岡崎市内景況調査結果

(平成18年10〜12月期分)




〜景況DIは3.1ポイント上昇、2期ぶりに改善〜

 

 今期の景況DIは、前年同期と比較し△4.6と前回調査より3.1ポイント上昇し、2期振りに景況感が改善された。全ての業種で上昇したが、中でも受注が好調な製造業が大きく好転し、全体を押し上げる要因となった。
 来期については、今期の反動から景況DIは3.5ポイントの下降を見込んでおり、回復に向けた動きは一服の予想である。



1.調査対象
  (1)対象企業数  本所各部会役員・幹事事業所 485企業
  (2)回答企業数  有効回答197企業(回答率40.6%)

2.調査対象時期
  平成18年10〜12月期
  (1)前年同期(平成17年10〜12月)と比べた今期の状況
  (2)今期と比べた来期(平成19年1〜3月)の先行き見通し

3.調査時点
  平成18年12月25日〜平成19年1月10日

4.調査方法
  ファクシミリによるアンケート方式

5.有効回答企業数内訳
業    種回答企業数構成比
製 造 業5125.9%
建 設 業4221.3%
小売・卸売業5829.4%
サービス業4623.4%
合    計197100.0%

6.その他
 本報告書中のDIとは、「ディフュージョン・インデックス」(景気動向指数)の略で、各調査項目について「増加」(上昇、好転)した企業割合から、「減少」(低下、悪化)した企業割合を差し引いた値である。例えば、売上額で「増加」30%、「不変」50%、「減少」20%の場合のDIは、30−20=10となる。
 


■市内の景況全体の概要

 岡崎市内の今期(平成18年10〜12月)の景況判断DIは、前年同期(平成17年10〜12月)と比較し、全業種で△4.6と前回調査(平成18年7〜9月、△7.7)より3.1ポイント上昇し、2期振りに景況感が改善された。業種別では、製造業で20.4ポイント増の13.8、建設業で1.9ポイント増の△19.1、小売・卸売業で1.1ポイント増の△6.9、サービス業で4.3ポイント増の△8.7と、全ての業種で上昇した。中でも製造業における上昇幅が大きく、全体を押し上げる要因となった。
 平成18年4〜6月の△7.0を超え、本調査開始(平成16年4〜6月)以降では最も高い指数となり、回復基調が持続していることを示す結果となった。
 来期(平成19年1〜3月)の先行き見通しについては、今期の反動から軒並み下向きに転じ、全業種で△8.1と3.5ポイントの下降を見込んでおり、回復に向けた動きは一服の予想である。
 その他の指標についてみると、売上額DIは前年同期と比較し、全業種で9.1と前回調査(△2.7)より11.8ポイント上昇し2期振りにプラスに転じた。製造業における大幅な改善が全体を押し上げる要因となった。しかしながら、来期については製造業における反動と建設業の悪化予測が大きく、15.2ポイント下降しふたたびマイナスに転じる見込みである。
 一方、資金繰りDIについては0.7ポイント増の△5.6とやや窮屈感が改善、来期についても幾分の改善を見込んでいる。採算(収益)DIに関しても16.9ポイント増の△11.2と、大幅な改善が図られた。特に製造業における改善幅(31.5ポイント増)が際立っているが、来期についてはこの反動の影響が見込まれており、逆に6.0ポイント減とマイナス幅の拡大を予想している。

【データ−全業種】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△ 7.7△ 4.6△ 8.1
売 上 額△ 2.7  9.1△ 6.1
資金繰り△ 6.3△ 5.6△ 5.1
採算(収益)△28.1△11.2△17.2
※売上額は、建設業では完成工事(請負工事)額



