表紙−作者の言葉 生田 薫デザイン室 生田 薫

 子供の頃、石屋さんの所に写生大会に出かけた。その時わかったこと…石のような堅いものがどうして柔らかな形になるのか。あれは一気に形になるのではなくコツコツやってできるものだということ。正に「コツコツ」やるのだ。イメージやアイデアをすぐに具象化できるコンピュータ技術も便利だけれど、決して後戻りできない長い制作作業の中で、形をしっかりと頭に定着させ、意欲を持続させながら迷わず彫り上げて行く様に思わず引き込まれる。人の力だよね。「コツコツ着実に力強く何かを作る」なんてこと忘れてやしないかな、私。


岡崎の「灯篭」

 細やかな石彫が施された奥之院灯篭と春日灯篭は、伝統的な岡崎の石灯篭の代名詞的存在。「道具がきれる」と全国の石工達を唸らせ、ひとめでそれと分かる彫りが深く精緻な作風は、時を超えて受け継がれてきた岡崎の石工達の匠の技の結集である。(写真は奥之院灯篭)

◇ も ど る