第5回会議 会議録





平成10年度第5回新事業創出研究会

開催日時:平成10年10月14日(水)14:00〜16:00 於岡崎商工会議所402会議室
出席者 :16社
コーディネーター:草間晴幸 大阪大学大学院助教授
ゲスト:株式会社ダッド 常務取締役 細野正比古氏
内容:以下の通り。

「草間コーディネーター開会あいさつ」
 本日は株式会社ダッドの常務取締役の細野正比古氏をゲストにお迎えして「我が社のマルチメディア活用事例紹介」と題してご説明をいただきます。
 また、後ほど愛知学泉大学で先日開催されましたワーキンググループの経過報告をしていただきます。 では、株式会社ダッドの細野様よろしくお願いいたします。

1.「我が社のマルチメディア活用事例紹介」
ゲスト:株式会社ダッド 常務取締役 細野正比古氏 氏

 本日は当社のネットワーク活用について事例をご紹介しながら進めてまいります。私は元々油圧屋で、会社を変わってこの世界は3年少々ですので何卒お手柔らかにお願いいたします。
 当社の従業員は約250人で本社の他、鹿児島に支社があり20名ほどが常駐しています。
 元々、設計中心の会社で、現在は技術部とメディアサービス部に分かれています。構成は技術部47%、メディアサービス部53%です。顧客はトヨタグループ、スズキ、コピーのミノルタなどで、最近はマニュアル類のデジタル化の仕事が増えてきています。

 平成5年に開設した鹿児島支社とは平成7年からテレビ会議で連絡を取り合っていましたが、今は余り使っておらず、その回線はメディアサービス部がイラストなどのデータのやりとりに利用しております。現在、ISDNの回線は4回線です。
 鹿児島とはFDトランスファーというシステムでFDのやりとりをしています。トヨタグループとはケイラムというネットワークを結んでリモートアクセスというソフトを使っています。また、Eメールはあまり大きいデータが送れないので小さいデータのみで利用しています。FTPを使いたいのですが両サイドで月20万円かかるのでコスト的に二の足を踏んでいる状況です。

 一般の得意先とはネットワークを結んでいないのでデータはMOでもらっています。今のところ、確たるネットワークづくりはなく、試行錯誤的な状況にあります。トヨタグループの12社が参画しているテムスというシステムで各種企画のメンテナンスなどもしています。

 最近の受注は見本市などでのデモ用や、カタログ、商品の取付け作業マニュアルなどのCDROM作成が多くなってきました。特にカタログなどのCDROMは紙の印刷物に比べてコストが大幅に削減できます。カタログ印刷物は厚い物だと1冊2千円ほどする物もございますが、CDROMならばイニシャルコストを除けば1枚2百円程で済んでしまいます。
 これから事例を紹介しながらご説明いたします。(プロジェクターを使用して説明)

 まずは、カーエアコンの教育用CDROMですが、温風・冷風の経路などを弁を動かしながらビジュアルに解るようにしています。インストラクターの仕事が無くなってしまうので、これにはナレーションは入れていません。
 次は、トヨタ自動車のサービスマン教育用CDROMですが、エンジン周りの各種センサーを作動させながらシュミレーションできるようにしています。制作は取材などして作り込んでいきます。
 次は生ゴミ処理機の施工要領書ですが、台所のシンクの下に取り付ける作業要領をナレーション付きで解説しています。ビデオ映像と陰になって見えない部分はアニメで説明しています。
 次は、スズキの自動車アクセサリーのカタログをCDROM化したものです。

 次は、SMCというバルブの会社のカタログですが、これは同社のホームページにのせているようです。品番から検索すことができて、外形や寸法、特性などが詳しく紹介されています。
 最後にご紹介するのはトヨタの産業用車両(フォークリフトなど)のディーラーが使うパーツリストで、各部品をイラストと品番をリンクさせながら紹介しています。現在は日本語と英語、中国語で作成しています。このため社内で3人の中国人を採用しています。将来は16か国語で対応したいと思っています。

 今は、CDROMが当たり前になってまいりましたが、将来は3Dでやっていきたい。自動車業界では3D化が進んできています。また、自動車メーカーも車種の開発期間が大幅に短縮化してきたのでマニュアル類のCDROM作成もスピードが求められるようになりました。

「草間」これまでの中でご質問があればお願いします。

M.SMCのハードな機器は使っていますが、CDROMのコストはどのくらいでしょうか。企業秘密でしょうか。また、何ページでいくらと決まっているのでしょうか。
細野 使い方作り方により千差万別で、カタログをそのまま取り込むのであればページ20円程でしょう。しかし、どうせ作るのならとどんどん膨らんでしまうので、要望しだいということでしょう。
M.取り込んだ画像のリンク処理はどうしているのですか、また、取り込む速度は速いのですか。
細野 スキャンして取り込むのは最新の器材を用意していますので結構速いです。A4で時間当たり1万ページ可能です。キーワードでリンクさせたりする作業は外注依存してコスト削減をしています。具体的なお話がございましたら見積もりさせていただきます。
 最近はマイクロフィルムをデジタル化するケースが多くなっており、今までの資料をデータ化する仕事が増えてきました。以上で説明を終わります。

「草間」この会議に初めてご参加の方には一言頂戴しておりますので、何でも結構ですのでお願いします。
M.昨年までの会議には良く参加させていただきましたが、今年はあれこれスケジュールが合わず、初めての参加になります。市内で自動車整備・販売をやっていますが、エンドユーザーと接する機会が多いので世の中でどんな事が起こっているのか、常に知りたくて色々な集まりに参加しています。今日はインターンシップの研修生の短大生を連れてまいりました。ちょうど我が社のお客様となり始める年代なので、考え方など参考になると思いインターンシップの受け入れをしました。

