愛知学泉大学 家政学部 家政学科 管理栄養士専攻 教授 鳥居新平
(医学博士、日本アレルギー学会認定専門医、日本小児科学会認定専門医)

専門分野:病理学、臨床栄養学、小児科学、アレルギー学

アレルギーの研究分野に進まれたのは

 

医師になった初期の研究は名古屋大学附属病院で血液疾患に関する研究をしていましたが、血液の病気の中にも「体を守るはずの免疫反応が引き起こす病気がある」ことを知り、その仕組みについて非常に興味をもちました。その後同じように免疫反応の異常でおこる免疫不全症、アレルギー疾患など研究の幅をひろげてきました。その中でも因果関係が比較的はっきりすることが多く、時にはショックなど危険な状況になることがあるアレルギー疾患に興味をもつようになりました。

様々な企業とコラボレーションされてみえるそうですが

 アレルギー疾患はその発病、悪化に環境要因あるいは食生活が影響する疾患でありますので、その研究は環境問題や栄養・食生活の研究にも発展してきました。
 環境問題ではアレルゲンとなるダニやカビあるいは発病の促進因子、病気の悪化因子となる化学物資に関心をもち「シックハウス症候群」というテーマで書籍を出版した時期とこの問題が急速にクローズアップされるようになった時期とが一致していたように思います。
 建材に含まれる化学物質もアレルギー患者さんはもちろん健康な人にも有害な影響を与えるのですが、これは耐久性があり経済的で扱いも簡単な建材の開発を目指した研究から生まれた副産物であります。このような研究は確かに経済的で長持ちし、冷暖房効率もよい快適な住環境を作るのには役立ちましたが、人の健康に与える悪影響についてはうっかり見過ごしていたことになります。
 食品に関しても添加物や加工の方法によってはアレルゲンとしてのはたらきを弱めることもありますが、逆に強めていることもあります。
 また最近金属アレルギーも増加しています。これは経済的で扱いやすい合金の開発と大いに関連があります。
 これまでには建材メーカーの方々や、食品製造会社の方々と共同研究をしたり、アドバイザーとして協力していたこともあります。
 今後は健康の維持増進に役立つ建材や食品の開発には、製造会社や建築学・食品科学などの専門領域の方々の開発チームに、健康管理に携わる医師をはじめとする医療従事者の参加の必要性が求められるようになっていくのではないかと思います。
 そのような際に「アレルギー」という分野で私にお手伝いできることがあれば是非協力させていただきたいと思います。

※なお鳥居先生による講演会が下記のとおり開催されますのでぜひご参加ください。

「アレルギーについて考える」  主催:岡崎商工会議所工業部会

 日 時  3月5日(水) 午前10時30分〜午後0時30分
 
会 場  岡崎商工会議所 401会議室(4F)
 
講 師  愛知学泉大学 家政学部教授 鳥居新平 氏
 
会 費  無料

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