第10回会議 会議録





平成10年度第10回新事業創出研究会
開催日時:平成10年12月24日(木)14:00〜16:15 於 岡崎商工会議所402会議室
出席者 :21人。
コーディネーター:草間晴幸 大阪大学大学院助教授
   同    :服部良男 岡崎商工会議所情報化委員会委員長
  内容:以下の通り。
「草間コーディネーター開会あいさつ」
 本年度の新事業創出研究会も第10回目を迎え、本日は神谷さん、杉浦さん、大河原さん、多々内さん、岡嶋さんからご提案いただいております、「いながらネット」の報告と、MICS通信サービスの経過報告をしていただきます。
 その後、3番目は次年度のテーマと進め方となっていますが、研究会も残り4回となりましたので私の方から、新事業の提案をさせていただきたいと思います。その話は1時間程かかると思いますので前の議題はそれぞれ30分程で進めていただきますようお願いいたします。では、神谷さんからご報告よろしくお願いいたします。

1.新事業創出神谷WG活動経過報告  有限会社竹田鍍金工業 代表取締役 神谷 篤氏
 杉浦さん、大河原さん、多々内さん、岡嶋さんと私の5人で、ワーキンググループを作って活動を開始しました。
 まず、名前を付けようということで、いながらにしていろんな物が手に入るということでいながらネット(仮称)≠ニいたしました。サブタイトルは(21世紀の高齢者共生社会に対応できる地域活性システムの構築)としました。
 来年2月半ばまでにシステムすべての形を整えることは難しいので、流す商品のマーケティングリサーチとかはおいて、私どもはインターネットやバーチャルモールがこれだけ普及しているのに成功事例を確認していませんのでかなり難しい物だと考え、宅配を含めた物流のシステムを考えていこうと決めました。簡単に言えば、希望のある商品を希望のある所に宅配するということです。

 留守がちの家、一人暮らしや共働きの世帯を対象に倉庫や基地を作ってピックアップ出来るシステムを作っていきたいと考えています。電話番号から住所録を作るソフト、さらに地図と連動させるシステムなどは既に出来上がっているようです。受発注システムの説明は省きますがどうにでもなる部分だと思います。さらに持って行くだけでなく、各家庭から拾うことも出来るという意見も出ました。家庭から出る物、ごみや郵便物、役所関連の書類などもやりとり出来ればいいシステムになると思います。
 誰を使って配送するかは、現在運送業をやっている業者と話したところ、これをやっても赤字で成り立たないという意見でした。ところが米屋・酒屋・牛乳屋・本屋など既に配送しているものを活用するとか、地区毎に新規に町内会のような宅配ネットワークを作りたい。

 ターゲットは高齢者、ハンディキャッパーを中心に考慮するが、一般の家庭を含めて特に限定はしない。 流す商品は現在のところ詰めておりません。
 日用品・雑貨品何でも良いのですが、嗜好品は買う楽しみもあるのでやめて、生鮮食品は困難だろうが、掘り下げていくとおもしろいかもしれないという意見もあります。他に地場産業である石製品や和ろうそくや矢などの芸能文化関連の品などをはじめ、協力製造業者の商品もお届けしますというシステムにしたいと思います。

 検討事項として、商品の宣伝とかはMICSやFM岡崎、情報ネットワークセンターなどを取り込んでいかないと出来ないと思います。毎日MICSでお買い得情報などが流れる位でないと機能として難しいと考えます。MICSが協力出来ないとなるといきなり暗礁に乗り上げることになってしまいます。
 また、印鑑証明や住民票なども取り扱えたらと思っています。さらに、通常の配送だけでなく、独居老人の非常時などのチェック機能も出来るのではということで、コアになる人が自分のテリトリーを届け物がなくても巡回することで、在宅確認なども可能となるという意見もありました。そこまで、信用が乗せられれば非常に大きな力となると思います。

