第64回分子科学フォーラム「青いバラの物語」


【講演者】田中良和(サントリー先進技術応用研究所 シニアスペシャリスト)
【日 時】6/14(水)午後4時〜5時過ぎ
【場 所】岡崎コンファレンスセンター 大会議室


 花色は多種多様あるが、全ての色の花がある品種は少ない。そして人間は、"無いもの"に心動かされる。バラ・菊・カーネーションは、市場で売れる3大切花。(※青色カーネーションは95年に誕生し、日本では97年より"ムーンダスト"として発売されている。)アメリカでは、Blue Rose="不可能"の意味で使われる。そこでサントリーの挑戦は90年からオーストラリアの会社との共同プロジェクトとしてスタート。

青いバラ=青色色素(デルフィニジン)が存在するバラ、という意味。
 もともとバラには青色遺伝子がない。だから、青いバラをつくるには
 1)青色遺伝子を取得し 2)バラに遺伝子を導入する 必要があった。


〜青いバラ開発に至るまで〜
90年プロジェクトスタート
91年ペチュニアの青色遺伝子の取得に成功 →特許出願
94年 ペチュニアの青色遺伝子を組み込んだ花が開花。しかし、花に色の変化は現われず。様々な植物から青色遺伝子を取得し、バラに導入する日々が続く。
96年 3色スミレの青色遺伝子を入れたバラを開発。バラに青色遺伝子を導入するシステムを改良し、青くなる可能性が高そうな品種へ青色色素を注入できるように。 青いバラ誕生(青色遺伝子100%近く蓄積)
 → 04・6・30に広報発表
※開発に至る詳細は、同社ホームページで紹介されています。

▲実物は“青”というより“紫”


◆青いバラはどこでつくられているのか?
 →コロンビア・エクアドル等赤道近くの国。(気候の関係で、日本では上手く育たない) 

◆青いバラは売れるのか?
 →販売してみないと分からないけど、希少性のためか結婚式等で利用されるのではないか。


※遺伝子組み換えでできたものは、商品として世に出す場合、生物の多少性の確保に関する法律に基づく手続きが必要。(遺伝子組み換えの生物の影響で、もともとある生物が駆逐されては困るため。)

文責:事務局