いにしえの旅の名残(なごり)をたどる現代版東海道中の愉しみ(その1)

 「お江戸日本橋七つ立ち」と歌われる「七つ」とは、およそ午前四時。むかしの旅人は、まだ夜も明けきらない早朝に出発し、日暮れ前には宿に着いたのです。
 当時の人々は、日本橋から京三条までの全行程を、12日から15日で歩きました。平均すると、1日で約10里(約39キロ)です。足弱といわれた女性連れでも、1日平均6里(約23.6キロ)を歩きました。かつての旅人の健脚ぶりがうかがえますが、これも順調にいってのこと。川止めや災難にあえば、予定もたたずに日程はのびました。また、場合によっては命がけの旅となったようです。
 それが、いまでは、新幹線で2時間半の道のりです。むかしの旅人が、これを見たら、便利になったものだと感嘆するとすると同時に、気ぜわしい世の中だと、ため息の一つももらすかもしれません。

 出典「完全 東海道五十三次ガイド(東海道ネットワークの会)」

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