 先程も出ましたが商品の受発注のためにMICSから簡単なパソコンの端末のような物を高齢者宅に無料で配置できるようなことがあると良いと思います。あくまで、人の声で受発注をやって、決まった人があいさつも付けて直接届けていくことをやっていきたい。
 最後に問題点として、会員を募る場合の宣伝広告の面で、公報に載せてもらえるのか、また当初はどんな人を対象にするのか、具体的にどんな商品を乗せるか、配送の業者、さらに一番大事な部分として、どの分野でどの程度利益が出るのかということが詰めてありません。
 たった2回の顔合わせでの協議でしたので、ここまでしか詰めてありませんが、市や各種団体、MICSなどの協力が不可欠ですのでよろしくお願いいたします。

「草間」ただ今の神谷さんの説明にご質問がございましたらお願いします。
M.一刻も早くやっていただきたいと思います。また、私は他の所でNPOのような社会に役に立つことに関わっていますが、彼らも同じような事を狙っています。これに動員できる組織・団体や人達とどう協力していくかが大きな問題でしょう。ある程度の見通しを2月までに作ることが課題だと思います。

「草間」先回コメント申しあげましたが、もし補助金を貰う方向で進めて行くのであれば、現在やっている空き店舗対策事業とどのように絡めていくかですが、そこはいかがでしょうか。
事務局:その件についてはきちんと情報収集できていませんが、第3次補正の中で、中心市街地における電子受発注システムと連動したデリバリーサービスや高齢者向サービス等の地域商店街情報化システムの開発と導入について支援をしようというものがありまして、おそらく11年度も同様に補助金が付くのではと考えています。国としても受け皿があると見て良いでしょう。

「草間」空き店舗対策事業は商工会議所としては本年度のみで終わるつもりでおられたようですが、それではいけないと私が強力に言い続けてきましたので、来年度もやりたいということになりました。その気持ちを持てばサポートしてくれる人、グループが出てくると思います。岡崎市としてはある程度サポートしたいということで金額も提示されたと思います。それとうまくかみ合わせてやって行った方がいいのではないかと考えています。
M.補足説明として、市としては空き店舗、農遊館、田園マルチメディアなどを絡めて、商店街・業種組合なども取り込んで行く方が話しが早いと思います。コンビニの代りが出来るシステムというのが大きなポイントになります。町内の回覧版なども回して公からもお金をもらおう、もちろん会員となる高齢者などからもお金をもらっていく、各種団体の扱う物もとりあげていく。品物を売るという発想だけでなく、いろんなものを乗せていく。独居老人をあいさつしながら在宅確認もできる、留守の場合はいつでもお届けできるシステムで、ビジネスになると考えています。

「草間」是非詰めてください。この事業は2月末で終わりますのでよろしくお願いいたします。
 では、2番目の議題である、MICS通信サービスの経過報告についてご説明をお願いします。

2.MICS通信サービスの経過報告 株式会社西三河ニューテレビ放送 局長 熊代 均 氏
 本研究会のメンバーでありながら、出席がおぼつかなくてまずお詫び申しあげます。テーマとして弊社の通信サービスについて経過報告・概略を申しあげますと、昨年の3月に第1種電気通信事業の許可を取得しまして、本年の4月1日に市の公共施設を中心に光ファイバーを使った通信ネットワークを巡らせ運用を始めました。
 対象施設は今後郵便局や東岡崎駅を含めて公共施設的な所にサービスの拡大を図ることにしております。
 続いて弊社のインターネット接続サービスについては、12月1日からサービス開始しております。これに先立ち11月にプレス発表して、日経・中経・毎日他各紙で取り上げていただき、現在ざっと60件強の申し込みがございます。何とか年内に100件を目標にしていますが、如何せん工事の段取りがつかなくて一部の方にはご迷惑をおかけしております。高速大容量を売り物としたケーブルを使ったインターネットサービスで、広くあまねく市民の方にご利用いただきたいと願っております。

 ご存知の通り市街化調整区域を中心に岡崎市の公共事業として田園マルチメディアモデル整備事業として情報インフラの整備が急ピッチで進められていますが、弊社固有の市街化区域におけるケーブル幹線の敷設が非常に遅れており申し訳なく思っておりますが、この事業にあわせて弊社固有のエリア内の未整備地域の一掃を来年度以降計画的に推し進めていくつもりです。
 料金の設定・付加サービスなどいろいろ考えて参りましたが詳細はお手許のパンフレットをお読みいただいてご質問があればお受けいたしますのでよろしくお願いいたします。

