岡崎市内景況調査結果
(平成18年4〜6月期分)
〜景況DIは2.3ポイント上昇、回復基調を維持!〜
岡崎市内の今期の景況DIは、前年同期と比較し△7.0と前回調査より2.3ポイント上昇し、2期振りにマイナス幅が縮小した。製造業と小売・卸売業で小幅下降となったものの、サービス業と建設業が堅調に推移し全体を押し上げる形となり、改善基調を維持する結果となった。
来期の景況DIについても今期と同レベルを予想、回復傾向が持続する見込みである。
1.調査対象
(1)対象企業数 本所各部会役員・幹事事業所 494企業
(2)回答企業数 有効回答206企業(回答率41.7%)
2.調査対象時期
平成18年4〜6月期
(1)前年同期(平成17年4〜6月)と比べた今期の状況
(2)今期と比べた来期(平成18年7〜9月)の先行き見通し
3.調査時点
平成18年6月27日〜平成18年7月7日
4.調査方法
ファクシミリによるアンケート方式
5.有効回答企業数内訳
業 種 | 回答企業数 | 構成比 |
製 造 業 | 58 | 28.1% |
建 設 業 | 48 | 23.3% |
小売・卸売業 | 57 | 27.7% |
サービス業 | 43 | 20.9% |
合 計 | 206 | 100.0% |
6.その他
本報告書中のDIとは、「ディフュージョン・インデックス」(景気動向指数)の略で、各調査項目について「増加」(上昇、好転)した企業割合から、「減少」(低下、悪化)した企業割合を差し引いた値である。例えば、売上額で「増加」30%、「不変」50%、「減少」20%の場合のDIは、30−20=10となる。
■市内の景況全体の概要
岡崎市内の今期(平成18年4〜6月)の景況判断DIは、前年同期(平成17年4〜6月)と比較し、全業種で△7.0と前回調査(平成18年1〜3月、△9.3)より2.3ポイント上昇し、2期振りにマイナス幅が縮小した。製造業と小売・卸売業で小幅な下落となったが、反面サービス業で6.8ポイント、建設業でも3.8ポイントそれぞれ改善、これが全体を押し上げるものとなった。
上昇幅は大きくないものの、昨年7〜9月を底とした今改善基調を維持、特に本調査開始(平成16年4〜6月)以降の2年間で最も高い指数となり、景気回復の足どりが着実であることを示す結果となった。
来期(平成18年7〜9月)の先行き見通しについても、全業種で7.0と今期と同レベルを予想、回復傾向が持続する見通しである。
その他の指標についてみると、売上額DIは前年同期と比較し全業種で1.0と、前回調査(△0.5)より1.5ポイント上昇しプラスに転じた。サービス業における大幅な改善が全体を押し上げる要因となった。しかしながら、来期についてはサービス業の反動が大きく、一転1.9ポイント下降し幾分の悪化を見込んでいる。
一方、資金繰りDIについては0.8ポイント減の△2.9と幾分悪化、来期についてもさらにマイナス幅の拡大を予想している。採算(収益)DIに関しては0.6ポイント増の△18.4と、マイナス幅が縮小した。来期についても2.1ポイント上昇し引き続き改善を予想、回復が進む見込みである。
【データ−全業種】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △ 9.3 | △ 7.0 | △ 7.0 |
売 上 額 | △ 0.5 | 1.0 | △ 0.9 |
資金繰り | △ 2.1 | △ 2.9 | △ 5.5 |
採算(収益) | △19.0 | △18.4 | △16.3 |
※売上額は、建設業では完成工事(請負工事)額
■業種別の概要
(1)製造業
景況DIは△5.2となり、前期と比べ0.1ポイント減と小幅な悪化となった。これは、売上額が1.7ポイント下落しマイナスに転じた他、原材料仕入価格も7.6ポイント悪化したことから、採算(収益)を圧迫したことが影響したものである。
来期については、売上額が6.9ポイント増加するのをはじめ、原材料仕入価格も大幅に改善されることから、増収・増益の展開を予想。景況も3.4ポイント増の△1.8とマイナス幅の縮小を見込んでいる。
