第1回産学研究会議事録





第1回産学研究会・まちづくりシンポジウム議事録(要旨)
平成11年7月23日13:15〜15:15 岡崎商工会議所中ホール 参加者32名
岡崎商工会議所コーディネート活動支援事業

T.基調講演:「都市の蘇生=まちづくりにおける手法と展開=」
愛知産業大学造形学部建築学科助教授 山田雅美 氏


ただいまご紹介にあずかりました愛知産業大学の山田でございます。
私は地元出身ではないのですが、大学をきっかけに岡崎というまちを昨年の終わりごろから1つの研究テーマにさせていただいております。

1.都市の蘇生とは
今日の1つのテーマである都市の蘇生、「まちの蘇生を」という言葉について、ご説明申しあげます。なぜ蘇生か。蘇生という言葉は死んでしまったもの、または餓死状態のものを蘇えらせることで、今までは、都市デザイン、都市計画という言葉が非常に頻繁に使われてきました。
私は、都市計画というのは非常に否定的なのですが、住民の意識、生活ということをほとんど省みず、地図上に定規で真っ直ぐな線を引くような、都市を物質的に扱って汚れてしまったという非常に大きなミステイクがあると思います。
20年も前から、そういうことはダメだということがアメリカで広く言われまして、都市デザイン、アーバンデザインという言葉が非常にステータスにもたれるようになってきました。それは、都市には真っ白な状態でスタートする状態がなく、都市にはすでに生活があり、文化があり、住民がいるわけですから、問題をクリアにするわけにはいかないだろう。それをないがしろにせず、あらゆるものを受け入れていくというスタンスが、そこから始まるところがアーバンデザインの基本です。
都市は、新陳代謝で沈んでいくということが繰り替えされるわけですが、あえて死んでいくものを救う必要はないと思います。ただ大事なものまで、壊してしまう視点は大きな問題であると思います。「ある物をまず受け入れる」体制を、あるものの中から永遠のものを受け入れながら、都市をデザインしていくスタンスがアーバンデザインです。ところが、アーバンデザインというものは、現在あるものに対してデザインするスタンスという、大きな欠陥があります。
ところが都市というものは、記憶をたどれば、近いものもあれば、10年前、20年前、100年前、1000年前のものもたくさんあるかもしれません。非常に大事なものは、文化と呼ばれるもの、住民の記憶の中にしっかり根づいたものがあるわけです。いまはそういったものは見えなくなったけれども、歴史の中で生きている文化というものをいかに蘇がえさせるかというようなスタンスです。ですから、社会という見方をした時にはじめて生まれるような、都市の形式的な形をつくるというよりも、ここにひそむ魂のようなものを蘇えらせるという概念、それが都市の蘇生という基本的なスタンスです。
それにもう1つ。私の私的な概念で公にはなっていないわけですが、都市の見方という概念を私なりに考えた言葉があります。それを、ソーシャルスケープと言っています。タウンスケープやランドスケープという言葉があります。いわゆる景観。人間から見てどのように映るかということです。
景観的にできたものは都市計画、自然計画などいろいろありますが、そういったものに対し、都市そのものが1つの生き物であるという概念、地球の中で都市が1つ混在するという概念、そういった見方をした場合、社会的な見え方、つまり我々がタウンスケープやランドスケープという景観に対して使う言葉が常にソーシャルスケープになるからです。
建物であり、木々であり、そういった目に見えるものだけで都市はできているわけではありません。都市はその中で人間の生活もあり、人間の心理的な繁栄の仕方、経済的な問題、社会を構成する様々な目にみえないものの見方、ソーシャルスケープという、本来、目に見えないのだけれども、心では見える社会構成、社会構造などは、そういうスタンスで都市を考える必要があるのだろうと思います。
今日の基本的な姿勢として、まずキーワードを使って岡崎というものを考える従来の手法による都市の努力だけでは非常に難しいと思います。つまり、私が最初に仕事をやりはじめた時、マスタープランがないといけないと思ったわけですが、それはいらんお世話であるという感覚にすぐになりました。それ以前にやらなくてはいけないものすごく重要なことがあると感じました。

