今回は有限会社オフィス・ソウイチ代表取締役の浅井司さんにお話を伺いました。

有限会社オフィス・ソウイチ 代表取締役 浅井 司 氏
上地3丁目18−16 TEL58−4537

Q.伝統工芸を見直し、新しい特産品を開発する企画にご参加いただいている視点から、岡崎の街についてお感じになることはありますか。

A.石の灯りなど、新しい特産品の試作品撮影をした時に感じたのは、岡崎の街にはその伝統工芸がピタリとはまる風景があるということでした。長い間歴史を育んできた土地だからこそ持ちうる、その風土、風景。この風土があったからこそ、匠の技が生まれ、それが現在まで守られ受け継がれてきたのだという必然性すら感じましたね。言葉ではなかなか説明し難い、感覚の部分で歴史が息づいており、伝統を残していける街であることを再確認しました。

 

Q.匠の会にも所属されており、様々な伝統工芸に携わる方と接する機会をお持ちだと思いますが、岡崎の伝統工芸についてどんなことをお感じになりますか。

A.ものづくり・文化の始まりを考えてみると、どれも「最先端のもの」を扱うことから始まったと思うのです。例えば茶道にしても、茶という新しい文化が外国から入り、それを取り入れることから現在の茶としての文化が確立されていったように、常に時代の最先端から始まっているように思います。みなさんの「匠の技」はまさにこれであり、各々の分野で現在でも最先端であると思います。
 伝統工芸という考え方からすれば、決まったスタイルを受け継ぎ次へ伝えていくことに意味があるのは当然だと思います。しかし、この「匠の技」を形を変えずに守っていくという色合いが強く、みんなの注目を集める最先端の技術として守っていく発 想が少ないことを大変惜しいなと思います。今と昔では生活スタイルも違いますし、なによりも現代に生きる私達が作るのですから、以前とは違った形で、生活の中で息づくものが存在するのが自然なことのように感じます。私はこの岡崎で守られてきた「匠の技」に大きな可能性を感じています。作り手が消費者に最も身近な売り手の立場に立って、その時々のニーズを敏感に察 知しながら、形にとらわれずその素晴らしさを伝えられるものづくりを進めていけたら、魅力が広がりおもしろいものができるように感じますね。

  

Q.伝統工芸品とは違いますが、同じ“ものをつくる”お仕事をしてみえます。オフィス・ソウイチのものづくりの根底に流れるものとはなんでしょうか。

A.私は全ての作品を意味のあるものにしたいと思っています。作り手の思いが言葉や形となり、それが買い 手に感じてもらえるような作品を作っていきたいですね。日本の文化・習慣・暦などが、その意味が理解されないまま形式的にものになっていることを残念に思い、また何よりもそれが好きだからこそ、それを作品の中で表現できたらと考えています。今取り組んでいる新作「結び雛」もそんな思いから企画されたもので、よい素材を手づくりで、自分達の思いを伝えられる範囲で作成に取り組んでいます。
 今後も作品の存在する意味を考えながら、作品と共にメッセージを発信していけたらと思います。

▲ 結び雛

◇ も ど る