「草間」何かご質問があればどうぞ。
M.いろんなシステムが出てきて競争が激しいと思います。高速大容量で安いサービスであることが差別化でしょうが、他に大きな差別化策としては、1つはコンテンツを作る、もう1つは必要とするコンテンツがどこに有るかを教えるサービス、さらにそれをどう使うかをお手伝いすることをきちんとやらないと、ただ設備を提供するだけになってしまいます。今後どう展開されるのか、何か案がございましたらお願いします。
MICS:いいご質問ありがとうございます。高速道路を作りましたが何を走らせるのですかということだと思いますが、それはこれからの課題ということで、しかもどういう状況にあるかはきちんと提供したいと考えています。その次は料金の代行とかのエレクトリックコマースのようなこともやっていかなければと考えています。市民のホームページを有料で公開するとかいうサービスまでも踏み出さなければとは思っていますが、今のところ高速道路を作りましたということだけでございます。

「草間」それでは3番目に移ります。3番目は私からお話をさせていただきます。
 このコーディネート活動支援事業は、産業界・学術界・官(行政)の3者の中の方々・グループがやってみたいことをうまくコーディネートする。つまり、こちらのこういう需要とこちらにこうした要望があるので一緒にやったらどうかとコーディネートするのが私と服部さんの仕事である訳です。
 7回までやって参りまして、先々回は少し不満を申しあげました。このままでは、コーディネーターとしての役目を果たせないので、少し気概が足りないのではというお話しをいたしました。いつぞやの会議録にありましたが、柴田先生の最終的に草間先生と服部さんに責任を取っていただきましょうというきつい言葉もありましたので、このままでは何とも仕方がないと考えておりました。

 この私の不満に対しまして、神谷さん、杉浦さん、多々内さんたちから岡崎集配システムの提案があった訳でございますが、いかんせん、新事業創出研究会の報告書にこれだけというのは非常に私としては情けない、柴田先生には足を向けて寝られないという気がいたしました。
 コーディネーターとして本当は私が新事業を提案するのはおかしいのかもしれませんが、一応提案新事業を持って参りました。皆さんにお配りしますので今から1時間程かかって煮詰めていただきたいと思います。

 提案新事業は「バーチャル・コーポレーションを運用する通信制スクール・システムの構築」と仮題を付けさせていただきました。私がいつも言っておりますことは、継続は力なりと良く言われますが、継続性が非常に大事で、新事業を考える場合もポット出てくるものでもいいのでしょうが、なかなかそういう訳にはいきません。
 提案事由としては、岡崎商工会議所関連の情報化の歴史を顧みるという事からお話しをいたします。
96年1月に服部さん、中村さんをメンバーといたしまして岡崎マルチメディア研究会が発足いたしました。最初にやりました仕事は岡崎商工会議所のホームページを作成したことでございます。

 それから96年2月13日に私が「21世紀を創る会・岡崎」で講演をいたしました。題名は『マルチメディアで社会は変わる?』で1時間半ほどの中身か5ポイントほど選びますと、
1.歴史の重要性、あの時も勝海舟の話から大石内蔵助の話までいたしましたが、歴史を無視することは出来ないというのが私の信念です。
2.マルチメディア発展の歴史、マルティメディアという言葉は新しい言葉のようですが1945年に世界最初のエニアックというコンピュータが出てきたのですが、それよりも前にマルティメディアという単語が出てきたんだという話からマルティメディアの歴史の話をいたしました。
3.マネージメント能力の必要性、イーブンだイーブンだと言いながら必ずリーダーシップをとる人、要するにマネージメントをする人が必ず新事業創出の時には必要だというお話をしました。
4.感性の重要性、私のようにマルチメディアの最先端をやっていればいるほど、必要になってくるのが人間の感性だということをお話しいたしました。キックオフセミナーの時にも感性を無視することはできないということをお話しさせていただきました。
5.産学協調活動の必要性、これはシリコンバレーもそうですがスタンフォード大学の先生方の知恵・技術を活かして新事業に結び付けていったモデルを手本として産学協調活動をしていくことが必ず必要である。おりしも日本という国もこのままではいかしかたない、日本も産学協調活動をやっていきなさいと言い出し始めましたので、時流に乗ったというお話しをいたしました。

