岡崎市内景況調査結果

(平成19年4〜6月期分)




〜景況DIは2.8ポイントの下降。2期連続でマイナス、一服感続く〜

 

 岡崎市内の今期の景況DIは、前年同期と比較し△12.7と前回調査より2.8ポイント下降し、2期連続でマイナス幅が拡大した。製造業で改善がみられたものの、その他の業種で売上・採算(収益)が軒並み下落し、これが全体を引き下げた。
 来期についてはサービス業を中心にやや改善が見込まれ、景況DIは0.5ポイントの小幅上昇を予想、緩やかな回復を見込んでいる。



1.調査対象
  (1)対象企業数  本所各部会役員・幹事事業所 480企業
  (2)回答企業数  有効回答207企業(回答率43.1%)

2.調査対象時期
  平成19年4〜6月期
  (1)前年同期(平成18年4〜6月)と比べた今期の状況
  (2)今期と比べた来期(平成19年7〜9月)の先行き見通し

3.調査時点
  平成19年6月25日〜平成19年7月6日

4.調査方法
  ファクシミリによるアンケート方式

5.有効回答企業数内訳
業    種回答企業数構成比
製 造 業5828.0%
建 設 業4823.2%
小売・卸売業5526.6%
サービス業4622.2%
合    計207100.0%

6.その他
 本報告書中のDIとは、「ディフュージョン・インデックス」(景気動向指数)の略で、各調査項目について「増加」(上昇、好転)した企業割合から、「減少」(低下、悪化)した企業割合を差し引いた値である。例えば、売上額で「増加」30%、「不変」50%、「減少」20%の場合のDIは、30−20=10となる。



■市内の景況全体の概要

 岡崎市内の今期(平成19年4〜6月)の景況判断DIは、前年同期(平成18年4〜6月)と比較し、全業種で△12.7と前回調査(平成19年1〜3月、△9.9)より2.8ポイント下降し、2期連続でマイナス幅が拡大した。製造業は前期の大幅悪化の反動から9.2ポイント改善したが、反面建設業で6.9ポイント、小売・卸売業で6.7ポイント、またサービス業でも8.6ポイントそれぞれ下落、これが全体を引き下げるものとなった。2ケタのマイナスは平成17年7〜9月期(△16.3%)以来のこと。下落幅は大きくないものの、一服感が続く結果となった。
 来期(平成19年7〜9月)の先行き見通しについては、サービス業で今期の反動から改善が進み、全業種でも△12.2と0.5ポイントの小幅上昇を予想、緩やかな回復を見込んでいる。
 その他の指標についてみると、売上額DIは前年同期と比較し、全業種で△4.9と前回調査(△1.0)より3.9ポイント下降しマイナス幅が拡大した。建設業における大幅な下落が影響している。しかしながら、来期については逆に0.5ポイント上昇し、幾分の改善を予想している。
 一方、資金繰りDIについては0.4ポイント減の△6.3とやや窮屈感が増したが、来期については0.5ポイント増と持ち直しを見込んでいる。また、採算(収益)DIに関しても2.1ポイント減の△21.4とマイナス幅が拡大した。しかしながら、来期については製造業を中心に改善が進み、逆に3.9ポイント増とマイナス幅の縮小を予想している。

【データ:全業種】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△ 9.9△12.7△12.2
売 上 額△ 1.0△ 4.9△ 4.4
資金繰り△ 5.9△ 6.3△ 5.8
採算(収益)△19.3△21.4△17.5
※売上額は、建設業では完成工事(請負工事)額



