伝統工芸や地場産業に携わるみなさまにお話をお伺いするコーナーです。
今回はムラセ銅器の村瀬哲也さんにお話を伺いました。

ムラセ銅器 村瀬 哲也 氏 羽根町小豆坂148 TEL51−2244

 父の代から神仏具・社寺金物・美術鋳造などの製造を手がけており、私で2代目になります。具体的には青銅を原料とした、灯篭・仏像・胸像・企業の記念碑・オブジェ等を創っています。市内では、伊賀八幡宮の灯篭・神馬、一畑山薬師寺等たくさんのお寺に仏具を納めさせていただいています。近年では、大型美術鋳造も手がけるようになりました。
 昔から「モノ」を創ることが好きで、大学時代は美大で彫刻を学びました。実際に青銅を相手に仕事をするのは大変ですが、その分喜びも大きいです。作品を創っていくうえでは何百年も変わっていない製法を用いています。現代の技術等を使えばもっと効率的に作品を創っていけるのかもしれません。しかし、お客様に求められる風合いや味といったものは、何百年も変わっていない手間がかかる製法でないとでないんですね。新しい作品に100年の時間を感じさせるには綺麗に塗装された作品より10倍も20倍も「わざ」と手間が必要です。やはり、作品を気に入ってもらい何百年も使って頂けるような作品を創って行きたいですね。また、作品を創っていくうえでは、基本的に同じものは創りません。ですので、注文を頂いてから毎回「どうやって創っていこうか」と考え、図面をひくところから始めることもあります。実際、各地のお寺さんなどに行って自分のところで創った作品に出会うこともあるのですが、実際に使われているのを見るのは職人としては大きな喜びです。
 日本ではお寺や神社が歴史的建造物ですが、ヨーロッパでは街並・公園等が歴史的建造物になっています。そこにブロンズ彫刻、ブロンズ製街灯など美術的にすぐれた作品が当りまえのように自然に置かれてあり、小さい時からいいものに触れる機会が多くあります。日本においても、美術を理解し、いいもの・そうでないものの区別がつくような人達が増えてくれればと思います。ブロンズ像等を通して、青銅をもっと身近に感じてもらえれたら嬉しいです。
 現在はお寺がたくさんある京都のようなところでも、青銅を用いて職人としてやられている方は少なくなってきています。実際、日本全国からの注文を頂いています。岡崎に関して言えば、青銅製仏具の工場は私共だけになりましたが、お寺もたくさんあり歴史ある岡崎の青銅鋳物の灯りを消さないよう、今後もますます技術に磨きをかけ職人として成長していきたいと思います。灯篭・神仏具・胸像・会社のモニュメント等の作成のほか、青銅製品のクリーニング等幅広くやらせて頂いていますので、まずはお気軽にご相談ください。


 ◇ も ど る