 それから、96年4月に市政80周年記念メディア・アドベンチャーが開催され、商工会議所はインターネット広場を担当し、そのプロデュースをさせていただきました。そして、ハイコンプレックス21のCGを作成いたしました。ご存知のとおり、郵便局、流水プールの跡地に地域の活性化を目的とする複合ビルを作ってはどうかという案が約20年前に一度出たことがあるそうです。それをベースとしてハイコンプレックス21のCGを作ってメディアアドベンチャーで発表させていただいた訳です。
 それは、元々、商業テナントのみの建物だということでしたが、そうではなくて大学機能を含む複合ビル、とにかく地域活性化のためには人が集まらなくてはいけないので、大学機能を含む複合ビルにしたらどうか。そして、大学機能に必要なグランド空間も岡崎公園のグランドなどを利用して、ハイコンプレックス21から岡崎公園につながる社会基盤を含めて統一的にCGを作りました。

 97年4月に岡崎商工会議所・新事業創出研究会が発足し、私がオブザーバーになり昨年度何度も会議を行い、最終的に中村さんが委員長になられて報告書をつくっていただきました。
 97年6月には情報通信フェアーがありまして岡崎商工会議所のホームページに動画を挿入したりして更新いたしました。

 97年8月にはインド歴訪をし、インフォテック(ソフト会社)や現地の商工会議所を訪問しました。この時は服部さんと私と商工会議所の神谷さんと行き、いろんな所を見ましたが、一番の収穫はインフォテックの社長と服部さんが話をされている時に、インフォテックの社長が服部さんに「ミスターハットリ、あなたはカマ屋や商事会社、プロバイダーもやっているが、一体あなたは何が一番やりたいんだ」と言われた時に、服部さんが間髪を置かず「エデュケーション」という単語を発せられたのです。
 もし、その時に服部さんがエデュケーションという単語を言わなかったら多分私はコーディネーターを引き受けなかったと思うのです。

 ですから、96年2月に私が講演会で最後に何を言ったかというと、皆さん多分覚えていないと思いますが、エデュケーションということを言った訳です。今日は最後にその部分をテープでお聞かせしますけれども、新事業創出のポイントは教育にあるということを言っております。
 それから、98年8月にコーディネート活動支援事業が開始されまして、時を同じくして空き店舗対策支援事業の作業部会が発足いたしました。約3年間のこうした流れがありました。
 この間ずっと言われていることが岡崎の地域活性化のために新しい産業を興す、服部さんの好きな言葉で言えば、クラスターの一つをとにかく作りたい、その流れに沿って私はずっとやってきたつもりでございます。常に基本コンセプトは一つ持っていたつもりです。

 さて今年度はコーディネート活動支援事業の計画書にその目的を「1.で述べたように、コーディネート活動の究極的な目的は、バーチャルコーポレーションの構築と捉えることができ、コーディネーターはVC構築のインターフェースとしての役割を持つものと考えてよいであろう。上記に示したように、いくつかの実践的プロジェクトを通じ、産学あるいは産学官の協調活動やVCの運営管理を段階的に経験し、それらのノウハウを育ててきた。コーディネート活動支援事業に対しては、これらをより有効なシステムに成長させていくことが重要であり、延いてはその支援事業を成功ならしめる最も有効な手段になるであろうと考える。」と、書きました。

 一方、平成9年度の報告書マルチメディアプロジェクトからの提案、これは中村さんがまとめられた訳ですがこの7つの提案はコーディネート活動支援事業の計画書の中にも書きました。
 タイトルだけ拾いますと、1.環境とコミュニティー 2.CATVを活用した画像伝送 3.集配システムのソフト開発支援 4.海外ソフト開発企業を活用した地域活性化の推進 5.ビジネスから芸術・文化に至るVVCフロンティアの多用な活用 6.ネットワークヘルパー 7.支援組織を活用した地域情報化支援で、私はこれをまとめられた中村さんに感謝するとともに、私がベースとしたエデュケーションという立場から見るとこの7つはほとんど当てはまる。3・4は当てはまらないとしても1・2・5・6・7はすべてエデュケーションという単語で括れるのではと考えておりました。

