表紙−作者の言葉 生田 薫デザイン室 生田 薫

 かつて、僕らの時代のファッションブランドだった「VAN」のTシャツなんかは三河木綿の生地が使われていたと聞いたことがある。古き手織りの三河木綿製品から紡績製品にいたるまで、岡崎の繊維産業は昔から全国に名を馳せていた。八百屋さんや酒屋さんなんかが店名を大きく描いてつけていた帆前掛(ほまえかけ)は三河木綿を使っていて、丈夫で宣伝効果もあるということで、全国の注目を浴びたという。伝統的な手法を再現し、素朴な風合いを現代に活かす試みが岡崎で始まっていることはとても興味のある事柄です。


岡崎の「 三河木綿」

 三河は古くから綿花の産地として全国に知られ、盛んに「三河木綿」が織られていました。戦後はその技術が失われつつあったのですが、西陣で育ち25年前に岡崎に移り住んだ高木宏子さんが、三河木綿の素朴な味わいに魅せられ「手織三河木綿保存会」を興されました。今では30名以上の会員の皆さんが自分達で綿を育てて収穫し、手紡ぎ、草木染め、手織りまで、昔ながらの伝統的な手法で再現しています。

◇ も ど る