2.岡崎市近未来都市構想2020研究会の目的と3つの視点
今回対象とするエリアが康生地区ですので、その辺りの社会性、住民の方の意識がどういったものか、どういう考えにあるのかということに対する理解がかなり重要であると思っています。
それで、岡崎市近未来都市構想2020研究会が発足しましたが、2020年くらいをターゲットに今すぐやらなければいけないこともあるだろうし、来年、5年後、10年後、またはスタンスの中に最終的に20年後に何をしなくてはいけないのかというように1つのインターバルとして20年をターゲットとしています。
そういったなかで、岡崎市の近未来都市構想2020研究会の目的は、まず岡崎市のまちづくりの基本理念、将来都市像というものを受け入れながら、またはそのなかでこちらが提案できるものをどういうふうに組み入れるか、基本的なスタンスを考慮しながら進めていく予定です。そのなかで、岡崎の歴史・文化を継承しながら、独自性があり固有性のある岡崎というものを何かの形にすることができれば、形にすることに協力できればということを考えています。
岡崎市近未来都市構想2020研究会の目的を話しましたが、次に、ここでの大きな3つの視点をお話し致します。
1つは、広域エリアという視点で、岡崎市の特色を考えていこうと思います。これは、大きくいえば、地球がどう存在しているのか、また、具体的には、産業文化都市、歴史観光都市、高齢者対応都市の大枠でのとらえ方が1つあります。
次に、今回の対象となる康生地区中心街の分析をして、どう提案していくかを考えていきます。現状の問題提起、活力度、将来に対する意識、環境に対する意識、高齢化に対する意識、新しい情報に対する意識、インターネットに対する意識ということを実際にアンケートをとりながら、展望が開けるかを考えていきたいと思います。  もう1つは、未来に対する対応をどう考えるか、未来環境からの考察をしていこうと思います。例えば、サマータイムの導入による生活時間帯の変化に伴う可能性の面から考えると、余暇の問題が住民に対し、意識改革をうながし、今までの仕事中心から余暇中心で考えられると思います。こういった時に、いま康生地区で余暇をどうやって楽しむことができるのか、また快適な高齢化社会が何かという時に、いかに楽しむことができるのか、おそらく楽しさがこれからの焦点になると思われます。
さらにテクノロジーの発展とともに、高度情報化社会というものの考え方が重要な地位を占めると思われます。このようなことを踏まえ研究会の骨子を固めている所です。

3.対象地区の現状と住民の意識(アンケート中間報告)
現在アンケートが終わった段階で、これから集計を行うわけですが、、中間集計がでていますので、紹介したいと思います。(ここから、OHPを使用して説明)
例えば、「商店街の活性化の将来性」についての質問に対して、住民がどのような意識をしているかということですが、全体的に現状維持が多く、現状何もしなくてよいという考え方が多い。
  次に、現状での「商店街の魅力」についてですが、20代の若者は「安い」、「サービス」がよいというところが商店街の魅力であるといっています。これはどういった意味があるのかということを分析する必要がありますが、若者にとって大事なものは、実は安いサービスであるという内面的な話であることはかなり重要であると思います。
現在、商店街の満足度では、「ふつう」という回答が多く、そのままでよい、ということですが、その反面「不満」という回答が30%を占め、何かしなければならないということで1つの活力につながるということです。なかでも20歳代は、77.8%が不満という回答をしています。これは、最終集計ではないので、断定的には言えないのですが、若者の商店街に対する不満がどこからでてきているのか、の分析がこれからの展開を考える上で非常に重要なことになります。
次に、商店街活性化のための手法でどのようなことが考えられるか、これもよく知れたことですが、駐車場の確保という問題が、全体の27.3%を占めています。ただ、この駐車場の確保が本当の問題かということを検証する必要があると思われます。ここで注目すべきところは3つあります。「品物の充実」、「サービスの向上」、「営業の見直し」の部分で30を越えて40%近くになっています。駐車場以外の可能性もあると感じられます。
今度は商店街の環境ということで、「商店街に交流スペースが必要か」どうかという質問に対して、ベンチなどの休憩の場所、、樹木などの自然をふんだんに取り入れる必要があるという意見が多く出されており、公共的なゆとりのある空間が望まれています。とくに高齢者や買物客が休むことが出来る空間が非常に重要になっています。そうすると、まち自身の付加価値につながってくると思われます。
次に、「サービスの要望」で情報サービスについて聞いてみたところ、医療サービスを上げた割合が意外と低く20%ほどになっています。それ以外にイベント、商品についての提案的な要素、情報に対する要求がかなり強くなっています。高齢者の60歳以上の中で、楽しさという要求が高くなっています。そういったことが都市のこれからの高度情報システムというもののなかに、どう組み入れることができるかが、かなり大きな問題になってくると思います。