 そして、今年度の新事業創出研究会の歴史を振り返ってみますと、第1回はコーディネート活動支援事業採択決定について、第2回は叶シ三河ニューテレビ放送よりMICSのマルティメディア通信網サービスについてと潟с}サよりWWWを利用した広報活動とDBの構築について、第3回は愛知学泉女子短期大学事務局長の木村先生から学生DBおよび大学人材DBについての可能性があるかどうか、第4回は合資会社ジェイオー23の大原さんよりインターネット不動産情報サービスについてとGISの話もしていただきました。

 第5回は潟_ッドの細野さんから企業文書のSGML化、教育用CDおよび広報用CDの作成について、第6回は竃シ古屋カラー三河現像所の広沢さんから写真業界のデジタル化対応について、第7回は潟Aイ・コミュニケーションズの山田先生からマルティメディア社会の現況と展望についてで、この会の最後に山田先生からデジタルはアナログを乗り越えるかという話になりまして、私にどう思われますかと聞かれましたので、私はデジタルはアナログを100%乗り越えることはできない、なぜなら人間の感性の方が機械よりも優れているからだと答えましたら、山田先生からそれと同じことを言ったのが大江健三郎だということで、それなら私もノーベル賞をもらえるかなーという冗談を申しあげたものです。

 この1回から7回までを教育というキーワードで括ったら利用できるものがいろいろあると考えています。第8回は7回までの反省と今後の研究会のあり方について、そしてこの時もらしました私の不満に対して第9回は神谷氏・杉浦氏・多々内氏他の岡崎集配システムの提案がございました。
 もう一つ振り返ってみますとキックオフセミナーを開催しまして、それぞれ大学の学長先生からお話しいただきましたが、一言コメントを書くとすると愛知学泉大学の寺部学長からは岡崎における産学協調活動への積極的協力について、愛知産業大学学長の内藤先生からは大学知的資産の公開について、岡崎国際短期大学学長の竹市先生からは4年制の人間環境大学への発展計画について、岡崎女子短期大学の副学長竹本先生からは福祉系の4年制大学への発展構想についてお話をいただきました。

 以上の歴史的事実を踏まえまして、私は「バーチャル・コーポレーションを運用する通信制スクールシステムの構築」という新事業、これは全くの私案で夢のまた夢かも知れませんが、一応こういうものを考えました。
 この提案新事業に関するキーワードをレジメに示します。岡崎は元々文教都市として知られております。いつか地域活性化セミナーの時に市役所の加藤さんの隣に座って、岡崎はせっかく緑と文化の都市と言っていたのが郵政省の補助金がついたら急にマルティメディア都市岡崎になってしまったが、それはけしからんというお話をしましたが、やはり歴史を大事にしたい。私が岡崎の地域活性化のキャッチフレーズを考えよと言われたら、伝統と創生だという話をさせていただきました。せっかく文教都市岡崎という歴史を持っていながらそこをベースとする新事業を興さない手は無いとその時から考えました。

 それから、一月程前にある大学の学長先生と私的な雑談会を持ちました。2人の教授も同席されましたが、きっかけはメディアアドベンチャーの時に私がハイコンプレックス21のCGを作りましたが、その時に大学を誘致したらどうか、誘致するのは難しいだろうから、かつて愛知学芸大学が岡崎にあったので愛知教育大学の半分を持ってこれないかという私の夢を申しました。
 愛知教育大学は現在、教員養成コースと総合科学コースの2つがあるので、その総合科学コースだけでも岡崎に持ってくることは出来ないか、なぜかと言えば、歴史にこだわって元々あの場所は連尺小学校があったからだという話をしました。そのような雑談から、もう1歩進めていけないかと考えていました。そこでハイコンプレックス21に絡めて何かですが、仮想空間の中に大学を持ってきてはということを考えました。

 次のキーワード、産学協調活動による通信制大学院ですが、半月程前に来年度の新設大学が新聞紙上で発表されましたが、その終わりの3つは通信制の大学院です。これだけネットワーク社会になった場合果たして、学校に来て教える必要があるのか、通信制で大学院レベルの授業も出来るのではないか、その試みとして来年3つ出来る訳です。
 そういうものを文教都市岡崎でモデルをつくったらどうであろうか、そうするとベースとして大学が要る訳です。国立大学をベースとした通信制の大学院あるいは国立が無理なのであれば、せっかく岡崎大学懇話会があるのですからそのメンバーの大学がベースとなる通信制大学院。
 もちろん両者の場合とも第3セクター方式でやる訳です。大学院の教育をすべてアウトソーシングしてもらう訳です。そのために必要な教材はダッドさん、名古屋カラーさんで出来るでしょう。教育のノウハウはヤマサで出来るでしょう。

