表紙−作者の言葉 生田 薫デザイン室 生田 薫

 デザイン業務をするかたわら、よく旅に出かけます。「アジアの情景」は旅で拾い集めたイメージの断片をコンピュータで僕なりのイメージに再構成したものです。アジアは人間の本音が、風景のあちこちに散らばっていて、僕の嗅覚を刺激するたいへん好きな地域です。夢を実現した、夢を実現しようとしている、夢を追って挫折した、いまだ夢を持てない、夢は持たない、夢を実現したがその夢の意味を捉え直している、といったさまざまな状況が展開する中、良きにつけ悪きにつけ、アジアは世界の未来を映す鏡として我々に問題提起をしてくれる地域であるとも思います。日本もアジアの一国として例外ではないですね。

 ベトナムを流れるメコン川はゆっくりと流れていて、激動の歴史や人々に芽生えた欲望も、水面に浮かぶ小さな葉片のように思えるほど大きく広く、大いなる豊かさを感じさせてくれました。