表紙−作者の言葉 生田 薫デザイン室 生田 薫

 デザイン業務をするかたわら、よく旅に出かけます。「アジアの情景」は旅で拾い集めたイメージの断片をコンピュータで僕なりのイメージに再構成したものです。アジアは人間の本音が、風景のあちこちに散らばっていて、僕の嗅覚を刺激するたいへん好きな地域です。夢を実現した、夢を実現しようとしている、夢を追って挫折した、いまだ夢を持てない、夢は持たない、夢を実現したがその夢の意味を捉え直している、といったさまざまな状況が展開する中、良きにつけ悪きにつけ、アジアは世界の未来を映す鏡として我々に問題提起をしてくれる地域であるとも思います。日本もアジアの一国として例外ではないですね。

 インド北部とヒマラヤを超えたところにあるラダックは、荒涼たる天空の世界。ここはあちらこちらに点在するチベット寺院のひとつ、ティクセ寺院の宿坊の屋根で、僧侶が掃除をしている光景です。