 そういうことも考え合わすと第3セクターに近い形で通信制大学院が出来るのではないかと思います。そうすると一定期間だけ学生を集めてスクーリングが必要となりますが、その場合もベースとなる大学が有ればそこでやってもらえば良いし、もし完全にアウトソーシングした場合は、例えばヤマサの施設を借りるとか、情報開発センターやMICSの施設を借りることも可能かと思います。
 次に教育は新事業になりうるかということですが、ここは飛ばして柴田先生にコメントいただくことにします。次にVVCフロンティアですが、せっかく岡崎の市民起業家の方たちで設立したフロンティアがありますのでそれを活用するということです。

 次に国際情報の教育ですが、国際化とは何かというと、普通は英語が話せる人間を育てようということになるかも知れませんが、そうではなくて、国際化とは、ネットワークが発達するとすべての人がイーブンにはなりますが、そうなればなったでやはりその人の独自性が何処にあるか、個人個人が何に特化しているかをきちんと他人に表現できる人間になれるかどうかということが、国際人であるかどうかというように私は考えております。そのために必要な情報はどういうものがあるか、コンピュータソフトや言語もそうでしょうが、この新事業創出研究会で出た国際情報に関するキーワードがたくさん出ていますのでそれを繋げるだけで、この通信制大学院の設立書が出来ると思います。

 それから、21世紀の徳育教育を書いてあります。1カ月前に教育白書が出ましたが、21世紀に向って必要な教育は、強く生きていける人間・子供を育てる教育が必要だと結論づけられています。そのためには私は是非徳育教育の一部を通信制大学院で行っていきたいと考えています。
 最後にYAMASA言語文化研究所と書いてありますが、先回縁あって同所のクリスマスパーティに末っ子の小学2年生を連れて出掛けました。国際性豊かなだけでなく、非常に表現力豊かで目指すところは徳育教育の可能性があるのではということをつぶさに観察してきた訳です。
 以上長々とお話ししましたが、3年間振り返ってみまして、詰まる所「バーチャル・コーポレーションを運用する通信制スクール・システムの構築」、出来る事なら通信制大学院を新事業創出として捉えていったらどうかというのが私の考えです。

 何かご意見などございましたらお願いいたします。
 特に無いようでしたら、3年前の講演のテープの最後の部分をお聞きください。
「今日の講演のリクエストの3番目。岡崎に限定して、マルティメディアビジネス、テクノロジーを成功させるためには、30代後半から40代前半の人にがんばってもらうことと、産学協働推進機関の模索すること。スタンフォード大学型の大学を作れ、誘致せよとは言いませんが、それに似たような推進機関を作ることが是非必要であろう。岡崎にはたまたま、岡崎情報開発センターがあってマルティメディアの関する教育を推進するものが第3セクターで出来ておりますので有効に活用して、スタンフォード大学型の機関を模索していくことが必要です。

 それから、CATVですが、なぜ岡崎商工会議所のホームページにCATVを載せたかと言いますと、大川会頭の挨拶にCATVという単語が最初に出てきたことと、CATVはアメリカでは普及率50%ですが日本はまだ全国平均10%足らずです。しかし、CATVはマルティメディアに関していろんな可能性を含んでおります。インターネットは文字情報伝達が発端なので画像情報を送るのには性能が落ちます。ところがCATVはもともと画像を送るものですので、CATVの光ファイバーケーブルはインターネットに比べて350倍の速度で画像を送ります。ですからCATVにインターネットをコネクトしますとインターネットは勿論、CATVの機能もバージョンアップする訳です。

