第6回会議 会議録





平成10年度 第6回新事業創出研究会

開催日時:平成10年10月28日(水) 14:00〜16:00 於 岡崎商工会議所401会議室
出席者 :17社
コーディネーター:草間晴幸 大阪大学大学院助教授
   同    :服部良男 岡崎商工会議所情報化委員会委員長
  ゲスト:株式会社名古屋カラー三河現像所 課長 広沢雄次郎 氏
内容:以下の通り。
「草間コーディネーター開会あいさつ」
 本日は名古屋カラー三河現像所の広沢様から「写真業界のデジタル化対応について」と題してお話をいただきます。その後、昨日開催いたしました三河スマートバレーネットワークの例会において、この会議にもご参加のメンバーから、同じようなテーマの会合が3日も連続していて出席しづらいというご意見がございましたので、今後の両会の運営方法についても皆さんからご意見を頂戴したいと存じます。
では、株式会社名古屋カラー三河営業所課長の広沢様よろしくお願いいたします。


1.「写真業界のデジタル化対応について」
ゲスト:株式会社名古屋カラー三河営業所 課長 広沢 雄次郎 氏

 当社は富士フィルム系列の現像所で、以前はフジカラーチェーンラボと呼ばれていましたが、今はフジカラー総合ラボと呼ばれています。これからはアナログ写真に加えてデジタル写真も扱っていきます。ヤマサさんやダッドさん、NTTさんらのメンバーに比べてレベルは高くないかもしれませんが写真業界のデジタル化がどんな状況になっているかお話したいと存じます。
 写真業界は直接の取引は写真店やDPE取次店などのディーラーですが、お客様は一般の個人の方が中心なので企業向けの商品・サービスに比べてデジタル化はまだまだの状況です。企業の中であるいはご家庭で少しでも参考になればと存じます。

 デジタル写真の用途はホームユースと業務ユースに分けられます。
 まずホームユースでは1.ホームプリント、スキャナーでデジタル化した写真やデジタルカメラで撮影した写真をご家庭のプリンターでプリントされています。 
2.プリクラ 
3.テレカ・名刺、これは結婚式などで写した物を終了までに加工して持ち帰りできるサービスも出てきました。 
4.FDIの4種の分野で、業務ユースでは1.DTP、広告・印刷用途では合成や加工の容易さからどんどん広まっています。
 2.工事・中古車・保険の写真、これは車の事故の時修理工場と保険会社がデジタルカメラで撮影し修理個所の確認などに活用されています。3.医療の写真、遠隔医療への活用など 4.報道写真 5.外壁、床、看板、バス車体広告、これはホテルやデパートの床や壁面を絵にしたり、バスの車体を広告に利用したりしています。 6.レジャーランドのインスタント写真、これは東京ディズニーランドが最初で、このあたりではデンパークでも外国の衣裳などを着て背景を合成して撮影できます。 7.スタジオ写真 8.合成、修正写真 9.葬儀写真の9種の分野に分けられます。

「草間」
 工事写真については建設省が2002年に向けてネットワーク上でDB化し、リクエストにより取り出すことが出来るように進めているようですが。

広沢:工事写真については後程お話するつもりでしたが、ご質問も出ましたので説明します。建設省が、文書をそのままデジタル化し、見積もりから入札など含めてネット上でやろうと積極的に進めているようです。工事写真はJPEG,80万画素、フルカラー、3年間退色しないことが要求されています。しかし、町の工務店などではコンピュータが使いこなせず困ることになるでしょう。写真業界でもこうした工務店などのお手伝いができないかと検討中ですが、8分の1、80万画素となるとパソコンでは処理に時間がかかり難しい問題です。
 また、葬儀写真では北海道や秋田の業者が全国の葬祭場を営業で回って契約を取り、インターネットを使って一手に受注しているようです。

「服部」
 留学生の受け入れ時などで入管へ出す写真はコピーでないこと≠ニなっているが、写真とコピーの違いはどこにあるのでしょうか。工事写真でも同様ですが。

広沢:デジタルですと修正が簡単です。FUJIのFxifというフォーマットですとパソコンを通り少しでも加工するとデータが壊れるようになっています。工事写真でもデジタルカメラで撮影したものはコピーと言えるかもしれませんが、80万画素、300dpi,3年間退色しない物ならOKということになっています。