■業種別の概要

(1)製造業
 自動車・機械機器関連を中心に操業水準が高まり、売上額が4.5ポイント増の17.5となった。また、原材料仕入価格に改善が見られない中でも、経費の節約などに努めた結果、採算(収益)も2.5ポイント改善され、増収・増益の展開となった。その結果、景況DIは前期と比べ9.2ポイント上昇し、0.0(同数)レベルまで回復した。
 来期については、売上額が1.7ポイント減と幾分下落するものの、原材料仕入価格・製品在庫とも改善されることから、採算(収益)は14.0ポイントの大幅上昇を予想。景況DIも1.8ポイント増とさらに改善が進み、プラスに転じる見込みである。
 経営上の問題点としては、引き続き「原材料価格の上昇」が1位となっている。そのウエイトは前期よりも8ポイント高まっており、これが収益の伸び悩みの足かせになっている。一方、人手および設備の不足感は、慢性化の中で幾分緩和傾向が続いている。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.原材料価格の上昇       29.3%
 2.従業員の確保難        15.0%
 3.生産設備の不足・老朽化    12.1%
 4.需要の停滞          10.0%
 5.製造単価の低下         7.1%
 
【主な事業者の声】
 ・部品や単価の見直し等工程の変化が進むとともに、あらゆる部分でムダの排除、効率化の強化が求められている。(自動車部品)
 ・原料輸出による国内良品の不足、輸入製品の業界圧迫等により、リサイクル業界の今後は不透明である。(繊維)
 ・業界は依然として景気が低迷している。(化学)
 ・自動車業界のグローバル化が進んでいる。(自動車部品)
 ・印刷物がメディアの多様化によって、インターネットや内製化に移ってきており、市場全体が縮小している。(印刷)
 ・中国輸入手袋が増加している。(繊維)

【データ:製造業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△ 9.2  0.0  1.8
売 上 額 13.0 17.5 15.8
原材料仕入価格 70.3 78.9 59.7
製品在庫△ 1.9  1.7△ 3.5
資金繰り  0.0  7.0  1.8
採算(収益)△13.0△10.5  3.5



(2)建設業
 受注(新規契約工事)額は民間工事を中心に堅調に推移し7.3ポイント上昇したものの、完成工事(請負工事)額は公共工事が端境期により大きく低迷したことなどから、12.0ポイント減と大幅に下落した。また、請負価格の下落と資材仕入価格の高騰もあり採算(収益)は2.5ポイント悪化、その結果、景況DIは6.9ポイント減の△33.0とマイナス幅が拡大した。
 来期の見通しについては、資材仕入価格は大幅に改善されるものの、時期的な要因もあって公共工事にあまり期待できないとの見方から、受注(新規契約工事)額が大幅に減少する見込みである。採算(収益)も厳しい見方となっており、景況DIもさらに4.5ポイントの悪化を予想している。
 経営上の問題点をみると、「請負単価の低下」が1位、「材料価格の上昇」が2位と、前期同様の順位であるが、そのウエイトはどちらも高くなっている。両者で4割を占め、引き続き収益面と資金繰り面に窮屈な状況を反映するものとなった。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.請負単価の低下        22.7%
 2.材料価格の上昇        18.9%
 3.需要の停滞          12.9%
 4.従業員の確保難        10.6%
 4.人件費以外の経費の増加    10.6%

【主な事業者の声】
 ・ 公共工事を中心に受注が減少、受注工事金額も低減している。逆に資材価格は高騰を続けている。(土木工事)
 ・業界全体に粗利益率が低下している。(一般建築、設備工事)
 ・建設業界、特に土木工事に関しては、厳しさを通り越して氷河期の真只中にあるというのが実情。ダンピングが止まらず、この先1年半か2年が勝負どころと思われる。(土木工事)
 ・職人さんがいなくなりつつある。(石材)
 ・注文住宅の着工数が減少している。(一般建築)
 ・請負金額が低下している。(設備工事)

【データ:建設業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△26.1△33.0△37.5
完成工事(請負工事)額△13.0△25.0△29.1
受注(新規契約工事)額△26.1△18.8△35.4
資材仕入価格 58.7 66.7 45.8
資金繰り△19.6△25.0△20.8
採算(収益)△39.2△41.7△47.9