4.検討中の8つの提案事項
次にこういったアンケート結果をもとに、これから具体的にどのようなことが我々に提案できるのかをまとめたものです。
@インフォーメーション・ギャラリー
我々の研究のなかで提案したものを、どういった形で具体化するかについては、行政とのコンセンサスをどうとっていくかが課題になると思います。それにあたって、住民の意識を高くすることと、認識度を高くすることもかなり重要になってくると思われます。その辺のことを、我々は感じているわけで、そのためにインフォメーションギャラリーの設置が重要になってくると思われます。
いま、岡崎市近未来都市構想2020研究会が何をやっているかを公開しているわけですが、そこにいった段階で、常にアンケート調査の内容を公開し、住民の意見が常にリアルタイムに表現される場所がある、まとまって公開できる場所がある、いろいろな形で、例えばインターネットを使う時もあるでしょうし、その他の媒体で紹介するという時もあるでしょうし、そこでは、岡崎のあらゆるインフォメーション、歴史的なものも含めて蘇生する遺産も展示してあったり、これからの岡崎の考え方、最新情報のある情報拠点をつくったらどうかと思われます。
インフォーメーション・ギャラリーでかなりビジュアルなもの、そこでいろいろなイベントが常に行われような活性化の拠点になるところを1つ提案したいと思っています。


A岡崎中心街の階層別空間利用形態への提案
岡崎市の市街地空間の使い方、例えば、中心地の土地が高いわりに、建物が低いわけです。33万人の人口からいえば、非常に低い土地活用度といえる。そういったものの、客観的な見方、また、こうあった方がいいのではないだろうかという見方も提案できるだろうと思います。

B中心街におけるオープンスペースの利用形態の提案
現在の中心市街地のオープンスペースの利用形態を調査・考察することで、将来を見据えた新たな「暮らしの文化」の役割を果たすことの出来る利用形態を提案できます。

C都市形成におけるNPOが果たす役割の提案
都市形成におけるNPOの役割、これからはボランティアを都市は無視できない状況になると思います。ボランティアがいなければ、都市が成り立たない。NPOの役割が、高齢化に対する重要な献立になってくると思われます。現実、NPOが都市とどう関わっていくのかについての具体的な提案で、NPOの方々とお話しながら何ができるかという提案にもっていきたいと考えています。

D有店舗仮想商店街構想
最近インターネットの仮想商店街が結構流行っているわけですが、有店舗商店街のメリットを生かしたコンピュータ・ヒューマニズムの合体ということを新たにコメントしたいと思います。

E高齢化社会と複合情報システムの構想
福祉と医療、保健、それに楽しみのある情報であったり、買物の情報であったり、すべて1つのインストラクチャーの中で考えながら、都市の基盤構成をつくりあげていく提案です。

F商店街救済貨幣流通システム構想
経済的な話になってくるわけですが、アメリカで、まち独自の貨幣をつくり、流通させるという実験的なことをしています。これは、非常に成功をおさめている例が多く、この間の振興券とはちがったレベルの事例です。考え方としては、昔の藩札に似ていると思います。日本ではその歴史があり、商店街の人が自らの商店街で物を買う仕組をつくりあげるという、自助をどう考えていくかが骨格になると思われます。

G都市の文化の蘇生に関する提案
もう少し学術的に掘り下げる段階で、どういったことが具体的に、岡崎の固有性であるのかについて考えながら、いま提案手法を結びつけていく作業を進めています。それと先ほどの現状の調査をもう少し念入りにチェックしながら、非常にデリケートな問題が潜んでおりますので、これは後日皆様に報告させていただきたいと思います。
具体的な図表を示しますと、これがオープンスペ‐スの現状をプロットしたものです。ここのグリーン系は公園ですが、赤いところが基本的に駐車場です。駐車場は公的な駐車場とプライベートな駐車場ということで都心としては、駐車場のスペースがかなり多いということがわかります。いま駐車場対策を行ううえで、この部分の論議がされずに駐車場、駐車場といっている可能性があると思われます。このくらいの都市の規模の中に、このくらいの大量の駐車場のスペース、もちろんプライベートなスペースがあるわけで、自分が使っているというよりも、自分が貸しているということが多い状況と思われます。これだけの空地の使い方は1つのきっかけになるのではないか。
これは、建物の高さをあらわした図なのですが、黄色で表示した3階以下の建物が非常に多いわけです。この大きな部分を考えた場合、この中心街の中で3階以下の空間の使い方が非常に贅沢です。これだけ大きなポテンシャルがあることは認識されています。やり方によっては、これから人を呼ぶというきっかけになります。
ちなみにアンケートの中に、建物自身の寿命について聞いているわけですが、建物の60%以上が20、30、40年以上のかなり前の時代に建っているものであるという現実があります。ただ、これから都市がどう変化していうことも、建物の寿命を考えながら1つ方向性の中でつくりあげていけばポテンシャルとしては高いと思われます。
これは、具体的に3次元のシュミレーションで表したものがこれですが、非常に美しいまちに見えますが、かなり高さが低いことがよくわかります。もう少し高層化してもいいのではないかと思われますが、逆にその低さが岡崎の特性であるという見方もできるわけで、必ずここにこういう建物を建てましょうということをいっているわけではありません。ただ、ポテンシャルの中でどうあるべきかという1つの試案として理解いただきたいと思います。
これは、逆方向からみたところで、都市としては非常に整然としていて、わりと大きな都市を感じるわけですが、2、3階というレベルですね。そういった意味で中心でありながら混乱しているわけですが、バランス的には、一般的ではないような状況であります。その辺を踏まえて、これからの都市を考えて何かの1つの方向性がここで提案できないかと考えています。時間ですので、ここでくぎりにしたいと思います。(愛知産業大学 山田助教授)