「草間」先程特許のお話が出ましたが何が特許なのですか。
広沢:印画紙がそうです。今はJRの時刻表などもこれで出来ております。次にデジタル写真の基礎をお話いたします。
  1.グラフィックデータの分類 ビットマップデータ(点の集まり)、写真はこれで表現していますので、文字が入っている部分は変換する必要があります。ベクトルデータは図形を構成する数式です。
2.解像度 デジタル画像の解像度は1インチあたりの画素数で表し、dpiと呼びますが当社は300dpiでプリントしています。
3.階調 フルカラーと呼ばれるのは24ビットカラー、1677万色です。
4.モード 写真用にはRGB、印刷用にはCMYKモード等があります。
5.画像処理で使うフォーマットには、BMP(windowsマシンの標準ファイル形式),PICT(アップル社の標準画像ファイル形式),TIFF(DTPの標準的な画像フォーマットで大きな画像データに適している),JPEG(主に圧縮形式のファイル形式として有名),GIF(簡単な図形など色数が少ないものに適しデータも小),FlashPix(コダック、マイクロソフトなど4社による画像ソフトでマック、ウィンドウズともに使用可能、富士写真フィルムも採用し普及を図っている。特徴は速いアクセス、高解像度から低解像度まで加工のスピードも速い。構造はピラミッド構造、タイル構造)などがあります。 6.リサイズ(拡大・縮小)はソフトに依存するところで、バイキュウビック法、バイリニア法、ニアレストネイバー法等があります。

 次にFDIサービスについてですが、フロンティアというレーザープリンターを使っています。サービスの種類は1.デジタルカメラプリント(自動リサイズにより89×119ミリの銀塩プリント)2.CD−R書き込み(200コマ/枚可能)3.メディアプリント(6種の大きさで、パノラマやポストカードサイズも有り、フォトウェアという富士のソフトを使用しています)4.ネットサービス

   また、デジタルポストカードについては、FDI規格で作成しますが筆まめなどのソフトから作成できます。業務用ポストカードにはイラストタイプや特選図柄タイプも用意しています。
 最後に現在は銀塩写真がコスト的に大変安いのでその比較としてデジタル写真もコストが下がるか付加価値のある商品の提案が大切だと思います。また、通信コストがまだまだ高く、例えば工事写真のDBづくりなどももっと通信コストが下がらないと困難だと思います。しかし、今から始めることが必要です。
 特に、今までは、受注加工業とも言える形態でしたが、これからはプリクラのような提案型の商品開発が必要になってきました。以上で説明を終わります。

「草間」何かご質問などがございましたらお願いいたいます。
「服部」現状、技術者は不足しているのですか。
広沢:システムの機器などは5年程前までは見れば解りましたので修理が出来たのですが、今は機器の種類も増えソフトで動いているので、見ただけでは解りません。また、技術の進歩のスピードも速く、追いつかないようになっています。
「服部」各種機械ごとに操作や修理方法をDB化して、通信でもってそれを見ながら操作・修理ができるようにしなければならないのではと思いますが。
広沢:将来的にはそうなると思います。
M.従来の銀塩写真とデジタル写真の受注割合はどの程度でしょうか。
広沢:宣伝不足の面もあるかもしれませんが、あるいは銀塩写真と比べると価格が高いからか、カメラが売れている割に受注は多くありません。付加価値の有る物であれば商売になると思います。
M.パソコン、カラープリンターとデジタルカメラの普及・高性能化で従来の写真並みのプリントが出来てしまうことも影響していますか。
広沢:確かにプリントの質は良くなりましたが、多くの枚数をプリントするにはスピードとコストがネックでしょう。それに写真は記念・記録として10年たっても退色しないことが大切ですから耐久性の面ではまだまだだと思います。工事写真のように、3年もてばOKということになれば事情は違ってきそうですが。
M.建設省が要求するレベルの物にするにはコストはどの位かかりますか。
広沢:デジタルカメラ、レーザープリンター、ソフトなどで100万円程度だと思います。

