第4回会議 会議録





平成10年度第4回新事業創出研究会
開催日時:平成10年9月30日(金)15:30〜17:30於岡崎商工会議所402会議室

コーディネーター:草間晴幸 大阪大学大学院助教授、服部良男 本所情報化委員会委員長
ゲスト:(資)ジェイ・オー 二十三 代表社員 大原長永氏
内容:以下の通り。
「草間コーディネーター開会あいさつ」
 本日は地図情報の活用、インターネット不動産情報サービスの展開について、合資会社ジェイ・オー二十三の大原社長をゲストにお迎えして説明をいただきます。
 また、後半では私の専門分野のGIS活用状況について少しお話をさせていただきます。
 では、合資会社ジェイ・オー二十三の大原様よろしくお願いいたします。


1.「地図情報の活用〜インターネット不動産情報サービスの展開について」
ゲスト:合資会社ジェイ・オー二十三 代表社員 大原長英 氏

 ジェイ・オーとはジョイントオフィスの略で全国の不動産登記関連の事務所が連合して始めた事業です。
 当初は一筆ごとの地番がついた公図をもとに全国の不動産情報をリンクできるシステムづくりを使用許可も取って目指しましたが、法務省の制約もあって目標を後退させました。その後、都市計画図や国土地理院の地図などを活用する研究もしてまいりましたが今は中断しています。そこで、現在はオートキャド社から出ているマップガイドというソフトで、ネット上で地図のサービスをしようとしています。
 県下で1年間に流通する不動産の件数は建物だけでも6万〜7万件、建物を伴わないものも含めると10万件ものデータがあり、入力作業は不可能に近い。また、不動産情報の公開には業界の抵抗感が強く細かいデータまで載せられない状況です。実際にできているのは簡単なものですが、次のステップはホームページ上で検索できるもの、その次は各地域の不動産情報と連動できるものを目指しています。
「草間」
 これまでの中でご質問があればお願いします。
M.国土地理院の使用許可を取ったとはどういうことですか。
大原氏.そのまま地図を使うのなら必要ないのですが加工するには許可が必要となります。共同研究という形を取りました。では、続きとして、今公開している内容をご説明します。
 そもそも不動産に関する情報を市民が簡単に検索できるシステムの必要性は充分認識されていながら、現状は個別的、分散的、独立的にしか提供されていません。そこで、第三者的な立場から情報を収集し、利用しやすいシステムづくりをして不動産情報の社会的インフラ構築を目指しているものです。
 これは7月15日にスタートしたもので、検索エンジンのヤフーにのったのは昨日からで、まだアクセス数も1日10件程度です。ただし、9月23日の不動産の日には集中して多くのアクセスがありました。
 県内を5つのブロックに分けて売土地・売建物・売マンションなどの情報を、インデックス情報については無料で、詳細情報については有料で載せています。
 現在180件分の情報が載っており担当者7人で情報を集めて入力しています。将来は場所と価格帯から検索できるようにして、精度の高い地図情報ともリンクしたいと思っています。効果として問い合わせは多くなりました。まだ簡単なシステムしか動いていませんが以上で説明を終わりといたします。
「草間」
 せっかくの機会ですのでご質問、ご意見をお願いします。
M.大手の不動産会社などとはリンクしているのですか。
大原氏.ユーザー代表は野村不動産ですが現状ではリンクしておりません。
M.情報量が何万、何十万となったらメインテナンスはどうするのですか。
大原氏.各自で対応してもらわなければいけません。地図と連動できるのは来年の今ごろだと思います。
「草間」
 では、関心のある方は個別に連絡のうえワーキンググループなでを編成してご研究いただき、成果はこの会で公開していただきますようお願いいたします。
では、次の説明に移ります。きょうは私の専門のコンピュータグラフィックについてお話をさせていただきます。
 これは4月17日に岡崎南ロータリーでも話をさせていただきましたので本邦初公開という訳ではありませんが、密かに進んできた国家プロジェクトです。それは2015年完成予定の紀伊半島と淡路島を結ぶ紀淡海峡大橋で、その完成予想を私がコンピュータグラフィックで作成したものがこれです。(OHPにて説明)
 今までGISは陸の上しか無く、こうした橋脚などを建築するために海中の地形や地盤の状況を知る必要があります。船を出して8メートルメッシュでボーリング調査をして海中のXYZ座標と地質を明確にしました。この資料と航空写真を基にして陸上や海中の様子をコンピュータグラフィックにしたものです。残念ながら、最近の景気の低迷でこのプロジェクトは今年の3月でストップしています。
 ところで、ゼンリンもCDの地図情報を売っていますが、個々の建物は入っておらず、ここに商店街のデータなどを付け加えて建物に関する情報が分かるようなプロトタイプをこの研究会で作れたらと思っています。
M.衛星カメラの精度がどんどん向上しているが、どこまで詳しいものができるのか。知りたい情報及びそれと相反するプライバシーの問題をどう扱うのか。
「草間」大いに問題があるが、それはGISと言うよりGPSの領域の問題かと思います。
M.先ほどのCGにおいて、航空写真とCGの接合はどのようなやり方をしているのか。
「草間」現時点では、自動的には出来ませんので、手作業で行なっています。また、東京では各ブロックごとの建物が入力されはじめており、大都市圏で順次建物が入った地図が出来ていくようです。
M.資料の中に、公益部門の地下埋設物に関するGISアプリケーションが示されていたが、これはオープンになっているのか。水に関してはオープンになっているが、電気に関してはどうか。
「草間」電力会社で作成利用されているが、クローズドされている。
 以上できょうの議題を終了いたします。事務局からワーキンググループの協議を含めた経過について説明をお願いします。
「事務局説明」
 9月14日に開催したワーキンググループの打ち合せにおいて、学生と研究者のDBづくりを進めていくことになりましたが、先日草間、服部両コーディネーターと前回この会合にご出席いただきました、岡崎大学懇話会の幹事、木村先生をまじえて学生のDBづくりについて協議を行いました。
 その結論としては、大学側としては就職を前提とした学生のDB構築はプライバシー保護や学生の就職動向が学校側として把握できなくなるなどの問題も多いと考えている。一方、この先4年後位には学生の就職活動も大きく様変わりすると思われ、企業はどういう人材を欲しいのか明確に表示すると同時に学生も専攻科目とか得意分野、自己PRなどをDB化して相互のコミュニケーションの糸口は作りたい。以上の意見から、学生が自発的に自己PRをエントリーすると各企業からコンタクトが来るという仕組みを、プライバシー保護に十分な配慮をしつつクローズドされた範囲だけで検証していくことにいたしました。
 また、2回目のワーキンググループはDBづくりに先立って10月6日に学泉大学にて同校の就職課から「就職活動における情報の活用について」と題してご説明をいただきます。是非ご出席いただきますようお願い申しあげます。
「草間」服部さん何か補足はございませんか。
「服部」法律やプライバシー保護などいろいろ問題はあります。そもそも日本に自らの責任で情報をオープンにしていく風土があるのか甚だ疑問でもあります。しかし、来年入学する学生すなわち2002年にその学生が就職する頃にはニーズも大きく様変わりすると思います。その前に対応できるプロトタイプを作って運用してみることは大いに意義有る事業だと考えます。
「草間」では、本日の会議は終了といたします。
M.の標記はメンバーからの発言です。
第2回ワーキンググループ会議は10月6日午後2時より愛知学泉大学内(岡崎市舳越町上川成28)で開催する。
(以上)






前のページに戻る