にあった方法でお客さんによろこんでいただける太鼓を作り続け、その心を六代目が引き継いでいってくれたらと思っています。

 伝統工芸や地場産業に携わるみなさまにお話をお伺いするコーナーです。


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