今回は、小野田佛具製作所の小野田潤一さんにお話を伺いました。

戸崎町牛転10-113 TEL54−5254 

小野田佛具製作所 小野田潤一 氏


 父の代からお寺や仏壇の宮殿などを手がけ70年、私自身は、「ものづくり」への思いからサラリーマンをやめこの道に入り25年ほどになります。
 ケヤキやヒノキの赤身(中央)の部分のみを使用し、デザインから設計、製作までを手がけています。機械化が進んできているものの、最後は人の勘が全て、いつも心の中で「いかに木に正直に誠実に向き合っているか」を確認しながら仕事をしています。厳しい世界ですが、自分のイメージどおりのものが形になった時の喜びや、造ったものが何十年何百年と後世に残っていくこの仕事そのものに惹かれ今までやってきたように感じています。
 中国を初めとした海外からの輸入の影響が次第に大きくなってきており、価格競争の面でどうしても押されぎみで、他の工芸品同様この業種も厳しい時代を迎えています。今は時間を延長して働くことで、以前の売り上げをなんとか維持しているというのが現状ですがそれにも限界があり、また後継者を育成し先代から受け継いだ技を継承していきたいという思いはあるものの、将来の生活のことを考えるとなかなか打開策が見つからず、自信を持って継いでくれとはいえないのが正直なところです。
 しかし、こういう時だからこそ、三河仏壇の「よさ」、「モノづくり」の魅力を今一度確認し、組合などで開催している「後継者教育」で思い切った展開を試行錯誤し、技を守っていく一方で新しい仕掛けをしていけるかが勝負だと思っています。
 三河仏壇を国から認定された「伝統工芸品」という型の中で守っていくのではなく、この地域に暮らす人たちの心の中に息づき、誇りとなるものとして、後世に技を継承していきたいと感じています。

 伝統工芸や地場産業に携わるみなさまにお話をお伺いするコーナーです。

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