 また、インターネットを引くとなると一般家庭では抵抗が有りますが、テレビを引くそこにインターネットが付いてくるとなるとアレルギーは少ないでしょう。そうした意味でもCATVには可能性が有ります。もう1つ、インターネットにはセキュリティー、モラルの問題があります。木村太郎が最後に何を言ったかと言いますと、そうした問題はプロバイダーで解決しなさいという事でしたが、インターネットとCATVが繋がるとCATVの局でセキュリティー・モラルの問題を解決できる可能性が有るということです。それから、アクションプログラムと書いてあります。もう有名な先生を呼んで話しをきくのはよそう、提案型の研究会はもういいということです。

 要するにマルティメディアを成功させるには何をやったらいいんだというアクションプログラムを考えていかなければだめだということです。岡崎マルティメディア研究会というのがあって、それは岡崎でマルティメディアを成功させる、新しいビジネスを立ち上げていけるアクションプログラムを考えていこうとする研究会である訳ですが、それ以外にも岡崎には色んなマルティメディアが育っていく可能性がありますのでそれを活かして岡崎が、岡崎商工会議所が益々発展していくことを願う次第です。最後に皆さんに質問を投げかけることによって私の講演を終わらせていただきます。『マルティメディアで岡崎が変わりますか?イエスorノー?』」

 と、いうことでございます。3年はあっという間でしたが、そのまま私の活動のベースとなっていまだに生き生きとしているということでございます。是非ご意見をお願いいたします。

M.私は現在、名古屋外国語大学にいまして、この大学は聞いたところ戦争直後に栄町で今の学長の先代がすみれ洋裁学院を開いたのが基で、現在は4年生大学からドクターコースまで出来ましたので新事業としての教育が成功したと言える所に勤務しております。今は確かに新しい教育が要求されていて、目下鋭意検討中だと思います。それから21世紀における国の地位の尺度は文化の力だと思います。誰が文化を担うかは、徳育によって教育された新しい人達だと思いますので、全く賛成で同感です。YAMASAの3月の弁論大会には私も出掛けていますが、これは確かに新事業としての教育、国際情報の教育を先取り・指向していることは間違い無いと思います。

M.私が感じるのは、草間先生の教育問題、特に通信制大学については素晴らしいテーマだと思う。また、平成9年度の報告書の7つのテーマも魅力があると思えます。次はこうしたテーマをどう進化させていくかを考えるべき時期だい考えています。いろんな人の意見をまとめていく過程ではKJ法などであれこれ検討し、肉付けしていくプロセスがあってこそ人の心を打つ計画なり提案が出来るものだと思います。意見を出し合う過程ではメールなどを使ってKJ法などでまとめあげていけば、一々会合を持たずに済みますし,いくつかのテーマなら同時並行的に進められると思います。もう少しメールの本質的な使い方にメンバー自ら挑戦してみると良いと考えます。また、いながらネットのケースでは、岡崎周辺でどういう物流が誰によってどのようにされているか集中的に調べてみる、資料を集めることも必要だと思います。WHATではなくて、HOW TOのことを考えていっても良いと思います。

M.ちょうど今ごろは7つの提案にまとめようとしていた頃ですが、私自身は5番目の提案が1番気に入っていまして、その面では今回のスクールシステムについては賛成です。文化が無い所には何も育たないと考えます。外国では中小都市に行けばいくほど固有の特徴・文化があるような気がします。岡崎には歴史や学術団体もあるので活用しない手は無いと感じていました。ただ、徳育教育とバーチャルとどう結びつくかはわかりません。音楽でも、生とテレビでは全然違います。そこで、スクーリングとかの課題が出てくるのでしょうが、基本的には大賛成です。また、いながらネットでは物を売るのかサービスを売るのかで違ってきますので、サービスを主体に考えていってもらいたいと思います。

M.岡崎にはホテルが無いとか、伊勢のおかげ横丁のようなものが無いとか箱物を考えてきましたが、岡崎郵便局などの跡地に箱物を作って通信制の大学を誘致すれば、人の集まる所も出来て先生の言われるマルチメディアとか文教都市岡崎うんぬんもすべて含まれてくるという感じを持ちました。いながらネットについては運送会社やピザ宅配などのノウハウなども関係してくるでしょうからもう一度商工会議所の会員から募ってグループを作って進んでいったらもう少し具体的なものが見えてくるのではという気がしました。

