本所では岡崎市内主要事業所120社を対象に標記調査を実施しているが、5月24日現在で104社から回答を得た。このうち、妥結または決定済みの事業所は90社で、妥結・決定額は全業種平均で3,951円、上昇率は1.43%(年齢38.6歳、勤続年数13.5年)となった。 現時点の妥結・決定済み事業所について、前年の実績と単純に比較すると〔表−2〕のとおり、金額では260円増、上昇率でも0.11ポイント増で、2年連続で金額・上昇率ともに前年を上回る結果となった。 業態別では〔表−1〕のとおり、製造業(46社)で平均金額4,394円、 上昇率1.65%(年齢37.7歳、勤続年数13.5年)、また非製造業(44社)で平均金額3,508円、上昇率1.22%(年齢39.6歳、勤続年数13.6年)となり、製造業・非製造業とも前年実績を上回った。 単純比較では金額・上昇率ともに製造業・非製造業の格差は前年以上に拡大しており、業種別においても跛行性がみられた。また、同業種であっても業績の優劣により企業間の格差は拡大、賃上げゼロ(ベアゼロ・定昇凍結または見直し)とする事業所も5社みられた。 一方、前年の妥結・決定実績と比較すると、全業種で金額が増加した事業所は61.7%、横ばい16.7%、減少21.7%、また上昇率では増加58.3%、横ばい23.3%、減少18.3%となり、金額・上昇率とも増加が過半数を占める結果となった。 国内の実体経済は、直近の政府月例経済報告によれば、景気は一部に弱い動きが続くものの、緩やかな回復基調にあるとの見方が示された。製造業を中心とした業績改善傾向が今賃金交渉にも引き続き反映された形で、一昨年を底に昨年・今年と一転上昇基調で推移するものとなった。 今後に関しては、未決定事業所の中には比較的規模の小さい事業所やさらに厳しい経営環境の事業所も多いとみられるが、未決定事業所の見通しについても、昨年と比較して「アップする」もしくは「横ばい」とする回答が5割を超えていることから、最終的に前年実績を上回る可能性は高いと思われる。 なお、現時点で回答があった事業所のうち15.0%は「既に定昇制度はない」としており、賃金体系に成果や能力配分の割合を高めていく傾向がますます強まっていることが伺われるものとなった。 |
金額 | 上昇率 | 基準内賃金 | 年齢 | 勤続年数 | |
全業種(90) | 3,951円 | 1.43% | 270,223円 | 38.6歳 | 13.5年 |
製造業(46) | 4,394円 | 1.65% | 254,526円 | 37.7歳 | 13.5年 |
繊維(9) | 3,809円 | 1.40% | 262,356円 | 39.4歳 | 16.6年 |
化学 (10) | 4,277円 | 1.42% | 261,049円 | 38.2歳 | 13.6年 |
機械金属 (17) | 5,034円 | 1.91% | 262,606円 | 37.7歳 | 13.5年 |
その他(10) | 3,847円 | 1.66% | 228,556円 | 36.1歳 | 10.9年 |
非製造業(44) | 3,508円 | 1.22% | 288,246円 | 39.6歳 | 13.6年 |
建設 (16) | 3,327円 | 1.02% | 315,716円 | 40.5歳 | 14.6年 |
卸・小売(16) | 3,949円 | 1.32% | 289,425円 | 38.3歳 | 13.5年 |
サービス・その他(12) | 3,126円 | 1.33% | 255,871円 | 40.5歳 | 12.4年 |
金 額 | 上昇率 | |
平成3年 | 12,745円 | 5.46% |
4年 | 12,056円 | 4.89% |
5年 | 9,803円 | 3.87% |
6年 | 7,581円 | 2.98% |
7年 | 7,141円 | 2.80% |
8年 | 7,024円 | 2.70% |
9年 | 7,297円 | 2.75% |
10年 | 6,535円 | 2.41% |
11年 | 5,235円 | 1.96% |
12年 | 4,993円 | 1.86% |
13年 | 4,384円 | 1.61% |
14年 | 3,219円 | 1.19% |
15年 | 3,210円 | 1.18% |
16年 | 3,500円 (3,691円) | 1.30% (1.32%) |
17年 | 3,951円 | 1.43% |
※表−2は年次により集計対象数および調査対象が同一でありませんので、ご注意ください。 平成17年については、5月24日現在の集計結果。 平成16年の( )は、平成17年5月24日現在妥結・決定事業所の平成16年実績。 ※表中の計数は全て単純平均によります。 ※本調査では、組合のない事業所については「改定」「決定」、組合のある事業所については「交渉」「妥結」という語句を用いています。 |