いままでの企業年金制度は確定「給付」型と呼ばれ、受け取る金額があらかじめ確定しており、また国や企業も一定の年金給付を保証していたので、従業員自らが退職前にその財政状況や資産運用状況を意識することはあまりありませんでした。
 しかし、長引く超低金利で厚生年金基金や適格退職年金など企業が運営する私的年金の運用が悪化し、積立不足に陥っているのが現状で、加入者である従業員に対して約束していた年金を支払うことが困難になってきており、将来の年金への不安が顕在化してきています。 そこで、充実した老後の生活を実現するための資産を、従業員自らの判断と自己責任で形成していく手段として、確定拠出年金制度が導入されることとなったのです。

●確定拠出年金・適格年金・退職一時金の比較

 

確定拠出年金
(企業型)

確定給付型企業年金
(適格年金)

確定給付型企業年金(退職一時金)

初めに決まって
いること
毎年・毎月の拠出額、拠出方法 給付額の算定式
(例:退職金算定基礎×支給倍率)
企業拠出の方法 ・一律型(一定金額)
・給与比例
・ポイント対応 など
給与比例 −−−
運用主体 従業員 企業 (内部留保)
運用方法 投資信託、保険商品、その他金融商品 生命保険、信託銀行、
投資顧問
−−−
運用成果の帰属 従業員 企業 −−−
給付方法 年金/(一時金)
給付期間は選択可能
年金/(一時金)
給付期間は企業決定
一時金
残高照会 随時 なし なし
従業員教育 必要あり 必要なし 必要なし
個人別勘定 あり なし なし
中途退職者 個人勘定の残高 自己都合退職金 自己都合退職金