M.教育が事業になるかという提案がありましたが、皆さんが事業として取り組んでいけるかを真剣に考えなくてはいけません。夢を語り合う場だとしたら忙しい昼時に集まる必要もございません。さて、我々5人でいながらネットを検討していますが、具体的に立ち上げる時に皆さんにメリットがあるのか、仕組みはどうするのかを検討しくことと、やった場合の結果もある程度見えるようにしておくことが必要です。

M.9年度の7つのプロジェクトのうちから集配システムのソフト開発という観点について、10年度は、岡崎宅配システムの研究をしていくこと、草間先生からのバーチャル・コーポレーションを運用する通信制スクールシステムについては非常にハイレベルで色んな事業の基盤づくりという面からも良いので、今後もいくつかのワーキンググループで検討していくことで結構だと思います。

M.草間先生のお話しの中には私どもの第3セクターも入っていましたので今後整備をして協力もできるものと感じました。いながらネットについては福祉事業としては魅力に感じますが採算面では難しい問題があると思います。昔、水道の自動検針システムを検討したこともございましたが、端末の設備にお金がかかって水道だけでは困難だということもありました。電気やガス、水道、電話などをからめていけばいろいろ可能性も出てくるのでは感じます。

M.いながらネットの目的ははっきり言ってサービスです。ただ資金面では問題もありそうだと、いろいろレポートにも書いてございましたのでご理解をお願いします。草間先生の教育の話では、短い期間でどこまでできるのかが不安に思います。
M.まず、草間先生のバーチャル・コーポレーション運用は大学院レベルでないと無理だと思います。また、5人で集まって話をしているのは、一体我々は何をするんだということで、2月で事業が終わってそのままなのか、もしくは次年度以降どういう形になっていくのか見えてこない状況です。

M.欠席が多かったものですから感想は差し控えさせていただいて、場所柄をわきまえずご無礼ですがお願いさせていただきます。人間で言えば骨組みができたところで、あとはこれに肉付けして血を通わせ有機的な物に仕上げるのが我々の大きな課題です。皆様のお力、お知恵を拝借しいたしたくご協力をお願いいたします。
M.私も岡崎に事業をと考えておりますが、正にこうした事業が進むと当社の社屋は消えてしまう運命の所にございます。私どもがお手伝いできること、例えばCATVでは30億円程投資しており、含み資産も入れると50、60億円もの投資を国や市民の皆さんがされている訳ですから、市の皆さんに還元できるようにしたいと考えております。

「服部」私はいながらネットは当たりだと思います。捕えかた、やり方の部分ですが。情報構築やインフラ構築ではなくて実際に人がどうするのかに取り組むことが一番問題になるのです。いろんな地域がやっていますが、ほとんどシステム構築です。どんな補助金でもそこがネックとなってきます。もう少しこの面をつめていただいて、サービスや形は変わってくるかもしれませんが必ずや、この分野でオンリーワンを目指せばビジネスになりうると私は思います。是非お願いしたいと思います。
 草間先生の提案は教育はビジネスになるかということでございますが、なると思います。ヤマサ言語文化研究所では8年間かかって7億円投じました。学生3人からスタートして、やっと単年度で黒字・水面下まできました。ところが、問題があって、小中高大学といった文部省管轄ではビジネスになりません。補助金での事業はビジネスになりません。文部省に言わせればもぐりの学校です。今は大学院が大学で学部の予備校が付いているようなものです。

 ただし、多くの大学院生はスタッフとして呼んでも全く使い物にならない、研究のことしかなくて常識がなく、学生や仕事のことが考えられなくてギャップが大きいのが現状です。やりたいということと、日本でオンリーワンであること、文部省にチャレンジ出来るかという3つのキーワードをクリアして成功できると思うし、是非構築していくことは出来うると思います。今唯一規制緩和の壁を突破出来るのがバーチャルの世界だと思います。文部省の枠を乗り越えてオンリーワンのものを作れば、商店・住宅・大学・予備校・英語学校などの大きな裾野の産業があるのでこれを進めていって欲しいと思います。

『草間』ワーキンググループで進めていくことになっていますので、私の方から皆さんにグループに参加していただきたいと連絡させていただきますのでよろしくお願い申しあげます。
◎第11回新事業創出研究会は1月13日(水)午後2時より岡崎商工会議所で開催する。
                                         (以上)





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