U.パネルディスカッション
パネリスト
ノブギャラリー 代表 鴨下延広 氏
(株)宝金堂 専務取締役 佐谷 智 氏
愛知産業大学 助教授 山田雅美 氏

コーディネーター
大阪大学 助教授 草間晴幸 氏

山田先生は基調講演でご紹介いたしましたので、他のパネリストの皆さんをご紹いたします。真ん中にお座りになっておられますのが、ノブギャラリー代表の鴨下さんです。ノブギャラリーの他に画廊鴨下を経営されており、アートスペースで、若手アーティストの育成も手がけています。
そのお隣が兜金堂の専務取締役佐谷さんです。岡崎東康生町協同組合副理事をお努めでございます。さらに中心市街地9商店街の事業共同化に取り組む未来城下町連合の代表世話人をお努めになっておられます。
それでは、ただいまからパネリストの方々に10分くらいずつの時間でそれぞれのまちづくりに対する持論を展開いただきたいと思います。まず、鴨下さんの方から「芸術と地域の活性化」という視点からお話をいただきます。
(ノブギャラリー代表鴨下氏)
私はギャラリーをやっている関係上、美術というものを通じて、私にできることはないだろうかと常々思っていましたところ、こういう機会をもっていただきまして私の持論をお話させていただきたいと思います。
今日美術とはどういうものであるかという広い範囲の意味で考えたとき、まちづくりというか、人づくりという面での力をもちうる大切な要素ではないかと思っています。それはなぜかというと、美術というのは人間個人のアイデンティティであるということです。ということは、個人というものの集積がまちなり村なりをつくりあげることで、どのようなまちをつくりたいか、ということが一番根本的な問題ではないかと思います。
最近というか、ここ10年、15年くらいですが、アートを使ったまちづくりがよく行われていますが、ビエンナール、〇〇コンクールとまちの起爆剤として催されていることが多々ありますけれども、私の考えていることは、そういった一過性のものとか、単独で行われることとは、美術にはそぐわないと思うのです。何が問題かというと、そこに住んでいる方とか、まちのアイデンティティとアートがどう関わるかが一番重要だと思うのです。どのように関わるかということは、まちの人が見えないものが、外からアートによって見えることがたくさんあるのです。
具体的に岡崎についてどういうものがいいかということは、そこまでまだプランはたってないですけれども、そういった形で、ただ絵を描くこと、彫刻を街角に置くこと、それは美術の1つではありますけれども、個人のアイデンティティとまちのアイデンティティというそのものをどのように美術に結びつけ、まちと結びつけるか、そこに新しい発想をもってきて美術を利用したまちづくりを行うことが大切です。私はいま本町エックスという若者の画廊形式のショップをやっています。なぜ若い人を育てるか、まちづくりはある種の大人の方が考えて進めていますが、私は10、20、30年という期間でまちづくりを考えた時に、やはり若い方にまちに対する思い入れをもっていただきたいと思います。なるべく若い人にたくさん聞いてほしいし、参加してほしいと思います。
簡単ではありますが、美術をまちづくりにどう使うか、どうするのか、まちのなかにどう取り入れるか、とういうことを私たちの視点とちがう若者の視点で見た時に、面白い結果をだせると信じています。またこういうチャンスをもった時に時間の許す限り頑張ってこれを発展させていきたいと思います。簡単ですが終わります。
(進行)
続きまして、佐谷さんから、未来城下町連合の活動と将来の展望についてお話いただきたいと思います。
(兜金堂 佐谷専務取締役)
ご紹介いただきましたように、岡崎城下町フェスタというのは昨年で5回目、今年も10月9日、10日で6回目を迎えようとしています。それは中心部の大型店と9つの商店街が集まってイベントをやろうというものです。1番最初は国と県からの補助がありまして商工会議所の斎藤さんとやりだしたわけですけれども、大型店の方はある程度組織ができておりましたが、商店街の方は話がまとまりにくく、第3回目から未来城下町連合という名前で1つにまとまって大型店と一緒にやっていこうということでこの組織ができてまいりました。
その時点で最初に私が提案しましたのは、商店街統一フラッグの作成でした。9つの商店街のフラッグに統一性がなく、また、1つの商店街が30とか40とか非常に少ないの構成員ですので、出来合いの物を使っても1個2,000円くらいかかってしまう。しかし、9商店街がそろって買えば270〜300近くの商店があるものですから1枚800円と半値でできてしまいます。
