11.VVCフロンティア・プロジェクト


 地域・団体・企業の為の新しい形の事業を創出し、これら地域・団体・企業のバックアップをする為には、産・学・官の協力の下で具体的に問題解決を進めて行く必要があり、それを、より効率的に推進するツールが必要になる。
 フラットでオープンな論議が行なえ、実証の為の実験が出来る場所が必要となる。
距離と時間の制約を乗り越え、参加する人々が何時でも自由に参加し、利用出来、様々なプロジェクトを達成する為に、安心して互いの知識や技術をオープンにする事が出来る組織が必要となる。
 岡崎の「スマートバレー公社」が必要である。この公社は、既存の企業や団体の競争力を上げるという目的だけではなく、各々の企業や団体の競争力をローテクの部分でも、ハイテクの部分でも上げる為には、地域の力が上がらなければ決して個々の競争力は上がらないのだという信念を持って、地域の産・学・官の協力を一点に集め、ジョイント・ベンチャー方式で問題を解決してゆこうという「場」なのである。
 これは、諸問題解決の為の具体的な実験場でもあり、産・官・学の協力体制の具体的な成果を発表する場でもあり、実行する場でもある。
 VVCフロンティアは、それに最適な場と考える。新事業創出へと突破してゆく為には、数々の実験が必要であるが、このVVCフロンティアは実に使い勝手が良く、「コラボレーションセンター」としての機能を持たせ、その役割を充分果たせるものと考える。
 マルチメディア創出プロジェクトは、このフロンティアをツールとして実証の為の実験場として利用する事とし、同時に具体的なプロジェクトを立ち上げたいと考える。

 プロジェクトの候補は、

  1. 環境とコミュニティー
     情報ネットワークを有効に活用して、産・学・官・コミュニティの連係の下に、快適居住環境の形成に向けて、地域の環境保全活動支援事業を展開する。
     具体的には、リサイクル・エネルギー・生態系を始めとする環境問題への取り組みについて、行政、団体、企業、大学、専門家、コミュニティーが行なう事業やイベント等活動に関するデータベースを作成し、各セクターの連携を強化する。
     また、水・大気・生態系等の調査データを、地図情報システムを活用して、分かり易く市民各層に紹介し、環境保全活動への意識を高めて行く。
     更に、街づくりにあたって、コンピュータ・グラフィックスを活用した分かり易い景観環境評価手法を導入し、より良い都市環境を形成する。

  2. CATVを活用した画像伝送
     岡崎市を拠点とした郵政省の異種ネットワーク・フルネットワークプロジェクト等の研究成果により、動画の電送技術は飛躍的な向上を示している。この技術を利用してビジネス(教育、会議、技術伝承、商品説明、企業紹介等)や、コミュニティー(歴史、文化、教育、福祉など)における画像情報の活用促進を支援する。
     こうした画像情報の活用・蓄積の実績は、2005年に開催される愛知万博時における地域情報の発信にも大きな経験と力をもたらす。

  3. 集配システムのソフト開発支援
     ルートセールス的に行われる集配業務は、広い分野で行なわれているが、その効率的運用はコンビニや宅配便など一部の分野でしか進んでいない。
     情報通信技術やセンサーを活用した安くて効率の良い集配システムの開発を行なう事により、集配業務のコスト削減やサービス品質の向上に寄与し、その応用範囲を一般商品の配送に加え、CATVと連動した高齢者向け宅配システム、ゴミの収集、自販機の商品補充等幅広い分野に広げる事が出来る。

  4. 海外ソフト開発企業を活用した地域活性化推進
    ビジネスの分野のみならずマルチメディア対応の情報活用に対する需要拡大が見込まれているが、現状では、コストや人材の面が制約要因となっている。
    CAD(コンピュータを活用した設計)やGIS(地図情報システム)の活用や、間近に迫った西暦2000年問題への対応等を含め、高い技術を低コストで活用出来るインド、ロシア、中国等のソフトウエア企業との連携を図る事により、地域の情報活用力を高めると同時に、マルチメディアの開発拠点企業の形成を図る。

  5. VVCフロンティアのビジネスから芸術・文化に至る多様な活用
     情報ネットワークを活用した共同受注企業グループの形成、低コスト・高品質のサービスが受けられるアウトソーシング受託企業の形成などビジネス面での活用に加え、岡崎出身の芸術家の作品や、岡崎の歴史・文化のゆかりの品々・建造物等を収録した岡崎バーチャル美術博物館の開設等、仮想空間を活用した多様な事業展開を行なう。

  6. ネットワークヘルパー(ハンドワークからネットワークへ)
     「誰でも安心して、安く、安定して使えるネットワーク環境」を用意することが地域のマルチメディア活用を進めるスタートラインとなる。
      具体的・個別的なメニューをリーズナブルな料金と共に呈示して、パソコンやネットワークの導入から活用・メンテナンスまでをサポートするネットワーク活用支援事業を行なう。
     また、マルチメディア都市岡崎を視覚的に表現すると同時に、利用者の裾野を広げる為に、駅や公共施設へのマルチメディア端末の配置を進め、市民の情報活用の促進を図る。
     更に、LANやインターネット等の活用を疑似体験出来るブースを公共的な場所に配置して、地域企業・団体などのマルチメディア活用意欲を高める。

  7. 支援組織を活用した地域情報化推進
     本年7月に実施した、情報化に関するアンケート調査の分析により、企業が情報化を進める上で「コスト負担と人材難」が大きな課題である事や、インターネットを始めとする「ネットワーク活用に対する意欲」が高い事が分かった。
     これを踏まえ、地域企業のパソコンやネットワークの活用力を高める為の非営利の支援組織を立ち上げる。この支援組織は、当地域のマルチメディア関連企業を中核とし、大学・行政等の支援を受ける産・学・官共同の組織とする。
     また、導入、活用の初期段階にある企業・団体をグループ化し、情報を共有化しつつ、相互の活用力を高め合う「ユーザーズクラブ」を構築する。


     これらの各プロジェクトには推進担当者を置き、マネジメントとメンテナンスを行なうと同時に、ニーズに応じてプロジェクトを増減させ、タイムリーにその要望にこたえて行けるものとしたい。



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