■業種別の概要

(1)製造業
 自動車・機械機器関連を中心に操業水準が高まり、売上額が29.0ポイント増の39.2となった他、原材料価格も8.2ポイントの持ち直しが見られたことから、採算(収益)は31.5ポイント増と大幅に改善され、増収・増益の展開となった。その結果、景況DIは13.8となり、前期と比べ20.4ポイント改善しプラスに転じた。
 来期については、原材料価格の高騰が懸念されており、また当期の反動から売上額・採算(収益)とも2ケタの減少を見込んでおり、景況DIはプラスを維持するものの6.0ポイントの下降を予想している。
 経営上の問題点をみると、2位の「従業員の確保難」のウエイトが高まっており、1位の「原材料価格の上昇」に肉薄している。また、設備の不足・老朽化も上位にあがってきており、人手不足感の強まりと併せ増産のネックにねりかねない状況にある。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.原材料価格の上昇       20.8%
 2.従業員の確保難        19.2%
 3.生産設備の不足・老朽化    15.2%
 4.人件費の増加          9.6%
 5.需要の停滞           8.8%
 
【主な事業者の声】
 ・中国からの輸入製品が出まわり過ぎて困惑している。(繊維)
 ・大口の受注が増えてきた。(化学)
 ・主要顧客の増産により好転している。(機械)
 ・関連原材料が高騰している。(繊維)
 ・リサイクルに必要な屑原料が不足している。(繊維)
 ・技術面での底上げができず問題になっている。(化学)
 ・輸入商品による需要圧迫と低価格競争の激化等、業界全体に不安材料が多様・多発の状況にある。(繊維)

【データ−製造業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△ 6.6 13.8  7.8
売 上 額 10.2 39.2 19.6
原材料仕入価格 72.9 64.7 39.2
製品在庫 13.8 15.7  2.0
資金繰り△ 1.6  1.9△ 4.0
採算(収益)△19.7 11.8  0.0



(2)建設業
 完成工事(請負工事)額が4.2ポイント上昇、受注(新規契約工事)額も公共工事が需要期に当たり堅調に推移したことから11.9ポイント上昇した。資金繰りに窮屈感が見られたものの、資材仕入価格が大幅に緩和、その結果景況DIも前期に比べ1.9ポイント上昇し、マイナス幅が縮小した。
 来期の見通しについては、資材仕入価格は引き続き改善を見込んでいるが、民間工事にあまり期待できないとの見方から完成工事額が大幅に減少、その結果景況DIは4.8ポイントの悪化を予想している。
 経営上の問題点としては、「請負単価の低下」が「材料価格の上昇」を抜き1位となっている。両者で約4割を占めており、引き続き採算(収益)面と資金繰り面に窮屈な状況を反映するものとなった。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.請負単価の低下        21.2%
 2.材料価格の上昇        17.8%
 3.従業員の確保難        12.7%
 4.需要の停滞           9.3%
 5.人件費の増加          6.8%

【主な事業者の声】
 ・国内材の中国輸出が増え、その製品輸入が多くなっている。(石製品)
 ・発注工事の請負単価が低下している。(土木)
 ・大型物件の受注が増加基調にある。(建築)
 ・これまで単価の叩き合いで受注額が下落していたため、職人を育てる余裕がなかった。 今になって職人(技術者)が不
  足して大変ある。今後どの業界も技術者不足が問題となろう。(石製品)
 ・資材価格が上昇している。(電気工事)

【データ−建設業】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△21.0△19.1△23.9
完成工事(請負工事)額△11.3△ 7.1△28.6
受注(新規契約工事)額△31.0△19.1△19.0
資材仕入価格 77.3 64.3 45.2
資金繰り△ 9.1△16.7△16.7
採算(収益)△50.0△38.1△40.5



(3)小売・卸売業
 景況DIは△6.9となり、前期と比べ1.1ポイント改善した。売上額は例年の需要期に加え個人消費の回復傾向を反映し6.9ポイント上昇、プラスに転じた。また、商品仕入価格に改善がみられない中でも経費の節約などに努めた結果、増収が増益につながる形となり、採算(収益)も11.7ポイントの大幅な改善が図られた。
 来期については、商品在庫・商品仕入価格が改善されるものの、今期の反動から売上額が13.8ポイント下降することで採算(収益)も悪化を予想、その結果景況DIは1.7ポイントの下降を見込んでいる。
 経営上の問題点では、「従業員の確保難」が調査毎にウエイトを高めており、収益面の改善に加え大きな課題となっている。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.需要の停滞            20.4%
 2.従業員の確保難          14.1%
 2.仕入単価の上昇          14.1%
 4.大企業の進出による競争の激化   10.6%
 5.販売単価の低下           9.9%