この地区の商店街では、東西の線と南北の線の両方がありますので、それを、どうしていこうかという打ち合わせを毎月やっています。3年間ずっと続けてまいりまして、商工会議所や岡崎市とすりあわせを続けてきましたし、それで、中心市街地であるということで市役所から支援をいただくことができました。
今後の展望といたしましては、岡崎市、商工会議所、9つの商店街、3つの大型店が合体しながら、まちづくり会社をつくることが理想ではないかな、というふうに考えています。俗に3セクとか言われますが、資金をだしていただいても、口をださないようなまちづくり会社をつくって、それが運営していけるような形が一番いいなあと考えて進んでいます。
未来城下町連合の活動は、4年くらいになろうとしているのですけれども、中心市街地を活性化していくという話をすると、総論は賛成ですが、自分の店の前の話になると利害関係がからむのでなかなか話が進みません。各個人のレベルの差ということがあったのですけれども、だいぶその差は埋まってきているわけですが、まだどうしても平行線をたどるような意見の対立があるわけです。私が議長をさせていただいて、いま一番感じているのは、例えば、駐車場の話をしましても、7、8割の賛成が得られれば理想の数字と思っています。3年間話合って、多分50%になると、すごい率の賛成率ではないかなというように思います。でも50%の賛成がないけれども、YESといえる人間さえいれば、こちらがまとめることが十分できるという確信ももちつつあります。
いろいろな中心市街地をみてまいりましたが、岡崎という所は東康生地区に2車線の道路が通っています。全国で中心市街地活性化の成功事例をみますと、車が1台通れるか通れない所が成功しています。結局道路を渡るという感覚ではなくて、自分の庭であるという感覚で皆様が思っているまちが、すごくお付き合いがしやすいかなという気がします。できれば、東康生が全国で一番成功するまちになってくれるといいなと思っていますし、ハードを中心としたつくりがえというより、ソフトを活かせるような、現状のものをそのまま活かせるような何か新しいものを付け加えていくという形で成功できればいいな、と考えています。
私個人の意見は実は門前町みたいな町をもう一度つくりたいなあ、というふうに考えています。大手門から市役所までの1つの道路がつながっていますので、そんな町ができないかなあ。それから町全体をきれいにしてしまうのではなく、昭和30年代の様に、雑貨屋があり、将棋をうっている人がいて、町の中のベンチに座っている人がいるような町ができたらいいなあ、ということを考えています。
(進行)
鴨下さん、本町3丁目のエックスというお店の展開や商店街と地域の住民の方々などとの交流とか、おもしろくて、新しい動きがあれば何かご紹介いただけないでしょうか。
(ノブギャラリー代表鴨下氏)
これはエックスができたからというわけではないのですが、エックスは昨年の9月からやっているのですが、商店街の中に新しい若い人がやっているお店が2店舗増えました。
また、エックスによく来る方で出店はしていないのですが、あそこの前の歩道を使ってフリーマーケットをしたいけれどもという電話を受けたりはしています。まだ、私の方ではどうしたらいいかわからないですから、商工会議所の方へどういうことが可能か、どういうしたらよいかということを問い合わせいる状況です。あと、商店街として、若い人が来るということで多少華やかさがでてきたかなあということです。今のところはそのようなところです。
(進行)
佐谷さんは、まちづくり会社をつくるということをお考えですが、おおよそいつ頃おつくりになるか、時期的なことが頭にございましたらご披露いただけたらと思います。
(兜金堂 佐谷専務取締役)
はい、私が思っているのは2001年4月が一番いいかなと考えているわけですが、それは逆にいいますと、ジャスコ南店と隣接してもう一つ大きなところがでてくることがあるので、いいタイミングではないかなと考えています。
(進行)
愛知産業大学の山田先生には先程ご説明頂いた、検討中の8つの提案、地域に対する準備をしていただいているわけでございますが、そのなかで、まずこれをやって足がかりをつけたらという項目についてお話していただけたらと思います。
(愛知産業大学 山田助教授)
最初に説明致しましたインフォメーションギャラリーは、いつということではなく、すぐに始められことであると思います。いずれにしてもまちをどうにかしようということについては、まちに住んでいる住民の人のコンセンサスを得ない限り、何もできないということが、今までやってきた実感でございます。