「草間」貴重なお話と資料をありがとうございました。次の議題に移ります。研究者のDBづくりについて服部さん進行をお願いします。

「服部」学生と企業のDBを作ろうということで、学泉大学にも出掛けて就職課のご担当の説明もお聞きして学校側の問題点を明らかにしてきました。学泉大としてはまだ学生が自由に検索できる環境ではないということでしたが履歴書程度の項目を決まったフォームでDB化していきたい。また大学としてはサーバーを持たないので当方で用意して立ち上げたいと思っています。
「草間」研究者のDBづくりについて事務局から説明してください。
事務局:当初はネットワーク上のDBがあれば十分ではないかということでしたが大学の方のご意見を聞くと印刷物が欲しいという事でしたので当初は冊子化することといたしました。
 大学の事務局の方とお話をするとこうした研究者のDBづくりには先生によって反応が極端に別れているようですが時間的にご負担のない範囲でお答えいただけるようにしたいと考えています。まず、最初は大学懇話会の学校にお願いして、次のステップとしては、会員の企業の皆さんにどういう分野で課題があって研究者の方の援助・アドバイスを期待しているのか調査をしてその項目でリンクしたいと考えています。
 これに関して項目や依頼方法、具体的なDB活用方法などについて皆さんからご意見が頂戴できればと思っています。
「草間」明日キックオフセミナーの前に岡崎大学懇話会の例会がございますので登録について検討していただくことにしております。
事務局:昨日、三河スマートバレーネットワークの例会がございまして、ご出席のメンバーの方から当研究会とMSVNは狙っていることろが同じではないのか、3日続けての会合には出席しづらい、出来ないというご意見を頂戴いたしました。事務局としては、成り立ちが異なりますし、片方のみのご参加の方も多いので、それぞれでこれから先少し時間をかけて検討していっていただきたいと考えておりますが皆さんのご意見をいただきたいと思います。
M.私は両方に参加しておりますが、3日続いての会合はきついので方向性が同じならば一つにして中身を濃くしたいと思います。
M.私も昨日は参加できませんでしたが、前々から事務局に一つにまとめて欲しいと要望してきました。
M.岡崎がもっと活性化して良くなって欲しいと色々な会合に参加しています。勉強もかねて両方に参加していきたいと思っています。
M.MSVNには参加していません。両方は無理だと思ったからからです。
M.MSVNには出席していませんのでよく分かりませんが、メンバーがかなり重複するのであれば一緒にして、片方をワーキンググループにすれば良いと思います。

「草間」本事業は来年3月までという期限が決まっている事業で、それまでに何らかの成果をあげる必要があります。次年度につなげるためにも学生DBの他にもう一つ例えば地図情報のプロトタイプを作っていきたいと考えています。このようにコーディネート活用支援事業は短期的な事業であり、MSVNはもう少し長期的でさらに広域的な集まりだと思います。本来6月スタートの事業であるのが、今年初めての事業ということもあり事業団からの承認が10月になってしまい、ここへきて事業が重なってしまったこともございます。

「服部」MSVNの経過をかいつまんでお話します。MSVNはネットワークなので会費もございません。費用を出しているのは21世紀を創る会・岡崎です。これは、4年位前に当時の小原会頭が商工会議所を超えて市民や行政、団体なども含めて21世紀に向けて集まったもので、会費をいただいて運営しています。
 結成した1年目に外部に委託して情報化についての調査を行いました。と、いうのはちょうど岡崎市がマルチメディア都市をうたっていたからです。そして調査の結果は、情報化の基盤があり活性化のチャンスのためにも何かに特化しることが大切と考え、行政・産業界・市民らを緩やかに結ぶネットワークを構築することが大切だと位置づけました。そして、アメリカのシリコンバレーの成功例を参考にしようと、スマートバレーの事務局長などを呼び、市長・会頭・愛三大の学長などによるフォーラムを開催しました。これを機に周辺地区の行政関係者も参画して広域的なネットワークをつくり、2か月に一度程度顔をあわせて勉強していこうということになりました。こうした組織は必要になった時に急いで新たにつくる事は非常に難しいので、産学官民が連携し、何かあった時にはすぐに動けるようにしておくことが重要です。本事業とは主旨が違うので私自身は残していきたいと考えます。しかし、セミナーなどで共催できるものは一緒にやってメンバーの方にもできるだけ負担がかからないようにして進めていきたいと思っています。

事務局:7回目は11月11日(水)の午後3時から開催し、終了後に夕食懇親会を行います。講師はつい最近『はじめてのメディア進化論序説〜ひと社会のゆくえ−メディアコミュニケーションの時代へ』を発行されました(株)アイ・コミュニケーションズの山田尚氏に、事例のご紹介を中心に進めて参ります。
また、11月18日(水)の産学研究会・交流会の2回目は岡崎学園国際短期大学の文野峯子教授から「国際化時代のストレス対処法」を、同じく川口雅昭教授から「吉田松陰教育の現代的意義」をご講義いただきます。ともに是非ご出席いただきますようお願い申しあげます。

「草間」時間もまいりましたので終了といたします。次回は山田先生から失敗例も含めていろいろ事例を中心にご説明いただけると思います。ご出席ください。

第7回の新事業創出研究会は11月11日午後3時より岡崎商工会議所401で開催する。
(以上)





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