経営上の問題点としては、引き続き「原材料価格の上昇」が1位となっており、これが利幅拡大を妨げ、収益の伸び悩みにつながっている。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.原材料価格の上昇 24.7%
2.需要の停滞 13.0%
3.従業員の確保難 12.3%
4.生産設備の不足・老朽化 9.1%
5.製造単価の低下 7.8%
5.製品ニーズの変化への対応 7.8%
【主な事業者の声】
・業界全般に需要が低迷している。(化学)
・今後、流通業へ値上げを要請していきたい。(繊維)
・経験のある人材が採用できなくなっている。(機械設計)
・受注は好転しているが、機械設備が能力オーバーの状態にある。(機械)
・原油高騰により関連原料が高くなっている。また、輸送費の負担も増している。(繊維)
・業界全体が縮小傾向にある。(印刷)
・鋼材の値上がりが悪影響をもたらしている。(機械)
・得意先が高齢化しており、将来の見通しが不明である。(繊維)
・同業者間の競争が激化している。(紙製品)
・一般需要は低調も、折り込みチラシ部門は好転している。(印刷)
【データ−製造業】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △ 5.1 | △ 5.2 | △ 1.8 |
売 上 額 | 0.0 | △ 1.7 | 5.2 |
原材料仕入価格 | 63.8 | 71.4 | 47.3 |
製品在庫 | △ 3.4 | △ 8.8 | 1.7 |
資金繰り | △ 1.7 | △ 5.2 | 0.0 |
採算(収益) | △17.2 | △19.3 | △17.3 |
(2)建設業
完成工事(請負工事)額が2.1ポイント上昇、また受注(新規契約工事)額も民間工事を中心に堅調に推移したことから6.0ポイント上昇した。資材仕入価格は悪化したものの資金繰りは改善、その結果景況DIも前期と比べ3.8ポイント上昇し、マイナス幅が縮小した。
来期については、完成工事額は増加を見込んでいるが、公共工事を中心に受注額が低下、資金繰り面についても窮屈感を予想している。採算(収益)面も厳しい見方となっており、景況DIも一転2.1ポイントの悪化を予想している。
経営上の問題点をみると、「材料価格の上昇」と「請負価格の低下」が上位にあがっており、引き続き採算(収益)面と資金繰り面に窮屈な状況を反映するものとなっている。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.材料価格の上昇 22.6%
2.請負単価の低下 15.8%
3.従業員の確保難 11.3%
4.需要の停滞 9.8%
5.人件費以外の経費の増加 9.0%
【主な事業者の声】
・収益率の低下が続いている。(土木)
・請負単価の低下と資材単価の上昇により、採算が悪化している。(一般建設)
・公共投資の減少により、受注工事が減ってきている。(土木)
・ハローワークでは若年労働者の求人が難しい状況にある。(管工事)
・石油に関わる資材、特に「鉄」価格の上昇が著しい。(一般建設)
・公共工事が減少し、資材価格が上昇しているため、採算が悪化している。(土木建築)
・要員が不足気味の状況にある。(電気工事)
【データ−建設業】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △22.9 | △19.1 | △21.2 |
完成工事(請負工事)額 | △16.7 | △14.6 | △ 6.3 |
受注(新規契約工事)額 | △16.7 | △10.7 | △10.9 |
資材仕入価格 | 52.1 | 64.6 | 58.3 |
資金繰り | △16.7 | △ 8.3 | △18.8 |
採算(収益) | △31.3 | △33.3 | △37.5 |
(3)小売・卸売業
景況DIは△5.3となり、前期と比べ0.5ポイント下落した。商品仕入価格の持ち直しが図られたものの、売上額が9.0ポイント減の5.3に低下、採算(収益)も諸経費の高騰などから1.5ポイント下落したことで、全体として僅かながらも悪化する結果となった。