それで、先に青写真ができるのではなく、一緒につくっていくような場所をつくるということを早急にやっていかなくてはなりません。調査、分析から現実化、具現化へという大きなハードルを越えるために、提案を具現化していく、実作業を行わなければならないということを感じています。そういう中でインフォメーションギャラリー構想をぜひとも具現化しながら何か問題はないか、何をどうしていこうかということが話せる場所と機能を、具体化していきたいと思っています。いまどこまで進んでいるのか、誰が何を言っているのだという情報がそこにいけばわかるということは非常に重要なことであると思います。いろいろな調査や資料を集めることは大変です。これらが1つのところですべてわかれば、かなり具体的な話として、いろいろな方の意見がでてくるのではないか、アカデミズムの研究ではなくて、産学官も含めて1つのことを動かそうとしているわけですから、リアリティのある、現実的な中で、まず1歩を進めたいと思います。
日本でも、NPO問題は具現化される可能は強いもので、1つの模範例ということでは、高齢化社会の1つの糸口というか、高齢者の方々と若者の役割分担があるのではないかなあ、と思います。やはり世界に向けて若者は力を入れるだろうけれども、世の中の質をよくするのは高齢化の方がうまいのではないか、ということを踏まえながら、もう少し高齢者をどう社会構造のなかに組み入れられるか、それは単純な二重構造としてではなく、橋渡しになるような、かなりレベルが高いところで具体的なものについて議論してきていると思うのです。
(進行)
以前、山田先生からインフォメーションギャラリーの展開についての説明を受けた時に、おもしろいね、という感想を述べておられた白井さん一言お願いします。
(ツツイエンターテイメント白井氏)
インフォメーションギャラリーの話ですが、たまたまカラオケルームをやっておりまして、そこが1月に閉店いたしました。そこを、いつでもお貸ししますよ、そこをインフォメーションギャラリーとして使っていただければということで、お願いしたわけです。空き店舗対策にお手伝いさせていただいて自分のところが空き店舗になってしまいました。これではいけないと思いましてぜひ使っていただきたいと思っています。
まちづくりということで、たまたま福島、仙台等の商店街を視察する機会を与えられたわけですが、いま元気なのは大須だけだという感想を持っております。大須は決してコンセンサスをもっているとは思いません。岡崎市が作成する、マスタープランとか、ハイコンとか、いろいろプランを見せてもらったのですが、もうそういうものはいらないではないかな、と思います。山田先生がやっている調査・研究が一番大事であると思います。
いまナディア・パークはまちづくりだと思うのです。でも、大須はまちはつくっていないと思うのです。仕組みをつくれば、あとは出店する商業者の仕事ですから、それを実際に具体化していく必要があると思います。さっきのインフォーメションギャラリーはこちらがつくらなければいけないですが、それができていくか、いかないかは商業者の力だけで、それからまちの需要と供給の話だけなので、岡崎もハイコンのところはやっていただければいいですけれども、あとはまちづくり会社、佐谷さんの方でやっていただいて出店できるような、まちがうまれる仕組みを提案していくことがお願いできたらいいと思います。
(進行)
佐谷さん、いまのご意見いかがですが。
(兜金堂 佐谷専務取締役)
全くそのとおりだと思います。実は白井さんとも一緒に、逸品運動を展開していますが、商店街は要は魅力のある商品、サービスがあって、そこにいかなくてはならないようなものでありさえすれば、路上駐車してでも、歩いてでも、どんな形でも、その店に行くと思います。昔はそういう商売の方法で自然淘汰ということもあるのでしょうが、お互い切磋琢磨して負けたところが去っていくのが商売であって、それが王道ではないかなと思うのです。
大型店舗が出てきたから、うちは売れなくなった、駐車場がないから売れなくなってというのは、自分たちが逃げているいるのではないかという話しをよくしているんです。やはり自分の店に魅力のあるものを置いて接客対応もそうですが、そういうことをお客様にアピールしなくてはいけない、そんなに難しいイベントをしなくても、まちは再生すると言う考えでいますので、そういうところを皆様にどんどんアピールして再確認してもらう形でやっていきたいと思います。
(進行)
山田先生いかがですか。ナディアパークと大須商店街という話がでたわけですが。
(愛知産業大学 山田助教授)
白井さんのいわれることは最もなことです。確かにいまそこに住んでいる人がやらなければまちは活性化しない。行政が青写真を描いてもそのとおりにいくとは思えません。もう1つしくみという話があったわけですが、そのしくみとは何かという議論はかなり重要です。世の中のルールは人間的なルールですし、世の中の資本というのはテクノロジーという1つの視点からも、これからの関係もどのようにあるのかということです。いま環境倫理の中で、高齢化、社会福祉、保健福祉とか、個人レベルでなんともならないということがでてきています。そのなかで、都市計画のマスタープランになってくるという1つのルールを、かなり論議する必要があると思います。行政のルールと、住民のルールは少し違います。その辺の接点がかなり重要です。今回、そういう橋渡しが研究会でできることが一番望ましいことと思います。