【主な事業者の声】
 ・昨年の万博による消費ダウンが今年は回復した。(食品卸売)
 ・仕入の値上がりが価格転嫁しづらい。(機械資材卸売)
 ・川上のメーカーは良いが、川下の流通は悪い。(機械資材卸売)
 ・全国規模の同業者の集中出店により、安売競争が激化している。(商店街)
 ・景気が良いと言われている割には、我々中小企業は実感がなく、冷たい風が吹いている感じである。(建築資材卸売)
 ・今後の成長は人材が確保できるかどうかによる。 (ファーストフード)
 ・飲酒運転の取締りが一段と厳しくなり、年末の宴会は宿泊できる店に集中し売上は激減した。また、ノロウイルスの影
  響もある。(食品小売)
 ・通販の競争激化で売上の確保が難しい。(生活用品小売)
 ・暖冬の影響により衣料品を中心に売上が不振となった。(スーパー)
 ・同業者の廃業が目立っている。(生活用品小売)
 ・市内外の業者が安売り合戦に入り、収益悪化スパイラルになってきた。(宅配)  

【データ】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△ 8.0△ 6.9△ 8.6
売 上 額  0.0  6.9△ 6.9
商品仕入価格 42.9 43.1 29.4
商品在庫△ 1.6  5.1△ 8.6
資金繰り△ 7.9  3.5  1.7
採算(収益)△23.8△12.1△18.9



(4)サービス業
 売上額が6.5ポイント増加した他、利用客数も13.3ポイント増加しプラスに転じた。その結果、採算(収益)は13.7ポイント増の△10.8と大幅に改善、景況DIも前期と比べ4.3ポイント上昇し△8.7とマイナス幅が縮小した。
 しかしながら、来期の見通しは当期の反動により売上額・利用者数とも減少を予測、採算(収益)面も厳しい見方から総じて減収・減益を見込んでおり、景況DIも2.2ポイントの下降を予想している。
 経営上の問題点としては、「需要の停滞」のウエイトが上昇、上位にあげられている「利用者ニーズの変化への対応」にいかに取組み、それを需要の掘起こし・取込みにどう繋げられるかが、収益性改善と併せて大きな課題となっている。

【経営上の問題点】(上位5項目分)
 1.需要の停滞          17.0%
 2.利用者ニーズの変化への対応  12.5%
 2.人件費の増加         12.5%
 4.人件費以外の経費の増加    10.7%
 5.従業員の確保難         9.8%
 
【主な事業者の声】
 ・飲酒運転追放の関係で業績が悪化した。(飲食店)
 ・飲酒運転禁止運動等による売上増の半面、過重労働時間の法令遵守で以前より労働時間が短縮したことによる売上
  減もある。(タクシー)
 ・従業員の技術向上が大きな問題である。(美容)
 ・少子化により需要が減少している。(自動車教習)
 ・まだ地方まで景気の良さは伝わってこない。(美術品)
 ・コンプライアンス遵守で労働時間の延長ができなくなり、営業収入の減少を招いている。(タクシー)
 ・文化産業が時代の中心に躍り出る前兆を感じる。(イベント業)
 ・格安合宿校へ客が流出している。(自動車教習)

【データ】
項   目前年同期比(前回)前年同期比(今回)来期の見通し
景   況△13.0△ 8.7△10.9
売 上 額△13.0△ 6.5△13.0
利用客数△11.1  2.2△15.2
資金繰り△ 7.4△15.3△ 4.3
採算(収益)△24.5△10.8△13.1



●平成18年7〜9月期分


●平成18年4〜6月期分


●平成18年1〜3月期分


●平成17年10〜12月期分


●平成17年7〜9月期分


●平成17年4〜6月期分


●平成17年1〜3月期分


●平成16年10〜12月期分


●平成16年7〜9月期分


●平成16年4〜6月期分


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