来期の見通しについては、売上額がさらに5.3ポイント低下するものの、商品仕入価格・商品在庫が改善されることから採算(収益)は好転を予想している。その結果、景況も5.3ポイント増の0.0(同数)レベルまでの改善を見込んでいる。
経営上の問題では、「従業員の確保難」が初めて上位に入り、収益面の改善に加え大きな課題になりつつある。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.需要の停滞 20.7%
2.仕入単価の上昇 12.6%
3.従業員の確保難 10.4%
4.大企業の進出による競争の激化 9.6%
5.販売単価の低下 8.9%
5.人件費の増加 8.9%
【主な事業者の声】
・ 海外仕入をすることにより店の個性がより明確化した。(衣料小売)
・ 購買価格が低下している。また、若年層が減少し、逆に高齢者が増加している。(日用品小売)
・ 競争の激化による販売単価の低下が顕著になっている。(機器卸売)
・ 競争の激化が利益の低下を招いている。(洋品小売)
・ 店舗間の格差が拡大している。(衣料小売)
【データ】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △ 4.8 | △ 5.3 | 0.0 |
売 上 額 | 14.3 | 5.3 | 0.0 |
商品仕入価格 | 38.1 | 34.0 | 26.8 |
商品在庫 | △11.9 | △ 3.6 | △ 8.9 |
資金繰り | 14.3 | △ 3.5 | △ 1.8 |
採算(収益) | △14.3 | △15.8 | △ 1.7 |
(4)サービス業
売上額が15.4ポイント、利用者数も3.6ポイント増加し、それぞれプラス幅が拡大した。その結果、採算(収益)は10.1ポイント増の△2.6と大幅に改善、資金繰りも緩和し、景況DIは前期と比べ6.8ポイント上昇しプラスに転じた。
しかしながら、来期の見通しについては、当期の反動により売上額・利用者数とも2ケタの減少を予想。採算(収益)面も厳しい見方となっており、大幅な減収・減益を予想、景況も10.0ポイントの下落を見込んでいる。
経営上の問題点として、「従業員の確保難」が2位に入ってきており、当業界にも顕在化してきた。一方で、経費の節減により収益性の改善を図り、「利用者ニーズの変化への対応」に取り組むという大きな課題にも直面している。
【経営上の問題点】(上位5項目分)
1.利用者ニーズの変化への対応 14.3%
2.従業員の確保難 13.3%
3.人件費以外の経費の増加 11.2%
4.需要の停滞 10.2%
5.人件費の増加 9.2%
【主な事業者の声】
・燃料費(特に軽油)の高騰が影響している。(運送)
・万博終了後、業界の再編が進んだ。新規分野への転換がみられる。(企画)
・熟練従業員の確保が難しい。(情報処理)
・燃料の高騰が大きく影響している。(タクシー)
・少子化により需要が減少している。(自動車教習)
・価格破壊が進んでいるため、顧客の求める新商品の提供を進めるしかない。(宅配)
・街に人が集まるイベントを多く開催いてほしい。(飲食)
【データ】
項 目 | 前年同期比(前回) | 前年同期比(今回) | 来期の見通し |
景 況 | △ 4.3 | 2.5 | △ 7.5 |
売 上 額 | 2.1 | 17.5 | △ 5.1 |
利用客数 | 6.4 | 10.0 | △ 2.6 |
資金繰り | △ 2.1 | 7.6 | △ 2.5 |
採算(収益) | △12.7 | △ 2.6 | △10.2 |
●平成18年1〜3月期分
●平成17年10〜12月期分
●平成17年7〜9月期分
●平成17年4〜6月期分
●平成17年1〜3月期分
●平成16年10〜12月期分
●平成16年7〜9月期分
●平成16年4〜6月期分
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