(3)小売・卸売業
 景況DIは△14.6となり、前期と比べ6.7ポイント下落した。商品在庫に改善が図られたものの、売上額が6.7ポイント減の△9.1まで低下した。また商品仕入価格も6.2ポイント悪化したことで採算(収益)も2.5ポイント下落、全体としてマイナス幅が拡大する結果となった。
 来期については、商品仕入価格が幾分改善されるものの、売上額が引き続き1.8ポイント下落することで採算(収益)も悪化を予想、その結果景況DIは1.8ポイントの下降を見込んでいる
 経営上の問題点をみると、「需要の停滞」と「仕入単価の上昇」が引き続き上位を占め、収益面の改善が遅れぎみであることを反映したものとなった。また「従業員の確保難」もウエイトを高めており、慢性化が懸念される。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.需要の停滞            21.3%
 2.仕入単価の上昇          15.4%
 3.従業員の確保難          13.2%
 4.人件費以外の経費の増加      11.0%
 5.販売単価の低下          10.3%
 
【主な事業者の声】
 ・事業所向けは通販の台頭で厳しい。(身の回り品小売)
 ・販売価格が過当競争のため低下が激しい。このままではお互い首を絞めることになる。(宅配)
 ・父・母の日は、数年前までは衣料品を贈り物にしていたが、最近では家族で食事をしたり旅行券を贈ったりする傾向が強いようだ。(衣料品小売)
 ・中国製品の大幅値上げが予想される。(雑貨卸売)
 ・海外調達資材等の仕入コストがアップしている。為替・中国情勢等が起因しているか。(身の回り品卸売)
 ・自動車関連ユーザーの設備意欲が低下している。(資材卸売)
 ・オーダーメイドの業界は高齢化が進み、壊滅状態である。(衣料品小売)
 ・事業継承問題が見られている。(資材卸売)
 ・同業他社との競争が激化している。(給食)

【データ:小売・卸売業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△ 7.9△14.6△16.4
売 上 額△ 5.8△ 9.1△10.9
商品仕入価格 41.1 47.3 43.7
商品在庫  3.9△ 3.6△ 3.6
資金繰り△ 5.9△ 7.3△ 9.1
採算(収益)△19.6△21.8△23.6



(4)サービス業
 売上額が6.7ポイント、利用客数も6.1ポイント減少し、それぞれマイナスに転じた。また採算(収益)も諸経費の高騰により5.4ポイント減の△13.3とマイナス幅が大きく拡大。加えて資金繰りも悪化し、景況DIは前期と比べ8.6ポイント減の△6.6とマイナスに転じた。
 しかしながら、来期の見通しについては、当期の反動により売上額・利用者数とも大幅な増加を予想。採算面(収益)も良好な見方から増収・増益を予想、景況DIも8.8ポイント増と、比較的大幅な改善を見込んでいる。
 経営上の問題点としては、「需要の停滞」「利用者ニーズの変化への対応」がそれぞれウエイトを下げた。逆に「従業員の確保難」が上昇し初めて1位となり、当業界でも大きな課題となってきた。また、「店舗施設の狭隘・老朽化」も初めて上位に入ってきており、需要の弱さと合わせ利用客増への課題として顕在化しつつある。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.従業員の確保難        16.7%
 2.需要の停滞          13.0%
 3.利用者ニーズの変化への対応  11.1%
 4.店舗設備の狭隘・老朽化    10.2%
 5.材料等仕入単価の上昇      9.3%

【主な事業者の声】
 ・燃料が急上昇し、経営を圧迫している。(運送)
 ・まだまだ暗いトンネルの中、向こうのあかりが見当たらない。(美術品)
 ・原材料(燃料)のアップが続いている。(タクシー)
 ・少子化により需要が減少している。(自動車教習)(技能講習)
 ・まち(康生)の地盤沈下が影響している。(不動産)

【データ:サービス業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況  2.0△ 6.6  2.2
売 上 額  0.0△ 6.7  4.5
利用客数  3.9△ 2.2  6.7
資金繰り  0.0△ 2.2  4.5
採算(収益)△ 7.9△13.3△ 4.5



●平成19年1〜3月期分


●平成18年10〜12月期分


●平成18年7〜9月期分


●平成18年4〜6月期分


●平成18年1〜3月期分


●平成17年10〜12月期分


●平成17年7〜9月期分


●平成17年4〜6月期分


●平成17年1〜3月期分


●平成16年10〜12月期分


●平成16年7〜9月期分


●平成16年4〜6月期分


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