M.岡崎へ来て10年になります。個人でデザインの仕事をしてきましたが、世の中がデジタル化してきていろいろな可能性が見えてきました。情報が溢れている中で、自分の判断だけでなく、身近で活動している方たちの話を聞きたく参加しました。本音を言えば、何か新しいものが見つけられればと思っています。

「草間」では事務局から10月6日開催のワーキンググループ第2回会議の内容を報告してください。
事務局 ワーキンググループ第2回会議の内容を同封の会議録に沿って説明。

「草間」10月29日に開催するコーディネート活動支援事業の目玉の事業、キックオフセミナーが決まりましたのでご報告します。
 日時は10月29日(木)午後2時〜5時で場所は商工会議所の中ホール、基調講演は名古屋大学の奥野信宏経済学部長にお願いしました。先生の最近の研究テーマは産学協調活動についてということなので、ちょうど良い機会だと思います。つい、先日はNHKラジオでこの話題についてお話もされていました。その後、岡崎大学懇話会の四大学の学長にパネラーになっていただいて産学の協調と地域の活性化について、お一人10〜15分程度お話を頂戴し続いてディスカッションをいたします。最後に交流会の場も設け全体で3時間ほどを予定しております。

 それから、少し話が変わりますが、国・県・市の補助を受けて、岡崎商工会議所がこの10日から、康生などの中心市街地で「空き店舗対策事業」を始めています。五つの「おもしろ館」において、芸術家の卵の作品展示即売、地元の画家の作品展示販売、インターネット体験、キャピック作品やガラス工芸、和ろうそくの即売、チャレンジショップなどが来年3月まで、実験的に営業されます。このうち、インターネット体験の店が3号館で、私が館長を、服部さんが館長代行を担当しておりまして、オープンにあわせて名古屋カラーさんの協力で、デジタル写真作成のコーナーも設けています。是非皆さんお出かけください。

 ところで、学生のDBづくりについては第1回ワーキンググループにてメンバーの方からいろいろリクエストが出ました。

 当日ご説明いただいた森屋さん・木村さんが大学に戻られて検討していただいた結果は、大学として学生DBづくりを進めていくことは少々難しいのではということでした。特に私立大学の場合、就職活動は大学を通じて指導していきたいとお考えのようでした。そこで、大学の就職活動指導について話を聞く第2回のワーキンググループが今説明のあったように開かれた訳です。
 学生はインターンシップや就職活動の中で、自分の情報を公開したがっており、結論としては履歴書程度の情報ならば公開しても差し支えないということになった訳です。この件について、またその他何でも結構ですのでご意見がございましたらご発言ください。

M.学校側からは企業の情報が欲しいとうことで、簡単なものなら現在会議所にある情報を載せれば良いと思います。広域な情報があれば学生にも便利なので、岡崎だけでなく周辺市町の情報も入れると良いでしょう。
 また、学生のDBづくりについても学校側も真剣に考えておられるようで、大学にアクセスして個々の学生には学生番号等で検索できるようにしておけば氏名を伏せておくことができます。後は、何番の学生についてさらに知りたい・会いたいなどと就職課と連絡を取り合えばいい訳です。

M.学生のDBをビジネスとするのは結構難しくて、たくさんクリアしなければならない項目がありそうです。短大の場合は特に授業の関係で呼び出しがしにくいようですが、インターネットで細かく情報を提供したり、Eメールなどでやりとりができれば授業に支障をきたさなくて済みそうです。求人企業のDBはすでに労働省なども行っており、質の高いもので差別化が必要です。

M.企業側のDBはすでに企業化しています。先日も当社に売り込みがあったのは、各企業からデータを有料(30万円)で集め、学校にパソコンを1台おいて、学生が見られるようにしたもので、DM発送なども併せて行うシステムです。このように、企業側のDBはすでに氾濫しているようですので、簡単なものでよいから学生のDBができれば良いと思います。

M.当社は市役所のデータの運用・管理とパソコン講座を中心にしており、民間企業からの仕事は2〜3%程度にとどまっています。今後はこうした会議などで皆さんのお話を参考にして民間の仕事も受注していきたい。

M.社内のLANを少し前に構築し、スケジュール公開などを開始しています。社内の情報化担当は2名で、今のところ皆さんにお話するようなことはございません。
M.2号館へは行ってみましたが、一昔前と比べると皆さん随分パソコンに慣れてみえるという印象を強く感じました。浸透してきたことを実感しました。
M.将来的に卒業生を含めたデータができると良いと思いました。

「草間」今、お配りしたのはアメリカにおけるインターネットでの就職活動についての雑誌の記事コピーです。アメリカでは学生が自発的にDBで自分をアピールできるようになっています。実際に岡崎で学生のDBを作った時に、企業のアクセスを有料とした場合に本当に需要があるのか研究する必要がございます。

M.有料の職業の斡旋は法律にふれそうですが。
M.情報の提供ならば問題なさそうですが、どうでしょう。
M.いずれにしても法律も時代とともに変わっていくように思います。

「草間」先程もお話しましたが、私立大学は就職活動においても学生を大切にして細かく指導してみえるようなので、是非ともコンセンサスを得てから学生のDBづくり事業を進めてまいりたいと思います。今日はこれで終了いたします。

第6回の新事業創出研究会は10月28日午後2時より岡崎商工会議所401で開催する。

(以上)






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