【知って得する相談事例】


本所専門相談員
 弁理士 
  武 山 峯 和 氏

Q:特許と実用新案にはどんな違いがあるのでしょうか。
A:
 特許の対象は発明です。実用新案の対象は物品の形状・構造または組み合わせの考案です。考案のうち高度のものを発明と言いますので、特許を取得するためには実用新案登録を受ける場合に比べて高い進歩性(創作の困難性)が求められます。また、医者が患者を診断・治療・手術する発明を除いたすべての発明が特許の対象となりますが、実用新案では物品の形状等の考案に限定されているので、ビジネス方法などの考案、ものを作る方法の考案及び薬や合金など物質についての考案などは実用新案の対象になりません。
 特許の場合は特許庁審査官の審査を経て、新規性や進歩性などの特許要件を満足するものだけに特許が認められますが、実用新案の場合は出願すれば無審査で登録されます。実用新案の対象は早期に商品化される場合が多いので、早期に権利化する制度としたものです。また、特許権は出願後20年の権利期間が認められるのに対して、実用新案に係る製品のライフサイクルは短縮化する傾向にあることから、実用新案権は出願後10年と短くなっています。
 その他にも、特許は実用新案に比べ多額の費用が掛かるとか、実用新案権を行使する場合は特許庁審査官の作成した実用新案技術評価書を提示して警告する義務があるなどの違いがあります。私は、物品に関する簡易でライフサイクルの短い考案については実用新案制度を、そうでない発明については特許制度を利用することをお勧めします。