もう1つ、個人の問題でありながら、社会のルールであるという1つの例として建築を考えた場合、個人で好きなものを作るのだから、勝手ではないかというルールがあります。建築的なルールがあるのですが、我々建築をやっている人間としては、もっと大きなレベルで地球の細胞をつくるようなことが、つまり卵細胞をつくるのだというような概念もあるわけです。だから、都市は細胞の集合体になるわけですから、先程のソーシアルスケープの概念にいくわけですが、そういったところをもっていると思います。先程少し話しをしましたが、築20年以上、40年以上という建物が50〜60%近くあるわけです。かなり老朽化した店舗が多くあります。その時に個人ルールで建てかえるということに対し、どうせ直すのだから、有効なイメージをつくりながらコンセンサスを得ることが具体策としてあるのではないか。
(進行)
山田先生が8つの提案ということでNPOが都市形成にどういう役割を果たすかということで、1つご提案をいただいたわけですが、21世紀を創る会・岡崎という、産業界だけでなく医師会、婦人会、農協等様々な団体や個人が集まっていいまちをつくろうという組織が、NPO法人化に向けて動きだしていますので、そういった観点からこの本事業のコーディネータでもある服部さんの方からお話しをいただきたいと思います。
(服部コーディネーター)
この活動のコーディネータであり、21世紀を創る会・岡崎の理事として、いろいろな活性化の問題でNPO法人化について取り組んでいます。ここにご出席のほとんどの方が21世紀を創る会・岡崎の方に参加いただいているわけですけれども、数年前から岡崎市を活性化しようという話がありまして、活性化のための切り口を何にしようということでヒアリングをいたしました。そのヒアリングでは、産業界と行政と市民の間にギャップがあり、それをどうするかということで、その時岡崎市はマルチメディア都市宣言をやっているのだから情報化という切り口で活性化できるのではないかということで始めました。それがある意味での最初の入り口です。そして、その情報化で活性化したまちがあるのかということで、アメリカのスマートバレーいわゆるシリコンバレー、そういう1つのモデルを中心に2年目にその勉強をしました。
3年目でNPO法人格をとるという形、それをいまアドバイスしていて、我々の共通の考え方でNPOというのは、もう存在しているわけです。岡崎市に福祉関係で58ボランティアがあるわけで、その基本的なものをプラットホームとしてつくって、だれかが引っ張るのではなく、押し上げて活性化につなげる。活性化の原点は先程のノブギャラリー鴨下さんも言ってましたが、個人の何かしたいという思いが、個人と個人がつながり、つながったものをリンクして、リンクしたものをネットワークして、ネットワークしたものが基本的な活性化です、そのプロセスで必要なことは、まず情報をオープンにするということ、オープンにしたら共有する共有したら協調するということを、その情報のプロセスをどういうふうにいろいろな手段、方法に情報化をサポートしていくということが我々の考える活性化ですから、その部分をいかにして皆さんに理解してもらうか、あるいは手段、方法を与えていくか、いまやっている活動に手段、仕組み、方法、仕掛けを与えていけば、十分NPO法人化できるというを基本的な考え方としてやっています。NPOをサポートするNPO法人はないということを言いはじめており、非常に難しい問題ではありますが、現在その申請でがんばっています。
(名古屋外国語大学柴田教授)
服部さんがおっしゃったパートナーシップ、NPOをサポートするNPOはなかなか認可が得られないとかおっしゃったのですが、愛知県でNPOを支援するNPOが私が知っているところで3つあります。1つは市民フォーラムNPOセンターというところであります。これはNPOをサポートするNPOです。
もう1つは私が忙しくやっているNPOがあります。いろいろなNPOがありますが、NPOが協力しないとまちづくりシステムが大きくなりません。ルールは行政のルール、市民のルール、企業のルールが違うのと同じで、同じ市民のNPOでもグループによっていろいろルールが違うのです。
