今回は有限会社小山矢さんの紹介です。

 
  矢師
 小山 三郎 氏  小山 金一 氏

 明治の初めから弓矢づくりに携わり私たちで五代目、父の病気を機にサラリーマンを辞め家業についてから30年ほどになります。幼い頃から父親の仕事を見て育ってきたので、大体のことは分かっていたのですが、70工程にも及ぶ矢づくりに、初めは自分の作った矢がなかなか商品にならず悪戦苦闘の毎日でした。
 家業を始めた頃は、矢といえば100%竹で作られていたのですが、その後アルミの輸入が拡大、アルミ矢の需要が急増し壊滅状態に陥ったこともありました。試行錯誤のうえ開発したカーボン矢が見事消費者ニーズを捉え奇跡的に盛りかえし、それを機に全国に販路を広げることができました。また、ワシントン条約で矢羽に使う鷲の羽根が輸入規制された時には、七面鳥の羽を鷲羽風に染めてアートウイングとして売り出し危機を乗り越えました。苦しい時ほど新たに飛躍するチャンスと捉え、兄弟で力を合わせて挑戦を繰り返し幾度もピンチをのり超えてきた30年でした。
 現実には食べていけなければ、伝統工芸を守っていくことは不可能ですし、それには昔と同じことをしているだけでは生き残っていけません。現在も本物の鷹の羽根をパソコンで読み取り七面鳥の羽にプリントする本物志向のアートウイングの開発を手がけるなどまだまだ挑戦は続いています。
 今ではわずか3%にまで需要が落ち込んでしまった「竹矢」ですが、今後もどんな時代が訪れようとも「ピンチはチャンス」を合言葉に、伝統を守りながらも独創的なアイディアを積極的に取り入れ「竹矢」にこだわっていきたいですね。




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