例えば、環境NPOとか、ルールが違うNPOが協力するにはどうすればいいのかということで、それぞれの個性を主張しながら、必要に応じて切磋琢磨というか自己主張しながら、そうすると、そこでNPOとNPO、違うNPOが普通なら協力できないものをも協力させる、いわば仲人のような、ここでいうコーディネーターのような役割です。これも、私の所属するパブリックサポートセンターもそれで、その中に部会が3、4つあって1つはコンサルティング事業部会で私はそこに所属しております。いろいろな種類の人がこういうふうに集まれば、それが佐谷さんの言うまちづくり会社と思うのですが、それがまさに山田先生、白井さんが言ったように仕組みまで作ればいい。
インフォメーションギャラリーは、まさに地区宿のハードウェアではなくて、そこにしくみというか、コーディネーターというか、仲人というか、それがうまい具合つながっていかなくてはいけないと思います。
(リョーイン森崎氏)
岡崎のこういった動きというのは、だいぶ具体的な活動がでてきまして、私はかなり先に進んでいると思います。その次の段階へというきっかけはまだうまれてないみたいですが、その判断は、まだぼくにはつかめていないのですが、山田先生からお話しがありましたインフォメーションギャラリーという話や21世紀を創る会・岡崎のNPO法人化がなにををねらっているかとか、その他かなり似かよったところがありますので、そういったところはどこが中心になるのかわかりにくい。もう少しそれらを取りまとめて、うまく押し上げるしくみがどこにあるのか、それが商工会議所かもしれませんし、ぼくかもしれませんし、押し上げるエネルギーが必要になるかと思います。もう1つは、マクロとミクロ、それから短期と長期、そしてグローバルとローカルの話。それは、どちらかが大切というわけでなく、両方大切で両方フィードバックしながら、やっていきたいと思います。今日こういう問題に対して考えてもしょうがない。はやく実行しよう、実践しよう、難しく考えずに面白くてやろうという感じで、どんどんやってゆきましょう。その過程で何かうまれる、そういう考え方で走りながら、動いていくという考え方も大事であると思います。
もう1つ山田先生がおっしゃったように、まちの活性化はそこに住んでいる人の活性化であって生活者の活性化であって、そこに住む生活者の生活意識がいまどうであるか、今度どう変わるか、あるいは変わらないのか、それに社会の動きがどう反映されるか、そういったところまでいかないと結局わかりません。
岡崎というところに立脚してそこに住んでいる人々が、今後どう状態で変わっていくのか。若い人だとか高齢者の生きがいというのは、今までどおりなのか、変わっていくのかという、そういったことを見据えながら、研究し、それをやっていく過程でひょっとしたら活性化につながるということになるのではないか。そういったことに金もかかるし、労力もかかるし、そう簡単なものではないだろうけれども、そう考えて、おもしろいことをやってみよう。参画している人・組織が決意を新たにそういう考えになりつつあるのかと思います。私自身も少しのりだしてやっていく段階ではあるかなと思っています。そういう引き金というものを商工会議所も含めて諸団体や、力の強い人たちが組織で動いていただけるといいと私自身はそういう気持ちでいます。
(兜金堂 佐谷専務取締役)
私も青年会議所に属しておりまして、社会開発は20、30年かかるだろうと身にしみて思いました。24歳で入って、16年間、同じことをやって卒業できてから達成できたこともいくつもあります。最短でも、20年かなというのが実感でございます。ですから、こういうことに関わりまして5年くらい経ったのですが、まだまだという気持ちでやっています。あまり人をまとめることをやめよう、やれる人でやろうという気持ちでやっています。2001年4月にまちづくり会社をつくりたいと考えています。ご協力のほどよろしくお願いします。
(ノブギャラリー 鴨下代表)
美術を直接結びつけるのではないのですが、まちの活性化というか、私の個人的な考えですけれども、シビコの活用の方法について考えています。岡崎市の図書館のボランティアができればいいなあ、と思っています。そういうお考えの人にお知恵をいただきたいと思います。
(愛知産業大学 山田助教授)
今の意見もありましたように、ぜひとも何か形のあるものとして成果を出したいと思っています。
(進行)
コーディネート活動支援事業でも、まちの活性化についてメニューも組んでいますし、先程お話がありました、21世紀を創る会・岡崎もその事業メニューの大きな項目に、まちづくりという位置付けがございます。そういうところと連携しながら、できるところ、例えば、インフォメーションギャラリー、どなたにどういう力を借りると無理なくできるかを含めて検討を進めてまいりたい。予定しました時間が参りましたのでこれにて閉会させていただきます。




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